- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061498747
作品紹介・あらすじ
権力をめぐって対峙するカトリック教会と"共和派"の狭間で、一般市民は、聖職者は、女性たちは何を考え、どう行動したか。『レ・ミゼラブル』などの小説や歴史学文献を読み解きながら、市民社会の成熟してゆくさまを目に見える風景として描き出す。
感想・レビュー・書評
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180616 中央図書館
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フランス史はおろか世界史の基礎知識不足の読者(私)にもわかりやすい。それは著者の専門領域であるフランス文学を引用しながら、史実とその背景を読み解こうとする試みにあると思う。
フェミニストらしく、「その時女性の立場は」という視点を必ずいれているのも好感。
政教分離と市民社会について、新書の範囲でよくまとまっていると思う。それ以上は巻末の参考文献をあたればよい。 -
[ 内容 ]
権力をめぐって対峙するカトリック教会と“共和派”の狭間で、一般市民は、聖職者は、女性たちは何を考え、どう行動したか。
『レ・ミゼラブル』などの小説や歴史学文献を読み解きながら、市民社会の成熟してゆくさまを目に見える風景として描き出す。
[ 目次 ]
第1章 ヴィクトル・ユゴーを読みながら(文化遺産としての『レ・ミゼラブル』;ユゴーは神を信じていたか ほか)
第2章 制度と信仰(「市民」どあることの崇高な意味;ナポレオンの「コンコルダート」 ほか)
第3章 「共和政」を体現した男(第三共和政の成立;ジュール・フェリーと環境としての宗教 ほか)
第4章 カトリック教会は共和国の敵か(噴出する反教権主義;コングレガシオンへの「宣戦布告」 ほか)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
レ・ミゼラブル、フローベール、ゾラなどを読み解きながら当時の歴史事実とリンクさせて、フランスでの政教分離"laïcité"がどのようなものか?というのを歴史的に分析した本。ガチガチの学術書ではないから、それほどしっかりした分析が行われているわけではない。だから、入門書という位置づけが正当かな。フランス史を全く知らず、文学をあまり読んでいないから、雰囲気を知ることはできたくらいだ。残念。。
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フランス第一共和政から第五共和政までの宗教と政治との関わり合いについて。同時代を扱った他の作品などを理解するための副読本として、理解しておくと良いのかな、という感じ。
それにしても、鳩山首相のおかげで、友愛が耳慣れた言葉に変わってしまったなぁ -
in 08/08/25
out 08/09/16 -
一読の価値アリ!!
政教分離の問題、西欧(特にフランス)における宗教の扱いの近代史がわかりやすく解説されています。
例のスカーフ事件も、フランスの歴史的な観点から解説されているのでなかなか興味深い。
宗教問題というのは日本人には縁遠い感じなのでとっつき難い部分もあるかもしれませんが。 -
フランスに旅行したとき、意外にも黒人が多かったことに驚いた。フランスの移民の歴史については大学のとき学んだけど、まさかこれほど多いとは、と思った。民族問題と関わってくるのが宗教、とりわけフランスでは政教分離というスタイルだ。黒人移民は主にイスラーム圏からなのだが、それを象徴する事件として、少し古いが15年ほど前にあった、学校にスカーフをして登校したイスラームの女の子が、宗教を教育の場に持ち込んだとして学校に入れないという事件があった。さらにはスカーフ禁止法という法律まで成立させる徹底ぶり。なぜフランスはこれほどまでに政教分離に固執するのか。そのためにフランスの政教分離の歴史をみていくというもの。日本とはちがう国の政教分離の過程が知ることができる意義深い本だと思う。しかし、著者はイスラームの移民が厳格に宗教を守る姿をアピールするのには宗教上のみならぬ別の理由があると述べて本書を締めくくっている。その理由とは現在のフランスが抱える問題への彼ら、彼女らのシュプレヒコールでもあるのだ。
著者プロフィール
工藤庸子の作品





