- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061497238
作品紹介・あらすじ
優秀な俳優の条件とは。演出家はなぜ必要なのか。演劇的な感動をどう起こすか。芝居づくりの基本が誰でもわかる画期的な入門書。
感想・レビュー・書評
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(01)
演劇は生きることそのものではないが,生きることに少し似ていると著者は締め括る.その似る姿は,この人間はあの人間に似ていながら,かつ互いに他者であり続けることに相似している.人間社会と個人生活を映し出す演劇ではあるが,それは観るものにとっても演じるものにとって,社会や個人そのものではないが,似たものとして舞台において提示されている.ワークショップの試みは,他者を通じて社会や個人を探る行為でもあり,そのものの延長に演劇があるとも言える.
著者の経験的な理論から近代演劇史に基づいた理論(*02)までが,テスト的なテキストを用い,ワークショップ成功のポイントを示しながら論じられていく.動作や言葉が織りなす他者との関係性がワークショップには現れており,その関係性に介入するのが演出の役割とも考えられ,同時にそれは社会の改革や個人のカウンセリングにも通じる手法でもあるのかもしれない.
(02)
スタニスラフスキーが俎上に,あるいは槍玉に挙げられる.また,ブレヒトの演劇理論についても触れられる.宗教とカルト,ワークショップとメソッドは,時に人生を壊し,社会を壊す危険性があることを示している.人は木になることはできないが,木を強制させられ,その強制に演者自らの意志を集中し,没入する危険は,演技という行為のどこかにいつも潜んでいる.ブレヒトの「なーんちゃって」という覚醒は,その洗脳や没入から救い出す手立てとして論じられていく.集団や社会の現代的な問題を視野に入れた指摘と言えるだろう.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
演劇を長くやっている事のあるけど、あらためてなるほど、と思う事が多かった。ことばにするむずかさを感じる事もある中で、オリザさんのことばは端的でわかりやすくしてくれる。わかりやすく感じるのは演劇をやっていることもあると思いますが。
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平田オリザさんの「曖昧な世界を曖昧なままで表現する」という手法は、観客の多様性、つまり「解釈は十人十色である」事実を巧みに利用していると感じた。観客を個人としてではなく観客という集合体が多種多様な可能性を想起することを前提に、観客の想像力を信頼している。一方で解釈を丸投げにするのも危険なので、バランス感覚なのだと思う。
なにより舞台を制作する側は、観客目線を忘れずに。肝に銘じます。 -
演出家平田オリザさん著作イプセン人形の家、チェーホフかもめ等の等身大の演劇により約140年前位に誕生した
演出家。漫画ガラスの仮面的スタニスラフスキー的内面探究重視演技か小劇的観客の感情移入を拒否するブレストのなーんちゃって演技かいい演技、いい演出とかよくわからない。 -
コミュニケーションに悩む人は、本書を一読するといいかもしれません。
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演技とは何か?演出とは何か?◆イメージを共有する◆意識を分散する◆コンテクストを摺り合わせる◆観客の想像力を誘導する◆実験を繰り返す◆演出とは何か?
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セリフに解釈はせず、カオスをカオスのまま提示する平田オリザの演出論。内面の作り込みではなく、どうすればリアルに聞こえるセリフが言えるような環境が作れるかという理論を興味深く読んだ。
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図書館がおくる、「クラブ・サークル向けおすすめ図書」
クラブ・サークル名 演劇サークル
請求記号:K-1723 講談社現代新書
所蔵館 2号館図書館