〈変態〉の時代 講談社現代新書

著者 :
  • 講談社
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感想 : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498150

作品紹介・あらすじ

検閲、発禁と闘って変態研究に熱中した男たち。

感想・レビュー・書評

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  • 古本屋で「おっ( ^ω^)」と思って購入。パラパラとめくって中村古峡とか宮武外骨とか梅原北明とかの名前が出てきて更に( ^ω^)!
    興味どストライクっす。大正・昭和初期のこの辺の話の本ってなかなか読みたくても読む機会なかったんですよね〜。『性愛術の本』というムックで人名くらいは知っていたのですが詳しい解説書が欲しくてムズムズしてたところなんですよ。

    で、読んでみました。期待は十分満たしてくれました。今後読みたい本の示唆も得られました。しかし如何せん、「知ってしまうとガッカリ」な内容でもあります。

    拍子抜けなほどクソ真面目だったんです。古峡も外骨も北明も。元々の変態の意味もガッカリする程真面目なカテゴリーでした。要するに「常態じゃない=変態」なので。今で言う精神病とか犯罪心理学とかまで「変態」で一緒くたの時代だったんですもの。学術用語だったんですもの。

    私の興味は「何で彼らは変態に興味を持ったのか?エロ・グロ・ナンセンスの方面に彼らを向かわせるものは何なのか?」というところにありました。でも結局分かったのは、元はと言えば「頭がおかしくなった人達を何とかしたい」「変な迷信によって銭を儲けている詐欺師共を駆逐したい」「如何わしい新興宗教に騙される人達を減らしたい」等々、凄く真っ当なモチベーションだったということなんですよね。
    世の中のノーマルからあぶれてる俺カッコイイ、とかいうスノビズムは微塵もありません。そこにあるのはむしろ、当局による言論弾圧や世間一般に流布している悪しき信仰と戦う反骨精神に貫かれた多様なジャンル(医師や民俗学者や文筆家など)からなる知識人達の姿です。彼らの真面目さを考えるに、スノビズムに毒され尽くしている現代の自称「変態」共の方は、矮小で性根腐り果てた視野狭窄者のよう思われます。

    まぁ、書いてある内容についての学問的な部分で言えば、菅野さんご専門の政治学にとって「変態」が非常に魅力的なテーマだということはよく伝わってきます。こういう議論、「性と政治」というテーマで置き換えれば私なんかはフーコーがどうも念頭に浮かぶのですが、あれは全くの「政治学」というには微妙な気がします。野心的な部分も読んでいて見受けられますが、私は大変応援したくなりました。私が調べた限りではどうやら、他の論文や著作でも良い議論をなさっているようなので、書店で見かけたら購入します。

  • 変態と民俗学は仲がよい。変態は、旧習撲滅という権力へのアンチテーゼにもなっている。

  • 正直「変態」って言葉の経緯は結構どうでもよくて、何より現代に跋扈してる「普通」の盲目的崇拝とそれによる同化圧力についてもっと読み解いて欲しかった。まぁエッチが変態の頭文字とは知らなんだが。

  • [ 内容 ]
    検閲、発禁と闘って変態研究に熱中した男たち。

    [ 目次 ]
    第1章 変態のあけぼの―『変態心理』とその時代
    第2章 性とは無縁な「変態」―幽霊、神がかり、迷信
    第3章 流行語になった「変態」
    第4章 変態性欲って何?
    第5章 民俗学と変態
    第6章 「変態イコール変態性欲」への道
    第7章 変態で遊び変態で闘った男たち
    第8章 「正常」の逆襲と総力戦体制

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 図書館で借りた。

    変態という言葉が意味することはどのように変化したのかを明治後期から敗戦までの期間について述べている。

    変態という言葉は明治の時点では特に性にまつわることのみに限定されていた訳ではないようだった。正常なもののみを扱うのではなく、異常も見据える事が必要だ、という点から変態という言葉を使って研究を始めていた当時の人たちに共感する。
    時代が下るにつれて性に関する事のみに意味がしぼられていく様がおもしろい。

    田中香涯が単独発刊していた雑誌「変態性欲」を読んでみたいと思った。

  • 「変態」という言葉の移り変わりを知れる。私としては変態性欲についての話をもっと追求してほしかっただけに残念。

  •  「変態」についてこと細かく書いてあるのかなと思っていたが、主に大正〜昭和初期の変態の位置づけみたいな話でした。

  • もちろん『変態』という言葉に食いついて買いましたよ!ワーイ!

    エロ・グロ・ナンセンスの魅力がだいぶあるっちゃあるんだけど、楽しい!昭和っていいなあ〜。
    戦前の熱苦しい知識の溢れ方が素敵。
    至極真面目に『変態』という語句を扱ってました。変態が好き!(おい!)

    あー読みたいものが多すぎる〜〜〜〜

    でも昔はよかったね〜って言ってるだけじゃダメだと思うんですよね。今は今なんだから。

  • 2006年9月22日

  • \105

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著者プロフィール

1963年、神奈川県生まれ。1991年、慶應義塾大学大学院博士課程単位取得退学。放送大学講師、琉球大学講師をへて1998年から琉球大学助教授。著書『売る身体/買う身体』(共著、青弓社

「2001年 『消費される恋愛論 大正知識人と性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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