欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書)

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レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498662

作品紹介・あらすじ

「教育改革」を語る前にフィンランドの教育を解剖してみると「格差」など日本の問題点が見えてくる。

感想・レビュー・書評

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  • フィンランドはテストによる競争をやめて学力世界一になった、という議論を最近聞かないなあと思っていたら、こういう事実に基づく本が出ていたのだ。小中学校ではアクティブラーニングで遊ばせ、その中でも学力を維持できる者のみ、高校に進学させ、絶対評価の進級テストで選別していく。こうした冷徹な教育文化が学力世界一を支えている。しかし、フィンランド信仰は文科省に残り、日本では「高等学校基礎学力テスト」というフィンランド的な教育政策が始まる。合格出来ない高校生が続出した時、やさしい日本の学校文化はどう対応するのだろう。

  • 2006年刊。◆東大大学院教授(当時)と明治学院高校講師兼ジャーナリストとが、現代日本の教育に関し、フィンランドとの比較・ゆとり教育の是非などをテーマに対談。◇予算や人材に限界ある状況では、ゆとり教育の実行は不可能であったなど、バランスの取れた解釈・主張を行う苅谷教授は説得力がある。特に①制度を変更しても解決不可能なテーマは存在する点、②競争原理を導入すれば教育問題は解決する、といった短絡的表現は有害な「殺し文句」「呪文」にすぎないと見るのも同感だ。なお、フィンランド教育制度は、善し悪し共に明示され有益。

  • 当時は総合的な学習が話題だったのだな。今なら道徳や英語,アクティブラーニングなどか。
    すればみんなできるという前提を吟味することは大切だな。

  • 教育を数字で表そうとするのはどだい無理な話なんだな。

  • 日本の教育を国際比較した本。日本の教育は一つの完成品である。ただ、時代の要望と合わなくなっただけ。変えなくても大丈夫だけど、変えたいとのこと。不安があるから。

     日本の教育は’’学問としての誇りを捨てて人材訓練場’’になるべきか。そこが論点なのかなと思った。
    でも、日本はまだまだ経済力があるからそんなに勤労意欲高くいかなくてもいいのになぁ…。

     2006年のこの本から日本の教育はどれだけ変われているだろうか。2012年のPISAの結果は、①数学的リテラシー:日本7位(フィンランド12位)②読解力:日本4位(フィンランド6位)③科学的リテラシー:4位(フィンランド5位)、とりあえずPISAでは勝てるようになった。日本人らしい学習能力ww
     やっぱりPISA用の勉強が功を奏したんだろうww
    ___
    p75  ゆとりvs詰め込み
     詰め込み教育では考える力や批判力はつかない。人格が硬直化する。なんていう懸念のもと始まったゆとり教育。ふたを開ければ、ゆとり世代より詰め込み世代のほうが能力高いという事実!!
     これは、、、勉強量と人間力は相関性薄いのか?たぶんゆとりを持ったのが悪いのではなくて、指導が甘くなったからなんだろうな。ゆとり教育の批判はお門違いで、あまい教育の方だけを批判すべきなのである。

    p108  教育問題と社会問題
     日本では、子供のほとんどが18歳まで学校に行っている。その結果、少年犯罪はすべて教育問題にカテゴリできる。もし、義務教育後の就学率が5,6割だったら、未就学者の犯罪などは社会問題にカテゴリされる。日本の青少年の犯罪が少ない理由の一つ。
     この仕組みは、未成年を守る、また直に法で裁くことの緩衝材になる。今になって、この仕組みが良いのか悪いのかってことになっているが、日本の特色としてこのまま残した方がいいと思う。

    p116  社会問題のコスト
     上記の続き。未成年の社会問題を教育問題にして丸く治められるから、日本の社会問題へのコストダウンが成されている。つまり学校にしわ寄せがいっているということ。そんなこともあって、かつては学校も問題解決者としての権限を認められていた。
     しかし、時代が変わり、権利意識の高まりとともに学校の権威を引きずり落とそうという意識が高まった。これは必然的なことなんだろうが、今の学校の先生は本当にしわ寄せを正面から受け止めなければならず、つらい。つらい。。

    p128 教育の国際競争って何(フィンランドの新聞)
     日本がフィンランドの教育を意識するのはPISAで負けたから。一方フィンランドはPISAの結果をほとんど意識していないようである。勝者の余裕というわけでなく、教育の国際競争を理解できないようである。
     スポーツとか企業活動では競争はある。しかし教育は他者に勝つより、自分がどこに到達できたかが大事であるという認識だから、教育に競争が関連することが意味不明のようである。
     確かに、能力開発はそうである。日本に限らず資本主義を短絡に考えているところは、教育もスポーツ感覚で競争することが大事になっている。(韓国も中国も)
     まぁ、この考え方があるから日本はこれだけの経済大国なんだろうが、悪いところも明らかである。

    p149  学歴社会は本当にあるか
     日本は学歴社会である。といまだに言われ続けているが、実際どうなの??仕事には能力適性があるし、学歴選別はそれほど否定されるほどのことでもないと思う。つーかあれも時代の産物で、今はどうなの??そんな悪いものもぅないんじゃないの?これだけ言われているのに無くなるものでないなら、必要なものなんではないのか!?

    p186  日本の絶対評価
     絶対評価は到達度評価である。言わば、「壁」である。個人が評価基準に達しなかったら残酷なまでに評価するものである。けれど、日本の絶対評価は人情が絡んでいる。日本人のいいところなんだか、悪いとこなんだか、本質を見誤っている。
     でも、元フィンランド人から見ると日本のほうが良いとのことだそう。

    p194  教育の真髄(プレッシャーが必要)
     子供たちが大人になって必要な能力を身につけるようにするのが教育である。では大人に必要な能力とは何か。はっきり言えばプレッシャーへの耐性力、これさえあれば何とかなる。昔からある教育ではこれを伸ばしてきた。子供たちを高いストレスに曝すことで。体罰にしろ、詰め込み教育にしろ。
     しかし、それは…倫理的に矛盾がある…。最近の教育では確かに子供へのプレッシャーは軽減された。けれど、ゆとり世代という骨抜き人材が育ってばかりとの批判もある。
     これは教育における永遠に解決不可能な問題の一つである。このさじ加減をどうするか。甘口・辛口の論議を皆深く考えずに話さないほうが良い。
     とりあえず、プレッシャーをかけたほうが良い人材ができるというのは事実。

    p233  この本の本題
     ここから先にすべて纏められている。再読の際はココだけ読んでもいい。

    ____

     問題の根源は少子化と東京一極集中の弊害にまとめられてしまう。少子化で人材育成のプレッシャーがある、だから人格より技術を伸ばすことが求められる。人口が東京をはじめ都市集中するから、求める教育像から多様性が失われる。都市で必要な資本主義的な教育を全国的に求めるようになる。
     あーあ。

  • 刈谷氏の論考はかなり鋭いが、増田氏の主張がそこらの教育ママの代弁となっており二人の対談が全然噛み合っていない。
    増田氏は自分が取材してきたことをあーだったこーだったと報告するだけで自分なりの主張が見られず。
    刈谷氏のポジティブリスト、ネガティブリストの考え方や、教育は魔法の杖ではないという視点に得心した。資源は有限なのだから教育に無限に要求、期待しても無理というものなのです。有限の資源をいかに有効活用していくかという思考が大事。

  • ここ10数年来、「教育改革」が声高に繰り返されてきたが、そもそも「何を」「どのように」「なんのために」改革しなくてはならないのかが不明確なまま、「なんとなく」議論が行われてはいないでしょうか。そうした現状に対して、本書は繰り返し「身の丈に合った教育をしていない」と主張しています。この言葉が何を意味するかは、ぜひお読みいただき、日本の教育の抱える本質的な問題点について理解し、思考して戴きたく思います。

    教育学部 M.T


    越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000629647

  • 対談になっているので、とても読みやすい。
    小学校での英語教育批判にはなるほどなーと思った。
    既に小学校に英語教育は導入されているが、これ以上増えたら…。

    日本の教育はポジティブリスト主義(やりたいことをすべてリストアップする)になってきている。たとえば小学校で英語を必修化した場合、時間やエネルギーの制約もあるため、他のことができなくなってしまう、いろんな制約がある中で、リストにどんどん足したって、必ず何かはみ出る。必ずはみ出すものがあるのに、はみ出すものを何にするかという議論をしないまま、英語を入れたほうがいいと言う議論には反対だ。意識調査をするときに「英語を入れるかわりに国語の時間が減りますが、それでも英語を入れることに賛成ですか?」と聞けば過半数が賛成をするかはわからないだろう(pp.44-48)。

    時間があるときにゆっくり読みたい。

    (まっちー)

  • 教育について語りたい人はまずはこれを読むといいと思う。

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著者プロフィール

1955年、東京都生まれ。オックスフォード大学教授。専攻は教育社会学、比較社会学、現代日本社会論。『階層化日本と教育危機』『大衆教育社会のゆくえ』『教育の世紀』『知的複眼思考法』など。

「2014年 『「地元」の文化力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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