なぜ日本人は劣化したか (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 240
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498891

作品紹介・あらすじ

知らず知らずのうちに日本と日本人の学力・知性・モラルの崩壊が始まっている。

感想・レビュー・書評

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  • 香山リカが、日本人からモラルが失われつつあることを嘆き、「正当な権利」と「個人の身勝手」が混同されてしまっていることを批判するという、保守論客のような口ぶりで語っていることに、まずは驚かされました。

    それでも後半になると、小泉内閣の頃に見られた新自由主義の隆盛を、スパンの長い問題を考える知力や想像力の「劣化」という心理的な要因によって説明するという、著者らしい議論が見られます。もっとも新自由主義の問題を心理的な要因に還元することはできないのでしょうが、精神科医である著者の立場からこの問題に切り込むとこうした議論になるというのはそれなりに理解できます。

    ただ、たとえば「劣化」の例として、『奥の細道』を鉛筆でなぞる本がベスト・セラーになったことや、小学校の給食費の未払いが増えていることなどがとりあげられているのですが、どのようなセグメントにどの程度こうしたメンタリティがひろがっているのかということがデータに基づいて示されているわけではありません。印象に基づくエッセイのような時評がこの著者のスタイルなので、あまりとやかくいっても仕方がない気もしますが、さすがにRPGゲームのヒット作が出ていないことから、キャラクターの感情に共感する能力が「劣化」しているというのは少々強引ではないでしょうか。

    また著者は、高い「理念」を掲げることで問題を克服しようとする道は、「理性」がいきわたってなければスピリチュアルなどに回収されてしまうのではないかと懸念を表明しています。そのうえで、「他者を手段としない互酬的な世界の実現」という理念や「誇りの持てる国」「美しい国」といった自己賛美など、左右のイデオロギーをともに廃して、「劣化」の「病識」をもつことから現実的な解決を探っていくべきだと主張しています。しかし、そうしたメタ認知の能力がそもそも「劣化」によってうしなわれているのだとすれば、堂々巡りにならざるをえないと指摘しています。

    排除型社会での「寛容の劣化」に対する批判には、イデオロギー的なかさ上げにつながるようなある種の「きな臭さ」を感じてしまいました。もっともこれは、著者に対する先入見のせいなのかもしれませんが。

  • 確かに多くの点で日本人は劣化したと思う。
    だが、進化した部分も少なからずあると思う。
    そういった点に目を向けることも、これからの時代を生きていく上で大切なのではないかと感じました。

  • 確かにその通り、と思うのだけれど、その原因が新自由主義である、と本当に言えるのか。それだけじゃないだろう、という気がした。

  • とにかく日本は、日本人は劣化したんだよと言うことが延々と述べられている本。
    そろそろ香山さんも飽きてきたかなw

    劣化って言うとなんだか悲しい・・・。
    何をもって劣化とするのか、それは香山さんの感覚だけ。反論はいくらでも挙げられる。
    例えば、若者の「生きる力」の劣化。すぐに死にたいとか言うのは、何も今始まったことではなく、明治時代だったか、大正時代だったか、ちょくちょく若者の間で自殺が流行った時期がありました。そんな簡単なこと(当人にとってはきっと重要なこと)で死んでしまうん?!ってレベルで。当時も問題になったりしてました。

    めんどくさくて具体的なソースが挙げられないので、説得力に欠けますが・・・・w
    要するに、反論の余地は多いにある本なんですが、単なるエッセイだと思って読む本です。ってことです。笑

  • 最終的になぜ劣化したかの結論はつけられていない。何故ネトウヨが出来上がっていくのか、それがわかった気がする。

  • 第1週 1/11(水)~1/18(火)
    テーマ「日本・日本人・日本語」


    ↓貸出状況確認はこちら↓
    http://yamato.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/ctlsrh.do?bibid=BB00172872&maxcnt=1000&listcnt=50

  • 「考える」 人間は、この時間を持つことが大事という。

    今、日本人は、この「考える」力が劣化しているというのだ。

    日本語能力。他者の心を想像する能力。



    知的世界を展開させる原動力が弱まっているという著者。

    だから、知的な退廃がそれにともなっておきている。



    とにかく、本を読むことと、コミュニケーション。

  • 文字がでかくなったことは情報量の少なさ、即ち劣化を示す。まあ昔の文庫を見ると確かに文字は小さいですし説得力も無きにしも非ず。
    他人を思いやる心の欠如という点についてはその通りでしょう。権利は主張しても義務を果たさないのは人としての劣化そのもといえますし。

  • 「劣化」と言う言葉…寂しいですが納得する部分もあります。

  • タイトルの時点で非常に挑戦的な本だが、内容も十分に挑戦的だった。

    香山リカの本は初めて手に取ったのだが、前半は感覚ベースで書かれていて殆ど所感レベルだったが、後半は様々な人の引用や科学的な用語を含む文章で、差が激しかった。それも戦略なのだろうか。

    感想としては、経済社会について新自由主義批判をしていたが、やはり竹中平蔵先生が言っている内容とのズレがある。
    どちらが正しいとかは恐らく判断できないのだろうけれども、「小泉・竹中政権によって格差が拡大した」と言っているあたり、やはり感覚ベースなのかなとも思ったり。
    2007年時点の本だから仕方ないのかしら。

    結局、香山リカがどんな論者なのか十分に把握することはできなかったが、社会科学や哲学などに造詣の深い方だということは分かった。
    また面白そうな新刊を見つけたら読んでみようかな。

    ただ、香山リカの主張は、なんか僕の肌には合わなかった気が、する。
    なんでだろうね。

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著者プロフィール



「2011年 『私はのんびり生きてきた。 : 最適化社会が不幸を生む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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