ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1454
レビュー : 110
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498839

感想・レビュー・書評

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  • 「どえりゃ〜面白ぉていかんわ」と言うほど手放しで絶賛はできないけれど、かなり面白かった。ポストモダン的なリアリズムを「まんが・アニメ的リアリズム」と「ゲーム的リアリズム」に腑分けした上で(それは現実と言葉の対応関係で区別される。前者は身体性と記号性の乖離に苦悩するリアリズム、後者はその乖離を諦めた上で、なおかつ現実にアプローチする可能性を持ったリアリズム)、ライトノベルおよび美少女ゲームの文学史上における意味と、ポストモダンにおける人間のあり方について考察していく。

    僕はラノベの一冊も読んだことがないし、美少女ゲームもほとんどやったことがない。あるのは、昔セガサターンで『下級生』というゲームをやったのと、プレステで『ときメモ』をやったくらいだろうか。だから、この本に書いてあることが妥当なのかどうかいまいちよくわからないが、ともかくもラノベや美少女ゲームが社会のなかで(たぶん)周縁的な位置づけを与えられているような気がするので、だとするとそれを分析することは社会を知る上で非常にまっとうな素材といえるなあ、と感じた。一般的に、どこにどういう境界線が引かれているかを考えることは、「こちら側」と「あちら側」の差がどのようなものであるかを分析するときに有効な手段だろうから。

    ただこの本で述べられている「環境分析」って、ほんとに文学の側で全然やられていないことなの?だとしたら文学というのもけっこう怠慢だなあ。歴史学では、ある史料(テキスト)にはどうしたってその時代の何らかのバイアスがかかっていると考えて、だからこそ、、それがどういうバイアスかを解きほぐすことが目的となる学問だと思う(もちろんそこにどういうバイアスを見出すかは、論者により千差万別だが)。だから、ある作品に対してそれがどういう「環境」の影響を受けているか、っていう視点自体には特に驚きは無かったなあ。ただ、この本が描き出している現代の「環境」じたい(たとえば、現実と虚構に対する「実存」の在り方)は、「ほお〜そうですか」的な驚きをもって、読むことができた。

  • いま流行のオタク文化を理論化している。「大きな物語」の終焉によって、現代人は、キャラクターすなわちあたかもゲームのプレイヤーであるかのような錯覚を抱きながら、同時にそれを自覚して実存性を見出す。それ自体は「小さな物語」であるのだが、その錯覚を抱く対象はゲームの中であれアニメの中であれ「戦争」や「正義」、「愛」といった「大きな物語」なのである。そういう実存性のストーリーや、キャラ萌えやらラノベ的手法やらが閉塞しつつある純文学にある種のヒントなんじゃないかとかそんな感じ。

  • 2007/07/10 購入
    2007/07/12 読了
    2009/10/01 移動

  • 乱暴に要約すれば「ポストモダンをオタ文化で読み解け」の前著から一歩進んで「ポストモダンの文学はラノベと美女ゲで読み解け」という物語論へ。環境分析的読解という深読み技術の提示はそれなりに意義があるものの、大塚論を参照しすぎなところが引っ掛かったり。ところでオビの徒花スクモ氏のポスモたん(勝手に命名)イラストいいですね。

  • 物語が細分化した「ポストモダン」社会に於けるライトノベルをはじめとしたキャラクタ・エンターテイメント作品(小説・アニメ・ゲームetc)の役割とは何か、を論じる本、なんだと思うが、そもそも議論の出発となっている「ポストモダン」については前書参照ということでこの本だけだと議論の出発でつまずきかねない。とはいえ、前半は大塚英志や稲葉振一郎らの議論を引用しつつ、慎重に議論を進めており、なかなか面白く読める。ただ、後半の作品論となると、対象となる作品に触れていないとツラい部分が少なくないのは仕方ないところなんだろうか・・・(全く読んでない本の詳細な書評を読まされているあの微妙な感覚だ)90年代〜00年代に現出したキャラクタ文学に見られる新種の物語性に注目した文学論と見れば、興味深く読めると思う。この手の書籍を単なる深読みとしか取れない人には向かない本だろうね。

  • 「動物化するポストモダン」続編。数年間の社会的動向の差っておもしろい。

  • 2007.05 ライトノベルからみたポストモダンであり、新しい文学の可能性?ともいえるのではないか。もう少しライトノベルや美少女ゲームに詳しいと深く理解できたと思います。

  • 「萌え」を分析する本。

  • 新しい文学批評へ

  • 分析はまともで面白い。ただ前提となっている「ポストモダン的現実」というものがどこまで普遍的なのかという疑問はあるし、筆者は否定してるものの、実は割と古典的な分析を新しい対象に向けているだけのような気もする。

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著者プロフィール

東浩紀(あずま ひろき)
1971年東京生まれ。批評家・作家。ゲンロン代表。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。
著書に『存在論的、郵便的』(サントリー学芸賞思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞受賞作)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015受賞作)ほか多数。『ゲンロン0 観光客の哲学』は第5回ブクログ大賞人文書部門、第71回毎日出版文化賞受賞作。

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