カーニヴァル化する社会 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061497887

感想・レビュー・書評

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  • 一言。大変つまらない。読んだ人の多くが「よくわからなかった」と言うのもうなづける、基本的に論理がトビまくった本だ。

    若者の就労問題、監視社会の問題、ケータイでのコミュニケーションの問題・・・と全然異なる話をピョンピョン飛んでいき、その都度、ジークムント・バウマンだったり、アンソニー・ギデンズだったり、デイヴィッド・ライアンだったりの「話」を紹介、特に接着剤も使わずに「繋げる」=「くっついてる」(気持ちにさせる)という荒技を展開している。

    タイトルになっている「カーニバル化」について説明すると、ほとんどジークムント・バウマンそのまんま。バウマンによれば、近代は、共同体から個人を解放する時代だった。これが極限までいっちゃうと、個人が共同体に所属している必然は特になくなるから、「共同体へ所属するかしないか」自体が、個々人の選択になってしまう。個人は流動的になった伝統、共同体にその都度「あえて」所属するしかなくなるのであり、「一貫性を維持する」ことが難しくなる。その結果、共同体から共同性への転換が起こる。要するに、とにかく皆で繋がって一瞬だけでも盛り上がる=カーニバルというわけだ。

    で、2ちゃんねるのオフや祭り、ワールドカップや阪神優勝の盛り上がりはこのカーニバルなんじゃないかってのが著者の主張。一言でいうと「別に内容が正しいとか、自分の道徳心に適うからとかじゃなく、ネタとして盛り上がっている」ということになる。・・・って、本当にそれだけなんだよな。

    この話と、監視社会やケータイコミュニケーションの話が一体どうつながるわけ?と思うのもさもありなん。一応、「理屈」はコネてるけど、その理屈が飛びすぎでサッパリわかんない。他者とではなく、データベースと自分との間を往復する自己像になるのだあ!とか書いてあるけど、本を読んだ後も「なんで?」としか思わないし。なんでデータベースを必ず参照するんだよ。意味がわからない。

    監視社会についての議論の紹介も同様。監視社会は良いか/悪いかという議論であれば、「良い監視社会は良い」ということになってしまう。そこで、もう1次元深めた「善い社会に監視社会は貢献しない/邪魔になる」という議論があるが、これも著者によれば「何が善い社会か同意を得にくい」という問題があるため、監視社会を一概に悪いという理屈をつけるわけにはいかない(よいともいってないけど)という理屈らしい。って、善い/悪い、良い/悪いに踏み込んで議論してないんだし、物事は監視社会に限らず、その良い/悪い、善い/悪いのジャッジが難しいからこそ、判定が難しいのは当たり前だ。1章使って、一体何を言いたかったんだろう?と首をかしげた。

    頭でモデルを作って、そのモデルに合うように、個々の社会学者の言葉をちりばめて(それも非常に大きな話ばっか。再帰性の高まりだとか、個人化だとか、ギデンズやベックで聞く、例のあんな話です)、中間抜いて「結論として後期近代人はこんな自己を生きているのだあ」と言われて、それで納得するわけない。

    社会学者が、これだけ安易な若者論、時代論を平気でぶちまけてるあたり、ちょっと驚いた。他の著作では違うのかもしれないけど、本書は特に読む意味はないと思う。言葉の難易度もいい加減で、読者にどこまでの知識を求めてるのかもわからないし、説明もハショりにハショってるから、逆に参照している社会学者が何言ってるのかすら、よくわからなくなるくらいだ。とっとと、ギデンズ、ベック、ライアン、バウマンを読んだ方が、よっぽど理解が深まると思う。

    ・・・というような読後感だったので、著者にまったくうらみはないけれど、個人的な評価は★1個。ごめんなさい。他の本も読んでみる。

  • 特筆すべき感想はない。

  • ライフのパーソナリティの著書の一つ。

    08年12月29日より更新。図書館で借りた。

    正直、読んでいて面白くなかった。これだったらライフを聴いていたほうが楽しい。

    抽象的で、しかもその内容を立証する統計も裏づけがない。

    1文が長い。難しい用語を多用しているあたりは、わざとだろうか。読んでいてイライラした。

  • 肝心の「カーニヴァル化する社会」についてほとんど語られていない。
    エクスキューズ無しに自説をとうとうと語っていてるが、結論として何が言いたいのか分からない。
    時間の無駄でした。

著者プロフィール

関西学院大学准教授。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター客員研究員。専攻は理論社会学。ソーシャルメディアやIoT、VRなど、情報化社会の最新の事例研究と、政治哲学を中心とした理論的研究を架橋させながら、独自の社会理論を展開している。
著書に『カーニヴァル化する社会』(講談社、2005年)、『ウェブ社会のゆくえ─〈多孔化〉した現実のなかで』(NHK出版、2013年)、『未来を生きるスキル』(KADOKAWA、2019年)ほか多数。

「2022年 『グローバリゼーションとモビリティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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