偽りの大化改新 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498433

感想・レビュー・書評

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  • 〈内容〉天智天皇は蘇我入鹿殺害に関わっていない!クーデター後、権力掌握のため邪魔者を次々に謀殺した冷血漢とする日本書紀の天智天皇像を疑い、数々の事件の謎を解きながら大化の改新の実像に迫る興奮の一冊!

  • 小学校の社会の宿題で、「歴史新聞」とでもいうものを作ったのです。
    歴史上の事件をテーマに、「新聞」を作るわけです。
    自分は、「大化の改新」をテーマにしたのです。
    時は西暦645年。(「悪い入鹿を蒸し殺す」と覚えた。)
    舞台は飛鳥板蓋宮(いたぶきのみや)。
    朝鮮半島からの使者を迎える儀式の場で、皇極天皇の目の前で、中大兄皇子(皇極の息子。後の天智天皇)が、当時の最高実力者である蘇我入鹿を殺害。その知らせを聞いた蘇我蝦夷(入鹿の父親)は自殺。これにより蘇我宗家は滅亡し、中大兄皇子と中臣鎌足を中心に、「公地公民」などの新たな政治が始まったわけです。
    確か、自分の「新聞」では、「蘇我氏、滅亡!」といった感じの見出しを書いて、蝦夷の焼死体の絵を書いて(要は白骨を書いたのだ。)、「中大兄皇子インタビュー」という感じの見出しの下に、「そのうち天皇になろうと思います。」みたいなことを書いたのでした。
    先生からは、「なかなか面白い。」みたいなことを言われたんじゃなかったかなあ。
    それ以来、大化の改新のことは、気になっていたのです。

    しかし、話は意外に面倒であることがだんだんわかってきた。
    高校の時に、中央公論版の「日本の歴史」を読破したのだけれど、その中で、中大兄皇子がなかなか即位できなかった事情を知ったのです(あまりな内容なので、ここには書けません。)。
    その後、中公新書「大化改新」(遠山美都雄)では、傀儡と思われていた孝徳天皇(政変当時は「軽皇子」)こそが、クーデターの首謀者であったという説を知ったのです。
    それはかなりの衝撃だったのでした。

    そして、今回、さらに事件の真相に迫ろうとする本に接したのです。

    本書では、常識的な大化の改新(というか、「乙巳の変」)理解では、いくつもの、あまりに不自然な点があることを真正面からとらえている。その点に好感を持てる。
    なぜ、中大兄皇子自らが入鹿殺害に関与したのか?
    なぜ、中大兄皇子はクーデター後直ちに即位しなかったのか?(中公「日本の歴史」には、中大兄のアンモラルな側面が書かれているが、それだけで納得できるかどうか。)
    などなど。
    これらの問題に対して、ある回答を示していて、その結論部分は上記の遠山説と共通している。
    「大化改新は中大兄皇子と中臣鎌足が起こしました。」という素朴な説明は、もはや成り立たなくなっている、ということなのだろうか。
    そして、日本書紀がどうしてあのような書き方をしているのか?という点について、鋭く迫っている。
    梅原猛の作品で、「古事記」が持統天皇のための書であることを学んだのだけれど、本作品で、「日本書紀」の正体を知ることができたのだった。

    さて。
    本書を読むと、「なるほど。」という気にはなる。
    問題は、本書が主張する内容が、果たしてまっとうなものなのかどうかという点。
    なにせ、こちらは学者ではなく、何が通説で、何が有力な新説で、何がトンでも説なのかがわからないのだ。
    学術書ではないのだから、論証の根拠がきちんと示されていないのはやむを得ない。(そんなもの、書いてあっても、素人にはわからない(笑)。)
    とは言え、史料の断片からの憶測が示され、さらにその憶測を前提としたさらなる憶測が積み重ねられ、その、何重にも重なった憶測の上に立った「論証」が本書の太宗を占めているわけで、それで信じろと言われるのも辛いものがある。
    素人には、単なる妄想と区別が付かないのだ。
    これって、どの程度確かな説なの?
    これまで言われてきたことと、どっちがトンでもなの?

  • 歴史解釈は、おもろい。先日読んだ本と、対極にある内容。中大兄皇子は、なにもしていない。孝徳天皇(軽皇子)が黒幕だ。
    考察のスタートは同じく『勝利者による歴史書』。日本書紀を誰が作成したか。の解釈の違いが内容を分けている。この著者によると天武天皇らしい。
    日本書紀を作成した人がわからないとは、、、、調べてみると面白い。

  • [ 内容 ]
    中大兄王子は蘇我入鹿を殺していない。
    日本書紀が歪めた真実に迫る。

    [ 目次 ]
    序章 天智との出会い
    第1章 大化改新前夜(疑問だらけの「乙巳の変」;『日本書紀』を疑え ほか)
    第2章 作られた「大化改新」(乙巳の変の名場面;三韓進調は虚構だったか ほか)
    第3章 陰謀家・孝徳の素顔(虚構だった中大兄「皇太子」;古人大兄王子の末路 ほか)
    第4章 虚構の中大兄王子(つくられた中大兄像;孝徳置き去り事件 ほか)

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    [ 参考となる書評 ]

  •  日本の歴史をひも解いて、本当の意味で大きな転機を三つあげろと言われれば、私は、迷わず、「大化の改新」、「明治維新」、「先の大戦の敗戦」をあげる。

     その他、聖徳太子による治世、特に、隋の煬帝に送ったあの有名な親書「日出づる処の天子」により、日本という国が、初めて、明確に政治的な意図をもって外交に乗り出していったこと。さらには、信長による、これまでの戦闘のあり方そのものを、劇的に変えてしまう兵農分離という発想によって、その後の、本当の意味での武士の時代を開いていったこと。もしくは、鎌倉幕府による、曲がりなりにも、貴族から武士への主役交代。はたまた、日本にとって、ほとんど最初で最後の長期に渡る内戦である応仁の乱等々。

     いずれも大きな転機ではあるが、やはり、冒頭の大転換期にその止めを刺すのではないか。

     そんな、鼻息の荒さに、冷や水を浴びせかけるのが、この1,000円にも満たない新書版である。

     そもそも、皇太子中大兄皇子が中臣鎌足という腹心を得て、時の権力者蘇我氏を、やはり、時の天皇の目の前で殺戮するということ。そこまでのリスクを犯して、クーデターを成しながら、自らは、すぐに天皇に即位しないということ。また、それだけの功労者(なにしろ、大化の『改新』と言われるくらいだから)でありながら、後継者擁立、指名にはなんら影響力を及ぼすことがなかった(なにしろ、自らの死後、壬申の乱という、いわゆる骨肉の争いを起こさしめているくらいだから)ということ。中臣鎌足とは何者なのか。

     だれでも、ちょっと冷静に考えれば、普通じゃないわな。でも、そこが教育の恐ろしいところ。そうなんだと教科書に書いてあり、そうなんだと教えられると、そうなんだと思い込み、そうなんだと一点の疑いも持たないようになってしまう。

     でも、ちょっと指摘を受けると、さらさらと、上記のような疑問点も出てくる。

     この著書。決して、新説の披露でもなんでもないが、できるだけ論理の飛躍にならないよう、推測もできるだけ慎重にしながら、論を進めていく。

     つまり、この「大化の改新」なるものは、中大兄皇子が「改新」なるものを念頭において行ったものではなく、皇位継承をめぐる、単なるクーデターに過ぎない。結果として、そのターゲットになったのが、当時最大の政治勢力を握っていた蘇我氏であり、蘇我氏滅亡の結果、朝廷(天皇)親政の国家が成立するきっかけになった、というものである。

     私が、上記した疑問点を著者は丁寧に説明していってくれる。

     「日本書紀」が編纂される、その時期や、目的なども慎重に検討しながらの論。

     後日、もう一度、この著書は取り上げたい。

  • 20100515読了

  • 2009/7/19 チェック済み

  • 大化の改新についての研究です。
    日本書紀を疑う姿勢を見せ続けています。
    この本が上手いなと思ったのはその並べ方。
    最初に日本書紀は「天武帝が書かせたものだから、天智帝を批判する」とは書かずに単純な矛盾点を拾い上げ、
    充分に読者がおかしいなと納得がいった最終版で天武帝の存在を出しています。

    大化の改新が東アジアで起こっていたクーデターの一貫であり、なおかつ当時の政権の外交上の対立であるというのはすでに通説になりつつあります。今後は細かい部分を掘り下げていく必要があります。

  • 日本書紀の疑問点を中大兄皇子に絞って推考している本。この著者の考え方がすべて正しいわけではないでしょうが、いろいろ腑に落ちなかった点にひとつの答えをもらった感じです。日本書紀アヤシイもんね・・・。真正面から真面目に取り組んでるので、とても面白い。

  • 飛鳥・奈良時代が好きで気になって読んでみた。

    読みやすくて面白かった。
    日本書紀の虚飾、大化改新の姿。

    中学高校時代に教科書で習ったのは一体何だったのか!
    この時代の歴史が好きな人は読むとびっくりすることだらけ。

    良書。

    2007年12月24日読了

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著者プロフィール

文教大学教授

「2023年 『日本経済の歴史[第2版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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