ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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レビュー : 110
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498839

感想・レビュー・書評

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  • インパク知5・5
    かかった時間180分くらい

    『動物化するポストモダン』の続編。前著?がオタク文化の分析を通じてなされた社会批評だとすると、本作はオタク文化の分析を通じてなされた文学(可能性)批評だという。

    大きな物語を喪失した私たちは、等価値的な、すなわち多様性が認められるかわりにとことん無価値的にも思える生を生きている。「ゲーム的小説」は、そんな時代を反映する、リセット可能で攻略対象化されたいくつもの現実と向き合う(または向き合わない)プレイヤー的登場人物と、リセット可能で攻略対象化されたいくつもの虚構と向き合う(または向き合わない)読書の関係が重ね合わされて描かれている「文学」だというのが、筆者の主張である。

    東浩紀については、たしか2013年出版の『セカイからもっと近くに』から読み始めていま3作目だが、『動物化』で行った社会批評をもとに、オタク文化(とくにセカイ系)の文学解釈に至るための、本作は過渡期なんだなあということがわかった。作品として洗練されまくっているわけではない(自分自身も集中して読み切れなかった面もある)が、おもしろくは読めた。

  • 大まかに前半が理論的な内容で、ゲーム的リアリズム自然主義的な読解に対する環境分析的な読解等が説明される。後半が環境分析的な読解による具体的な作品批評、という構成。
    後半により、かなりクリアに色々理解できた気がする。俺はこの本で主に取り上げられている類の小説、ラノベとか舞城王太郎は殆ど読んでなくて、数少ない接点である例えば西尾維新原作の漫画とかは何となく圧倒される感じだったけども、なんかその圧倒される理由の構造的な部分が理解できた。

    この本が書かれた2007年は、ゲーム的リアリズムは虚構の世界に軸足があったように思えるけども、現在(2018年)は現実がかなりゲーム的になってきていて、現実が糞ゲーに思えて、政府を始め社会を動かす人組織仕組み全般をゴミ運営として捉えているのかな、と考えながら読んだりしていた。

    そういう流れで、最後の方の、

    "私たちは、メタ物語的でゲーム的な世界に生きている。そこで、ゲームの外に出るのではなく(なぜならばゲームの外など存在しないから)、かといってゲームの内に居直るのでもなく(なぜならばそれは絶対的なものではないから)、それがゲームであることを知りつつ、そしてほかの物語の展開があることを知りつつ、しかしその物語の「一瞬」を現実として肯定せよ、これご、筆者が読むかぎりでの、『九十九十九』のひとつの結論である。"

    っていうのに何故かとても感動した。

  • 動物化するポストモダンの延長で今それを体現している文学について書いてある本。ライトノベルや今の前衛的な作品のメタさゲーム世代の感覚や感性がよくわかると思う。結構な射程のある本だと思うし随分とスッキリした。

  • なるほどなぁと思いながら読んでしまった。ラノベ、美少女ゲームも売れるには訳があるんだとわかった。

  • この感覚、この感覚が、自覚的に本を読み出した初めの頃に抱いていたものだったことを忘れてはいけない。

  • 2017/04/23 読了

  • 他者の台頭をおそれるあまり
    承認を与えることのできない大人たちであふれかえった現代
    メタ批評は物語の中に他者を見る
    承認の代行者を物語の中に求めているのである
    が、それはもちろん絵に描いた餅であり
    一歩まちがえば時代錯誤な偶像崇拝になりかねない
    すべての時間軸を巡礼し
    すべてのヒロインから承認を集めることで
    プレイヤーは平行世界を統べる神の視点を得るわけだ
    その結論は
    反抗期を持たなかった者たちにとってはたしかに魅力的で
    中2病が高2病になる程度のブレイクスルーなら
    もたらしえたことだろう
    …しかしもちろん錯覚だ、平行世界に現実は含まれないのだから
    その錯覚の中に、他者の入り込む余地があればいいんだけど
    (そして最初に戻る)

  • 2007年刊行。

     0年代の、ライトノベル、マンガ、アニメーション、純文学、ゲームから、広くフィクションと呼ばれる作品群の特徴を解析する。
     メディアミックスとメディア間の境界線の融解、物語の再帰性・ループ(特にゲームに顕著で、他の媒体にも影響を与える)、キャラクター依存の昂進という特徴を導き出す。
     特に、ゲームの特性(リセットが可能で顕著な再帰性、同時並行世界の描出、マルチエンディング等)の影響を論じるので、ゲームをやったことのある人なら、飲み込みやすい内容かも。

  • 2016年度best2

  • 手に取るのは2度目だがやはり難しくて頭に入ってこない。入ってこないのは著者が詳細に解説はしてくれてはいるものの、やったことのないギャルゲーや読んだことのない小説を例えにだして述べているから。ああ、そういうものかというようには読めるのだが、どうしても「そういうことか」という理解にまでいたらない。故に本自体の評価というよりは自分にはわからなかったという意味で☆二つ。ただ例にでてきた小説は読んでみたいと思う。

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著者プロフィール

東浩紀(あずま ひろき)
1971年東京生まれ。批評家・作家。ゲンロン代表。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。
著書に『存在論的、郵便的』(サントリー学芸賞思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞受賞作)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015受賞作)ほか多数。『ゲンロン0 観光客の哲学』は第5回ブクログ大賞人文書部門、第71回毎日出版文化賞受賞作。

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