他人を見下す若者たち (講談社現代新書)

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  • 講談社
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レビュー : 279
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498273

作品紹介・あらすじ

「自分以外はバカ」の時代!
●自分に甘く、他人に厳しい
●すぐにいらつき、キレる
●「悪い」と思っても謝らない
●泣けるドラマや小説は大好き
●無気力、鬱になりやすい
若者の感情とやる気が変化している!

現代人は自分の体面を保つために、周囲の見知らぬ他者の能力や実力を、いとも簡単に否定する。世間の連中はつまらない奴らだ、とるに足らぬ奴らだという感覚を、いつのまにか自分の身に染み込ませているように思われる。……このように若者を中心として、現代人の多くが他者を否定したり軽視することで、無意識的に自分の価値や能力を保持したり、高めようとしている――<本文より>

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、教育心理学を専門とする名古屋大学大学院教育発達研究科の現職教授の速水敏彦先生が、若者の他人を無視したような言動と感情の関係について考察し人間理解につなげることを目的として著した解説書であり、タイトルと表紙の口絵の軽さとは裏腹に深い内容かつおじさん世代には「たしかに!」と共感できる部分が多くかなりオススメ。

    筆者の考察を要約すると、若者の他人を無視したような言動は、「仮想的有能感」すなわち根拠なき自己肯定に起因するものであり、日本文化の特徴でもある「悲しみの文化」の衰退が招いた社会現象であろうというものだ。仮想的有能感と悲しみの文化とは何か、簡単におさらいしておきたい。

    【仮想的有能感】Positive illusion=根拠なき自己肯定
     国際社会に通用する日本人の育成を目的とした教育システムのなかでは「アウトサイド・イン」(大人社会の価値基準に従って自己形成すること)による生き方から「インサイド・アウト」(自分の価値基準に従って自己形成すること)による生き方に比重がシフトしつつある。しかしながら、比較対象のない自己基準に基づく絶対評価は自己肯定に陥り易く、自己への期待が、一種の防衛機制としての他者軽視に繋がってしまっており、また、人の欠点を先に指摘した勝ちという風潮もそれを後押ししている。優位にある相手に近づくために自身の絶対的価値を向上させることで追いつこうとするポジティブな感情を生む「ジェラシー型嫉妬」ではなく、相手を攻撃し貶め追い落とすことで自身の相対的価値を向上させようとするネガティブな感情を生む「エンビー型嫉妬」を包含することも仮想的有能感の特徴である。

    【悲しみの文化】
     怒りと悲しみは同じネガティブな感情でありながらメカニズムが大きく異なる。人間の強さを象徴する感情である「怒り」は、他者(の言動)が介在する外的反応であり、他者に責任がある場合に見られる。一方、人間の弱さを象徴する感情である「悲しみ」は、他者が介在しない内的反応であり、誰にも落ち度がないときにも生じる。目標の喪失や到達・獲得できないことへの反応である悲しみの感情を抱く経験が、物質が豊かな現代では明らかに減少しており、「別れ」や「葛藤」などの悲しみの感情の風化に長い年月を要するということも少なくなった。個人主義傾向が強まった現代社会では、個人の損得には敏感になった反面、社会や他人の損得には共感できず鈍感になってしまっており、悲しみを即座に怒りの感情へと転化させてしまうケースが多く見られるようになった。そのため、自分の奥深くにある善人の部分に触れる機会は益々減少しているといえる。

  • 若者よ、どうして泣かなくなった。感動しなくなった。この世にはふと鑑みれば泣けるものはたくさんあるじゃないか。それをどうして理解できなくなってしまったのだ。――自分だけが偉いと、他人なんてバカだと、思う貴様らが馬鹿なのだ。とディスってる僕も他人を見下しているんだろうなあ。

  • 経験に裏打ちされていない有能感である「仮想的有能感」をもつ人は
    自尊心も持った全能型と、自尊心を持たない仮想型の2タイプに分けられる。
    近年の若者は、この自尊心も経験にも裏打ちされない有能感を持ち
    他者を見下すことで、心の平穏を保っている。
    この仮想的有能感のために、人々(というか若者)は
    感情と動機づけのあり方に影響を受け、個人的なことでは怒りを感じやすくなるが
    集団としての怒りや喜びに鈍感になり、努力して失敗することを恐れ
    頑張ろうとしなくなったりするという。
    当事者の「ジコチュー」の若者だからなのかもしれないけれど
    どうしても納得できない記述がずらずら並んでいた。
    学生運動に身を投じていた過去の若者は、集団のために怒れていたと
    褒め称えるけれど、果たしてそれは本当に集団のためだったのか。
    日本の未来を憂えていた上での考え抜かれた行動だったのか。
    とか、挙げられる例にことごとくこの調子で突っ込みを入れたくなる。
    そもそも万能型の仮想的有能感を中年世代は持つというのに
    それを不問にして、若者だけが問題があるという論調にもっていくのは
    ご都合主義というか、どうも納得がいかない。
    引用されていたデータも、真理の人の割に統計的に有意差があるのか
    検討されていなかったし……。
    パラパラ読むにはいいけれど、真に受けるにはくるしいかな。

  • 近年は職場などで若いコたちの考え方について行けないと思っていたし、『自分以外はバカの時代』という帯のコピーが、まさにその通りだと思ったので読んでみました。これから先の時代、今時の若いコたちとどうすれば上手く付き合えるか、そのヒントがあればいいかなぁと思って…

    実際読んでみた所、特に本の最後の方になるほど理屈ばかりになってしまい、対人関係に役立てる様な事を得られなかったのが残念です。
    あれだけの文章でも結局いまいち若いコたちの心理ってよく分からなかったし、私にはこの本は難しかったのかもしれませんね。

  • 「現代の若者は自尊心が低い」ということはこの本から読み取れるのですが、「現代の若者は仮想的有能感が高い」ということはどのデータを見ても読み取れません。そんな中で、自尊心よりも仮想的有能感を前面に押し出して語るものだからもう支離滅裂。

  • いまいち。
    著者の理想は何なのか。
    現在の若者の思考は確かに変って来ている。問題でもある。
    しかし「じゃあどうするか」がほとんど書かれていない。
    著者の理解できる範囲での若者の行動なら「評価」されて、理解できない範囲なら「ダメ」と烙印を押される感じ。
    結局「自分次第じゃん」と思えた。
    著者が書くような若者でも、それが世間に受けて社会が向上したらたぶん肯定される。全体でコロコロ変ってしまう論調。これで飯食っていける世の中だから幸せだなあと思う。現場の教員として子どもは悪くない。育て方が悪いという実感。特に親の家庭教育の大切さを感じる。

  • いわゆる若者論を、心理学の研究者が書いた本。

    前半は「最近の若者は…云々」的な説教臭い文章だったように思えたが、後半あたりから面白くなってきた。
    共感できるところもあれば反発したいところもあった。
    「仮想的有能感」というキーワードを軸に、若者の心性を時代的・文化的な変遷という視点から説明している。

    「心理学者の視点」というものが見れたのが面白かった。

  • ・社会的迷惑行為
    自分に直接関係のない人間を軽くみているという心性の表れ
    ・仮想的有能感-自己防衛的機制
    下方比較
    ・真の自己肯定感
    周りの人間からの承認され賞賛される経験から
    ・社会化、自尊感性強化、コミュニケーション

    自分がそうでないかをしっかり見つめる必要がある。

  • 今働いてる上司から進められて読みました。

    うまく書けないかもしれないですが、
    この本は、なかなか参考になります。
    相手との付き合い方が変わるし、最近の付き合いの考え方みたいなものがわかるとおもいます。

    自分を上位におき、他人を下位におく。
    そうしてなんとか生きている・・・
    自分の行動も、ふと思えばそういう節があったなあ
    なんて思うので、身近に感じます。
    そういう人とどう付き合うのか、そのヒントとして
    読んでみたらいいんじゃないかな・・・

    (mixiのレビューより転載)

  • 朝霞図書館
    3階文庫・新書
    GS:1827

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著者プロフィール

中部大学特任教授

「2019年 『内発的動機づけと自律的動機づけ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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