「普通がいい」という病~「自分を取りもどす」10講 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 769
レビュー : 86
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498624

作品紹介・あらすじ

あなたの思いこみ、精神科医が治します。自分を取りもどす10講。

感想・レビュー・書評

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  • 丁寧に、なおかつ論理的に、凝り固まっていた固定観念を少しずつ解かしてくれるような本。
    中原中也、茨木のり子、谷川俊太郎などの詩人の詩をはさんだり、様ざまな時代やジャンルの人びとの言葉を引用したりしていることで、著者の言葉にさらに深みが増している。
    こうやって、先人たちが残した言葉を自在に操れるようになってこそ、読んだ本を身にすることができたと言えるんだろうなー。こんなふうになってみたい。

    「頭」と「心=からだ」の関係、「愛」と「欲望」のちがい、「普通」なんてない、「現実」なんてファンタジーだ、などなど、今まで頭に刻みつけられていた言葉の意味をもういちど考えさせられた。

  • 「角」は資質なのか切除すべきものなのか。
    心について禅や哲学などを用いて大きくとらえた本。
    また読み返したい。
    ・病気や苦しみ(ギフト)、その忌々しい包みをほどいてみると、そこには自分らしく生きていくための大切なメッセージが見つかる
    ・「怒り」は自分を確保し始めた大事な時期
    ・心の中の「我がまま」になっていない空虚なところにいかにアプローチできるか
    ・「愛」の自給自足を体現している存在に出会い、自給自足を妨げている要素を丁寧に取り除く作業に着手する
    ・日本人の多くがいかに窮屈でもったいない日々を過ごしているか

  • 友人の、「あなたは『普通』でないのに、『普通』になりたがっている」という指摘を受けて、
    それがそのままの題名になっている本書を手に取った。

    現在私は、メンタルクリニックに通院している。
    それは、仕事で続いた嫌がらせの為に、
    自分を自分として保っていられなくなってしまったからだ。

    そんな私のたったひとつの願いが、「普通に戻りたい」であった。
    毎日、日記に「普通でいたい」と書き綴っていた。

    しかし本書を読んで、考えが変わった。
    「頭」で「心・身体」をコントロールできると思っていた自分がいかに思い上がっていたか。
    そもそも、一人一人が違った存在であるはずの人間に、「普通」というマジョリティが存在することの不自然さ。
    そして、マジョリティ=良いことという盲信は正しいものなのか?という疑問の提示。
    知らず知らずのうちに、自分で自分を苦しめていた理由が少しわかった気がした。

    わかりやすい題名に、本書を読むまでは何も期待はしていなかったが、
    ページを進めるごとに、哲学・宗教・詩集など、幅広い分野からの引用で、
    すっと腑に落ちる平易な文章で「自分とは」「普通とは」何だったのか考えさせられる、
    『言葉の手垢を落と』し、自分と向き合うきっかけを付与してくれた良書だったように思う。

  • 「普通がいい」心の叫びを抑圧する人は、一見、従順な人に見える。自分の心の叫びを抑圧しないで、社会に適応する方法は、「怒り、哀しみ」を誰にも見せないノートに書くこと…

     P111「感情の井戸」図5-1を見た時、私は、岸田秀さん+伊丹十三さんの共著『哺育器の中の大人』のP179~187「自我の領域」図1~14を見た時以来の驚きを感じました。それは、確かにそうだ!と日頃感じている疑問をスッキリ腑に落とす明快さがあったからです。この本には、心理学などに馴染みのない人でも心の構造をザックリつかむことができる図が多く、急激に変化する現代社会のなかで、多くの人が感じている窮屈さなどの問題が、どのように生まれたかを示唆するとともに、読者が自分の課題として問い直すことを可能にしています。

     この本の凄さを255文字で表現することができなくて、廃盤でマイノリティ!?しか読んでいない?『哺育器の中の大人』との比較に頼った感想・レビューを書きましたが、ぜひ激しく移り変わる社会に窮屈さや取り残された感じを味わっている方に読んで欲しいと思いました。もしかしたら貴方は他人から押し付けられる価値観や効率至上主義のマニュアルに疑問を感じる過敏な人なのかもしれませんから…

     もしかしたらネット社会も「普通がいい」という病に拍車をかけるシステムなのかもしれませんね。色々な意味で恵まれているひと、そうでないひと、普通のひとの生活が分かり、他者がどのようなことを考えているを知ることができる社会(でも、ネットに参加しているひとがマジョリティであったり、オピニオンリーダーであったりするとは限らないんですけどね…)は、他者の表に出ている面と自分のすべてとを比較してしまいがちなのかもしれません。

     この本には多様な分野の専門書からの引用が書かれています。この本の説得力は、泉谷先生ご自身が、正解のない問いに立ち向かうために反芻した本の数と親身になってクライアントに寄り添う姿勢から生まれているのだと思いました。

  • あまり期待しないで読み始めたのだが、結構大事な事が書いてあるんじゃないか、と思った。仏教でいう“悟り”を精神病や神経症を題材に語った本。

  • 「普通がいい」という発想は、普通でないことを排除する発想につながる。だから実は生きにくいということに気付かないといけないと考えさせられた。
    もっと自由でいいじゃん、多様性って言葉のほんとの意味を知ってなきゃダメじゃん!

  •  この本は本当に私の生き方、考え方を変えました
     生きづらくて悩んでるすべての人に読んでほしいです。

     精神科医である著者が精神病とはどういったメカニズムでなるのか、世間一般とは全く異なる見解で書かれています。
     もうそれを読んだときに世界がぱあーと変わります。
     自分を責めることがなくなります。

     ダイアモンド社の著者が行っている連載でこの本の一部と酷似した内容が書かれていますので、ちょっとでも気になった方はまずその連載を見てみてください!
     とにかく良著です!

  • 「普通がいい」に流されることの恐ろしさ。心と身体、頭。本能と理性を意識すること。身体の声を聴くこと。どんなに難しくて、頭で理解するだけではなかなかわからなかった。心と頭のバランスが崩れると、人は簡単に狂うということ。人との境界線が簡単になくなってしまうということ。これからの人生の基盤となる考えのヒントをくれた本。

  • 私たちはみんな他の人とは違うツノを持って生まれて来た。このツノは周囲からの餌食になることがあるため、このツノがあるから生きづらいと思う人も出てくる。自分が自分らしくあることの大切な中心であるツノを邪魔にして隠しながら生きるようになると、人生自体が色あせ始め、無意味なものに感じられるようになる。

    人間社会の至る所で多数派の信奉する価値観によって私たちは知らず知らずのうちに一種の洗脳を施され「自分で感じ、自分で考える」ことから遠ざけられてしまっている。例えば「あるがまま」は邪悪で「あるべき」姿になるべきなどの考え方などである。

    日本では特に集団の構成員は同質であることが強要され、異質である場合いじめが加えられたり排除されたりする。

    今まで疑うことなく信じていた常識や知識を一度洗い直す作業が必要。

    うつ病で完治した人は、療養をきっかけに大きく自分の人生を軌道修正した人だった。

    中原中也の詩。健全とは?異常とは?神経質=感受性が豊かである。感性が発達している。

    病気にはなんらかのメッセージが込められている。そしてそのメッセージを受け取ることができれば病気は消えていく。

    夏目漱石は33歳でイギリス留学。うつ状態。

  • “普通”って何だろう、私が思っていた“普通”って、と愕然としました。多分、各人が思っている“普通”ってそれぞれ異なっているのでしょうね。こうしなくてはいけない、とか、こうあらねばならない、という思い込みを捨てることによって自由になれる、本来の自分に戻れるのかもしれません。他にも興味深いことが書いてありましたが、読む時の状態によって心に響くことは違ってくるのでしょう。読む度に気付がある本だと思います。

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著者プロフィール

精神科医。東北大学医学部卒。東京医科歯科大学医学部附属病院、(財)神経研究所附属晴和病院、新宿サザンスクエアクリニック院長等を経て、1999年に渡仏し、パリ・エコールノルマル音楽院に留学。パリ日本人学校教育相談員もつとめた。現在、精神療法を専門とする泉谷クリニック(東京・広尾)院長。大学や短大、専門学校等での講義も行ってきたほか、現在は一般向けの啓蒙活動として、さまざまなセミナーや講座を開催している。また、作曲家や演出家としての活動も行っている。著書に『「普通がいい」という病』『反教育論』(ともに講談社現代新書)、『「私」を生きるための言葉』(研究社)など。最新刊に『仕事なんか生きがいにするな』(幻冬舎新書)。

「2017年 『あなたの人生が変わる対話術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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