「普通がいい」という病~「自分を取りもどす」10講 (講談社現代新書)
- 講談社 (2006年10月21日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 0004061498622
作品紹介・あらすじ
あなたの思いこみ、精神科医が治します。自分を取りもどす10講。
感想・レビュー・書評
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友人の、「あなたは『普通』でないのに、『普通』になりたがっている」という指摘を受けて、
それがそのままの題名になっている本書を手に取った。
現在私は、メンタルクリニックに通院している。
それは、仕事で続いた嫌がらせの為に、
自分を自分として保っていられなくなってしまったからだ。
そんな私のたったひとつの願いが、「普通に戻りたい」であった。
毎日、日記に「普通でいたい」と書き綴っていた。
しかし本書を読んで、考えが変わった。
「頭」で「心・身体」をコントロールできると思っていた自分がいかに思い上がっていたか。
そもそも、一人一人が違った存在であるはずの人間に、「普通」というマジョリティが存在することの不自然さ。
そして、マジョリティ=良いことという盲信は正しいものなのか?という疑問の提示。
知らず知らずのうちに、自分で自分を苦しめていた理由が少しわかった気がした。
わかりやすい題名に、本書を読むまでは何も期待はしていなかったが、
ページを進めるごとに、哲学・宗教・詩集など、幅広い分野からの引用で、
すっと腑に落ちる平易な文章で「自分とは」「普通とは」何だったのか考えさせられる、
『言葉の手垢を落と』し、自分と向き合うきっかけを付与してくれた良書だったように思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルはよくある自己啓発本ぽいし、論じられている事柄もそれっぽいんだけど、しかし、中身はかなりしっかりしていると思いました。これは、なかなかいい本なのでは? 私は、けっこうこの本気に入りました。この本で論じていることがすべてそのとおりとは思わないし、もうすこし思想の体系性みたいなものがあったほうがいいとも思いましたが、”常識”にはまりこんで硬直化した思考を揺り動かす力をもっていると思います。【2022年11月9日読了】
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読んでよかった。とても良い本だった。一気に読んでしまった。哲学的な内容だと感じたが、上からでも下からでもない愛ある目線で書かれており大変読みやすく、わかりやすく、心にストンと落ちた。そして途中に出てくる図がシンプルでびっくりするほどわかりやすかった。
余談だが読後、ドラクエの遊び人レベルが上がると賢者になれるのも真理なんだなぁと思った。 -
「普通がいい」心の叫びを抑圧する人は、一見、従順な人に見える。自分の心の叫びを抑圧しないで、社会に適応する方法は、「怒り、哀しみ」を誰にも見せないノートに書くこと…
P111「感情の井戸」図5-1を見た時、私は、岸田秀さん+伊丹十三さんの共著『哺育器の中の大人』のP179~187「自我の領域」図1~14を見た時以来の驚きを感じました。それは、確かにそうだ!と日頃感じている疑問をスッキリ腑に落とす明快さがあったからです。この本には、心理学などに馴染みのない人でも心の構造をザックリつかむことができる図が多く、急激に変化する現代社会のなかで、多くの人が感じている窮屈さなどの問題が、どのように生まれたかを示唆するとともに、読者が自分の課題として問い直すことを可能にしています。
この本の凄さを255文字で表現することができなくて、廃盤でマイノリティ!?しか読んでいない?『哺育器の中の大人』との比較に頼った感想・レビューを書きましたが、ぜひ激しく移り変わる社会に窮屈さや取り残された感じを味わっている方に読んで欲しいと思いました。もしかしたら貴方は他人から押し付けられる価値観や効率至上主義のマニュアルに疑問を感じる過敏な人なのかもしれませんから…
もしかしたらネット社会も「普通がいい」という病に拍車をかけるシステムなのかもしれませんね。色々な意味で恵まれているひと、そうでないひと、普通のひとの生活が分かり、他者がどのようなことを考えているを知ることができる社会(でも、ネットに参加しているひとがマジョリティであったり、オピニオンリーダーであったりするとは限らないんですけどね…)は、他者の表に出ている面と自分のすべてとを比較してしまいがちなのかもしれません。
この本には多様な分野の専門書からの引用が書かれています。この本の説得力は、泉谷先生ご自身が、正解のない問いに立ち向かうために反芻した本の数と親身になってクライアントに寄り添う姿勢から生まれているのだと思いました。 -
あまり期待しないで読み始めたのだが、結構大事な事が書いてあるんじゃないか、と思った。仏教でいう“悟り”を精神病や神経症を題材に語った本。
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「普通がいい」という発想は、普通でないことを排除する発想につながる。だから実は生きにくいということに気付かないといけないと考えさせられた。
もっと自由でいいじゃん、多様性って言葉のほんとの意味を知ってなきゃダメじゃん! -
この本は本当に私の生き方、考え方を変えました
生きづらくて悩んでるすべての人に読んでほしいです。
精神科医である著者が精神病とはどういったメカニズムでなるのか、世間一般とは全く異なる見解で書かれています。
もうそれを読んだときに世界がぱあーと変わります。
自分を責めることがなくなります。
ダイアモンド社の著者が行っている連載でこの本の一部と酷似した内容が書かれていますので、ちょっとでも気になった方はまずその連載を見てみてください!
とにかく良著です! -
2022.03.04
『仕事なんていきがいにするな』を読んで興味を持ったので、同じ著者のこの本を読んだ。
2冊の本で重なる部分も多くあり、より思考を深めることができた。
以下、印象に残ったこと。
・「現実」とは、誰かが人為的に決めたものの積み重ねでできたもの。数あるファンタジーの一つに過ぎない。
・愛とは、相手が相手らしく幸せになることを喜ぶ気持ちである。欲望とは、相手がこちらの思い通りになることを強要する気持ちである。等身大の欲望を知ることが、愛を知ることにつながる。等身大を超えた無理した善は、自分の欲望のためにする偽善となってしまう可能性がある。
・経験は常に未来に開いている。体験は経験が過去化したもの。経験は自分の身になるもの。
・繰り返すことは、死である。即興の中に生がある(これは成田さんが最近言ってるのを耳にした。)
・主観をしっかり育てる、その純度を高めていくように磨きをかけることで、主観も客観も乗り越えて、一つ上の次元の認識に達する。
・人生は螺旋のように回りながら上へ上へと前進していく。
○頭で考えるより身体で反応していったほうがいいのかもしれない。頭に頼りすぎる傾向が強くなっていたので、もう少し直感に委ねよう。
著者プロフィール
泉谷閑示の作品






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