- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061498334
作品紹介・あらすじ
松尾芭蕉に愛され、アメリカが恐れた「風船爆弾」を生み、ペニシリンの国産を助け、昭和天皇にも一日置かれた-その軟体には日本史の激動が刻まれている。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
こんにゃく…
それは不思議な植物だと思う。見た目も面白いが、加工無しでは食べられず、寒さに弱いから冬を越えられず、さしてうまいわけでもない。そんなものを何時から作物として育て始めたのか?どうやってその加工方法を思い付いたのか?調理だけでは食べられるものではなかったのに…それが気になった本書を手にとってみたが冒頭でわからないと言われてしまって空振りに終わる。
と、思いきや、本書の良いところは、日本におけるこんにゃくの立ち位置を、江戸時代から現代にかけて解説しているところだ。
今となっては信じられないだろうが、まだ機械化のきの字もなかった時代、こんにゃくは資金源だった。そういった話が面白く、非常にためになる。 -
意外な歴史が眠っていました。
-
コンニャクで1冊の本にしてしまうと言うのは
たいそれたことで、偉業に近い本だと思ってよんだ。
茨城県久慈郡大子町の コンニャク神社 から物語ははじまる。
その コンニャク神社は 中島藤右衛門 という
江戸時代後期の農民が祭ってあるという。
藤右衛門は コンニャク粉の製法を開発したという。
それまでは コンニャクイモとして販売されていたのだが
コンニャクイモを乾燥させ 粉末にした コンニャク粉 を開発。
コンニャクイモが長持ちしないと欠点を克服し
いつでも こんにゃくが食べられるようになり
飛躍的に コンニャクの生産が増え 普及することになる。
コンニャク講というものがあり、コンニャク信仰が根付いた。 -
久々に心の底から読書を楽しめる本に出会った。
中島藤右衛門が発明したこと、水戸藩の財源になったり、戦中には風船爆弾も開発されたりするなどの活躍は今日初めて知った。
知的好奇心が刺激される著作。 -
こんにゃく。
おいしい!というわけでも、まずい!というわけでもない食材。「こんにゃく」。
本書では、意外な使われ方をされた「こんにゃく」について述べられていて点が興味深かった。
<こんにゃくの使われ方>
①兵器としての「こんにゃく」
・風船爆弾→和紙+こんにゃく(のりとして代用)
利点-軽量・低コスト・気密性が良い
②兵食としての「こんにゃく」
・機能性食品→便通を良くするため
利点-食物繊維豊富、軽量(粉) -
おでんしろ、すき焼きにしろ、入っているから食べるが、入っていなくても別に文句は無い。好きか嫌いかと言われれば、嫌いと言うが、まったく食べないのではなく、好んで食べはしない程度にすぎない。本書を読むまで改めて考えもしなかったが、確かに不思議な食材である。本書は、そんな食材に焦点を当てて、歴史との関わりを語るという。
しかし、こんにゃくと歴史の接点などやはりたかが知れている。同じ内容を違う見方で何度も眺めているにすぎない。そのため最後までその展開に大きな広がりは見られなかった。 -
普段何気なく食べていた蒟蒻がこんなにも奥が深かったとは。
蒟蒻を通して日本史を見るという角度も良い。
これからは蒟蒻を食べる時はいろいろ考えてしまうだろう。 -
日本の近代化、軍備化とともに劇的に需要が増加するコンニャク、ふ号秘密兵器、ペニシリン培養、そして昭和天皇、米軍。日露戦争以降暴騰する価格、戦後も高騰を続け、微妙なバランスの上で沸騰する農村鉄火場貨幣経済のくだりがとても面白い。今の社会が中央集中化のあるカタチだとしても、別のカタチが確かに実在し、体躯の末梢のような僻地が活力を持つような構造が確かにあり、利便性の名の下に末梢への血管を皆細めてしまい、結局流れなくなってしまったような社会変化の様子が”歯ごたえ以外で誰も味にこだわらない、おでん屋以外にはべつになくても困らない”コンニャクを通じて示されている。
面白い。 -
知られざるこんにゃくの秘密がこの新書に(笑)
こんにゃくも奥が深いです。
著者プロフィール
武内孝夫の作品





