知ってる古文の知らない魅力 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498419

作品紹介・あらすじ

「つれづれなるままに、日ぐらし、硯にむかひて……」徒然草の有名な書き出しは、実は兼好法師のオリジナルじゃなかった!? 「つれづれなりし折……」(和泉式部)、「つれづれに侍るままに……」(堤中納言物語)、「つれづれのままに……」(讃岐典侍日記)など、平安時代の定番フレーズがその源にあった。古典文学の大河の間にまに掬い上げられる名句から、新たに生まれる流れを辿ってゆく。

感想・レビュー・書評

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  • 「すぐれた文学作品が生み出されると、それが新たな規範となって、後代の作品表現の形成に影響を及ぼす」

    作品における過去と未来の連関が、共同性と個性を生み出していくのだ、というメッセージには、ちょっと胸を打たれる……。

    取り上げている作品はオーソドックス。
    源氏物語、平家物語、枕草子、おくのほそ道、竹取物語、伊勢物語。

    これらの作品以前にも型があり、それと異なるアプローチがまた、次へと通時的に繋がっていく。
    源氏物語にとっての竹取物語も、枕草子にとっての世間知も、芭蕉にとっての西行も。

    共同性の中で、個性が発揮される。
    そのことを後代の私たちが支持していく。
    なんだろう、とっても遠い遠い答え合わせをしているような、そんな気持ちになった。

  • <目次>
    第1章  『源氏物語』~女性たちのドラマ
    第2章  『平家物語』~男性たちのドラマ
    第3章  『枕草子』~自然を切り取る
    第4章  『おくの細道』~漂泊する人生
    第5章  『竹取物語』~伝承を乗り越えて
    第6章  『伊勢物語』~小さな恋の物語

    <内容>
    学習院大学教授の大学での講義を基にした本。有名な作品もそれ以前の作品(中国のものを含む)に影響され、インスパイアされて作品が作られていることを解説している。

  • 久しぶりに非常に良い本を読みました。
    共同性と個性を念頭に、有名な古典の冒頭が読み解かれています。
    特に、竹取物語の章は、感動的でした。「月の世界よりも、苦しみや悲しみの存在する、この世界」に未練を感じるかぐや姫の感情。古典を大きな流れの視点から見てこそ気づく「感動のスイッチ」が印象的でした。
    日本の古典について、他の本も読んでみたくなりました。

  • 徒然草序文はすべてオリジナルなわけではなく、「ものぐるほしけれ」に新しい価値があるという。作品表現の積み重ねが連鎖していくことの中に共同性と個性が生み出されていく古典のおもしろさについて書かれている。共同性に寄り添おうとする中でもどうしても寄り添えないものが文学における真の個性であるという主張に感銘を受ける。これは現代の文学にも通ずることであり、それこそが文学を読む者が求めているものだと思う。

  •  文学作品は全て、それ以前の作品からの影響をどこかに残す。特に古典では、先人の言葉を用いることで自己表現を豊かにしたり先人への敬意を表したりすることが当たり前に行われ、それが教養そのものでもあった。本書はその古典における言葉やストーリーの「共有性」に着目し、時代を超えて複数の作品を貫く一本の軸、その連続性を明らかにし、古典の新たな魅力を引き出そうとする。これまで個々の作品の魅力を解説する入門書は多かったが、本書は『徒然草』『源氏物語』『伊勢物語』『平家物語』など作品の内部にある、人口に膾炙した表現やストーリー構造そのものにスポットを当て敷衍した立場から古文の魅力を伝えようとする新しい古典入門書である。

     正直に言うと、「内容」という観点ではどう考えても現代小説の方が面白いに決まっている。古文の個々の作品の内容的魅力を見出すのには限界があるのではないか。おそらく本当に古文の魅力を引き出すためには別のアプローチが必要だし、内容以外のところに古文の深みがあるのだと思う。それを本書は明文化してくれた。ある一つの作品の一部の表現やストーリーを取り上げ、その影響が明らかに見られる作品部分を読む。そしてそれを時間軸に従い追っていけば、必ずや我々の生きる現代の文学へと繋がるはずだ。これにより「面白い現代小説と対極にあるつまらない古文」という認識を、「面白い現代小説の出発点である古文」という認識に変えることができるのではないか。
     古文を教える教師の頭には、全ての文学は繋がっているという認識が漠然とはある。しかしそれを満足に伝えられている教師がいるか疑問だ。示せたとしても、扱う古文教材から一足とびに現代小説への影響を示すのが関の山ではないだろうか。しかしそれでは飛躍がありすぎ、ただの偶然の一致、もしくは同じジャンルに属すという認識に留まってしまう。それでは意味がない。完璧ではなくとも、子や孫などへの命の繋がりを示す血縁図のように、少しずつ時代を追った「文学縁図」が描けると、古文の新たな魅力、しかも古典作品の本質に少し迫った魅力が生徒に伝わるのではないだろうか。
     古文教育の新たな、有効な切り口を提示してくれる貴重な一冊である。

  • 簡単な記述だが、古典と個性との関わりに記述など、高校生にも分かり良い文章が練られている。

  • 「古典文学における共同性と個性」をテーマに書かれた話。大まかな内容としては各古典文学における「共同性」(源氏物語と長恨歌のような)と「個性」(その個性は度々後世の物語に影響を与える)を紹介したもの。一番面白かったのは「竹取物語」の話で、かぐや姫や一寸法師のような極端に小さい人というのは「神の遣い」の象徴なのだそうです。また、物語のいでき始めの祖ということもあって物語の要素(天人女房、結婚難題)は後世の文学に多大なる影響を与えたそうです。これに関しては古典に限らず今の文学にも関係しているんじゃないでしょうか。また、「伊勢物語」の魅力は恋のスリルや男の行動力、そして王朝の雅、神秘性にあるそうです。なるほど、と思わされる本でした。

  • 『源氏物語』『平家物語』『竹取物語』などの入門書。勉強になるわー。「あやしがりて、寄りて見るに、筒の中光りた~~~~り~~~~!」

  • すぐれた文学作品は、後代の表現の形成に影響を及ぼす。 当たり前のように思えるけどそれを1000年とか長いスパンで考えて丁寧に見ていくと言うのは、自分ではなかなかできないことだから面白かったなあ。私たちが「古典」と読んでいる作品たち、「古典=古いもの」として現代のものから切り離しちゃうのはもったいないとも思わされた。同じ線上にあるんだから。

  • フォトリーディング&高速リーディング。日本文化についてのシントピックリーディング。面白いと感じた。

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著者プロフィール

学習院大学文学部教授。日本近世文学。『江戸古典学の論』(汲古書院)、『林羅山』(ミネルヴァ書房)など。

「2018年 『漢文のルール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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