「月給百円」サラリーマン: 戦前日本の「平和」な生活 (講談社現代新書 1858)
- 講談社 (2006年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061498587
感想・レビュー・書評
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<閲覧スタッフより>
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所在記号:新書||210.7||イア
資料番号:10176702
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「市電で7銭払って浅草へ行き、盛りそばを10銭で食べた」・・・よく見る昔の小説の1文、でもいまいちピンとこない。今とは貨幣価値が違うからだ。この本は当時の貨幣価値を庶民の暮らしぶりを中心に教えてくれる。「月給100円」「戦後」という単語を聞くとなんだかすごく慎ましい生活だったのか?と思ったが戦後は「真っ暗」ではなかったことが良く分かった。
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戦前の一般サラリーマンについての考察。
当時の貨幣価値を暫定的に2,000倍すると現在の貨幣価値ぐらいなのではないかという仮定のもと、給与と家賃、物価などの実態に迫るというもの。
月100円がひとつの指標としつつも、借家が当たり前だった時代であるため、そこまで暮らしは豊かでなかったとする。特に軍人の貧窮、都市と地方、富裕層と低所得層の格差拡大が戦争へとなだれ込む流れを形成したのではと推察する。
大正の大戦景気によるバブルと大学乱立による卒業生の就職難、デフレ傾向などなど、そういう頭でよんでいるかということはあるにせよ、あまりに現代との相似を見出さずにはいられない。
筆者も最後に多くのサラリーマンは反戦の声をあげなかった(あげられなかった)として、声をあげなければ戦争への流れはとめられない、今の生活を守ろうとするあまり全てを失ってしまうと警告する。 -
大正時代から昭和初期にかけてを主題にしたサラリーマン月給記。