ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1459
レビュー : 110
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498839

感想・レビュー・書評

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  • 動物化するポストモダンの延長で今それを体現している文学について書いてある本。ライトノベルや今の前衛的な作品のメタさゲーム世代の感覚や感性がよくわかると思う。結構な射程のある本だと思うし随分とスッキリした。

  • 批評家・東浩紀氏による文芸評論っぽい本。現代的な「リアリズム」について、きわめて刺激的な議論がなされている重要な作品です。

    本論ではいわゆるサブカルチャーに焦点を当てているのですが、もともと著者は哲学や古典文学などハイ・カルチャーへの親和性がとても強い方であり、一方で社会学者と勘違いされるくらいに現代社会というものを深く思考されている方でもあります。そういったいろいろな対立軸が、著者独特のクリアな文体によって新書一冊にまとめられている。特に優れた仕事だと思っております。

    わたしがもっとも引き込まれたポイントは「半透明」というキー・ワード(P.92~)でした。柄谷行人氏の議論に接続する形で提出されている概念であり、"近代の理想を前近代的な媒体に反射させ、その結果を取り込んだという屈折した歴史のゆえ"、つまり近代小説の言葉ではないまんが・アニメ的な表現技法の模倣による表現技法を指して使われています。ライトノベルやセカイ系といったサブカルチャーにとどまらず、現代に溢れるあらゆる表現に対してもおもしろい視点を得られる、射程の長い概念だと思われます。

    著者らしい明晰な筆致で描かれているためか、amazonのレビューを見ているとサブカルチャー側からもハイカルチャー側からも突っ込まれたりしているようです。ただ、そもそも本書が世の中であまり言及されていないこと自体、言論界全体がどうもピントがずれていることの証左のような気もします。『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)と比べても、より深められた議論になっているように感じますし、著者の作品に触れてみたいという方にはいちばん最初におすすめできる一冊だと、個人的には思っています

  • オタク世界をちょっとかじっただけの自分でしたが、「なるほどなぁ」と楽しく読めました。
    舞城王太郎さんを知るきっかけにもなった一冊です。
    「九十九十九」の最後の方の見立てのくだりがすごく好きです。


    ん、これは「九十九十九」の感想になっている…?



    この本のおかげで
    →メフィスト賞巡礼
    →西尾維新


    って読書領域が広がりました。
    そう考えるとなんとなく懐かしい気分。

  • 本書にも言及のある通り、社会と物語との関係について述べたもので、ラノベや美少女ゲームが考察の中心。
    キャラクター小説、データベース消費、まんが・アニメ的リアリズム、ゲーム的リアリズム、想像力の二環境化、自然主義的読解、環境分析的読解、コンテンツ志向、コミュニケーション的志向、文体の半透明性。
    本書で言及される世界に初めて立ち会う人でも分かるくらい説明が丁寧でありつつ、その主張は斬新。
    前半の理論編は個人的にかなり参考になった。
    背景知識が豊富な著者なので説得力がある。宇野氏がゼロ想で批判していた点も見直してみたい。

  • 思想的背景からサブカルチャーを理解する手がかりとしてお勧めだと思います。

  • 後半はまるで僕の精神の分析でもされているかの如くだった。この中だと『九十九十九』くらいしか読んでないが、たしかにこの時代精神に影響を受けているのだろう。

  • 前作よりも刺戟的。
    なるほどキャラクター小説の読み方とはこうか、とひざを打つことしばし。
    もちろん作品の選定に偏りはあるとはいえ。
    さすがあずまん。

  • 「物語」は不定形なものであり、書き方も、読み方も、それが姿を現す場所も、昨今においては、確率論でしかないように僕には思えていたのだけど。

    その考えを大きく覆してくれた、『ゴーストの条件〜クラウドを巡礼する想像力〜』(村上裕一)から遡ることで、本書へと辿り着いた。

    これはもう、東さんかっけー! という気持ちしかない。

    美少女ゲームやキャラクター小説も、実際に自分で触れ、しかもかなり深いところまで入り込んでいるため、統計データで語られるものとは、言葉の熱もまったく違う。

    読んでいるこちらのテンションが上がってくるのは、全体を通して、肯定的な目線で先を見据えて書かれているからだろう。

    本書で説明される、「自然主義的読解」と「環境主義的読解」については、さまざまな作品を理解し楽しむうえで、たしかに両方が必須になっていると感じる。

    そして、純文学だエンターテイメントだ萌えだゲームだと、分別している場合ではないと、より強く思った。

    説明もていねいで、具体的な作品の読み解きも熱く、面白すぎて息切れした。

  • 「80年代生まれの第三世代オタク」をライトノベルや美少女ゲームあたりから論じていたもの。
    今のその辺がはやってる状況だから、必然的にその消費世代への言及が多かったんでしょうか。

    ちょうど自分の世代の話(どちらかというと男性向けの話が多めでしたが)で面白かったです。
    遥か3の時空跳躍な設定は、男性向けのあたりを参考に作ったのかも知れませんね、と思ったり。

  • 僕の思考はまずDBを経由して、架空の物語を形作る

著者プロフィール

東浩紀(あずま ひろき)
1971年東京生まれ。批評家・作家。ゲンロン代表。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。
著書に『存在論的、郵便的』(サントリー学芸賞思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞受賞作)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015受賞作)ほか多数。『ゲンロン0 観光客の哲学』は第5回ブクログ大賞人文書部門、第71回毎日出版文化賞受賞作。

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