生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 9773
レビュー : 1231
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498914

感想・レビュー・書評

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  • 人間が食べる意味と言うのは、その食べた物のエネルギーをガソリンがわりにして身体を動かしていると言うのが定説だけど、この本に書かれていることは違った。

    普通は人間が食べた物はまず身体に取り込まれ、その食べた物がその場で消化吸収され排泄物として出ると思われてるけどそれは間違いで、
    人間が食べた物はまず身体の一部になる、そして身体の一部になっていた物が排泄物として排出される。
    食べた物が身体を通して排泄されるのではなくて、何日、何週間前に食べてた物の身体に一部となっていた物、
    すなわち古い細胞の部分が排泄物として排出されていたと言うこと。
    つまり人間の細胞と言うのはどんどん入れ替わっているということで、元の自分は居なくて、常に食べ物を食べ続けることによる動的平行の中で、新しい自分に生まれ変わっているってことが分かった。

    難しい用語や言葉が多くて理解出来ないところが多数あったので、
    しっかり理解出来る様になりたいなと思いました。

  •  一般の人間にはうかがい知れぬ現在の「研究者の世界」と、最先端の「生物学の世界」をわかりやすく紹介することにかけて、著者は実に優れている。
     著者は、研究者としてはどうかは知らないが、「エッセイスト」としては「一流」なのではないか。
     「相反する野口英世像」、「ウィルスの発見」や「DNA」の最先端の紹介は、素人が読んでもよくわかり面白い。
     「ボスとポスドク」の世界が、同時に「研究室の奴隷(ラブ・スレイブ)」であるとは、「研究者という世界」が「栄光と名誉」だけではなく「膨大な犠牲者」が共存する過酷な世界であることを教えてくれる。
     このような普通知ることができない領域、しかも「学問の世界」を知ることを「教養を身につける」といえるのではないだろうか。
     本書を、「異世界を知ることができる」良書として高く評価したい。

  • 「動的平衡」の福岡伸一教授が自身の研究とそれに関連する、DNAなどの重要なたんぱく質発見までの歴史をまとめつつ、「生物はなにか」という根源的なテーマに触れた一冊です。

    まず最初はロックフェラー大学における、野口英世のありのままのエピソードに始まり、日本人にとってのヒーローとしての像を覆します。

    そこでウイルスという、当時見つけようのなかった、「生物と無生物のあいだ」に位置する物質について、さらにはワトソンとクリックによりDNA発見の歴史の裏話、また別の「生物と無生物のあいだ」に位置する多種のタンパク質発見の変遷がわかります。

    研究室と言う狭い世界で、天才たちによって繰り広げられるドラマも描かれており、とても興味深いです。
    PCR発見のエピソードなど、とても感動しました。

    やはり福岡先生の文才はすごいなあと感じさせられます。
    オススメします。

  • 正直、何の話なのか、よく分からない。生物と無生物の違いについての話なのかと言えば、そうではない。もっというと、生物とは何か、どころの騒ぎではない。とにもかくにも、面白くて引き込まれ、あっという間に読んでしまった。著者は、なんとも計り知れない人だ、と思った。

    一体この本について、なにから書けばいいんだろう?野口英世についての意外な話、中盤のDNAをめぐる様々な登場人物、著者の研究にまつわるエキサイティングな経過と意外な結末、そこから導き出した「生命の本質」。四季折々のアメリカの風景、なにげないけど印象深い登場人物たちも、じわじわと大きな流れの一つとして沁みてくる。
    そうして見えてくる、動的平衡の実感・・・昨日の私と、明日の私は、同じ私ではない、という真実。深遠なる生物の仕組み。人間が生命を「いじる」ことの罪深さ・・・自分という存在が、とてつもなく不思議に思える。
    私たちは、生命の真理にたどり着けるのだろうか。。。

  • まるで小説のような生物学の本。研究者たちのドラマ。動的平衡、生命の一回性。

  • DNAの二重螺旋構造発見に関する物語は、ビジネス小説のようで面白かった。
    勉強になった点は、 「生物には時間がある。不可逆的な時間の流れがあり、その流れに沿って折りたたまれ、一度折りたたんだら二度と解くことができないもの。それが生物である。」ということと
    必要な遺伝子が欠落しても補完差用が働き、全体に影響は無いが、必要な遺伝子の似て非なるものが作用すると破綻を来たす。このことは人間の組織にとっても言えることなのだろうかと考えてみた。

  • ・なんで読んだ?
    ずっと気になっていた。

    ・つぎどうする?
    「動的平衡」を読みたい。ちょっとわからないところがあったから。

    ・めも
    おそらく終始、エイブリーを支えていたものは、自分の手で振られている試験官の内部で揺れているDNA溶液の手ごたえだったのではないだろうか。DNA試料をここまで純化して、これをR型菌に与えると、確実にS型菌が現れる。このリアリテイそのものが彼を支えていたのではなかったか。別の言葉でいえば、研究の質感といってもよい。これは直感とかひらめきといったものとはまったく別の感覚である。研究とはきわめて個人的な営みといえるのである。

    生命とは自己複製を行うシステムである。DNAは2対の螺旋状で、AとT、CとGのペアでできている。日常的に紫外線や酸化的なストレスで配列が壊れていながら、片方を元に修復されている。

    なぜ原子はちいさく、われわれの身体はこんなに大きいのか。原子にたいしてずっと大きい必要があるから。原子は常にランダムな熱運動をしている。生命の秩序ある現象は、平均的なふるまいとして顕在化する。原子のルート分だけ異常値が出る。100の原子には10の異常が出て、10%の誤差率で不正確になるが、100万の原子であれば1,000の異常が出て0.1%になる。生命体が原子ひとつに対してずっと大きい物理学上の理由はここにある。生命現象に必要な秩序の精度を上げるため。

    エントロピーとは乱雑さ、ランダムさを表す尺度である。拡散はその途上では濃度勾配という情報をもたらすが、やがては一様に広がり平衡状態に達する。物質の勾配のみならず、温度の分布、エネルギーの分布、化学ポテンシャルと呼ばれる反応性の傾向も、すみやかにその差が解消されて均一化する。熱力学的平衡状態、あるいはエントロピー最大の状態と呼ぶ。いわば世界の死である。すべての物理学的プロセスは、物質の拡散が均一なランダム状態に達するように、エントロピー最大の方向へ動き、そこに達して終わる。これをエントロピー最大の法則と呼ぶ。

    秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない。エントロピー最大の法則に抗う唯一の方法は、システムの耐久性と構造を強化することではなく、むしろその仕組み自体を流れの中に置くこと。
    生命とは動的平衡にある流れである
    dynamic equilibrium

  • "素晴らしい著書。筆者は、科学的知識のない一般の人々に、見事なわかりやすい比喩を用いて生命の営みを伝えてくれる。小さな細胞、原子、核から生き物が普遍性を持って機能している仕組みを喝破する。
    本当に面白い。ただ、私はこの本の内容を正確に他人に伝えるまでには至っていない。
    理解した気分にいる程度。この本を読んだきっかけから科学者を目指す人がきっと出てきます。
    そんなことになったら著者が一番喜ぶのだろうなぁ"

  • 最近思うのですが、ベストセラーになるような学術本にも松竹梅というランクがあるようです。

    梅は、内容をろくに理解できず面白くもないのに流行で売れてしまう本。

    竹は、難解で100%理解するのは無理だとしても、知的興奮を味わえることができる本。

    松は、読んだ後、感動すら覚え文句なく座右の書にしたいと思わせる稀有な本。

    私は、この本は竹として評価しました。

    特に、面白かったのは、あるDNAを完全に欠如させた細胞でもマウスは健全に生存し、あるDNAを部分的に欠如させた中途半端に不完全な細胞では、異常をきたしてしまうという発見です。
    これが機械であれば逆で、完全に壊れた部品が混じればそもそも機能しないだろうし、少し壊れたくらいなら何とか動くはずだし、最悪でも本体を傷つける暴走はしないでしょう。
    しかも、この発見は、科学者のその場の思い付きで検証されたという点に、化学の奥深さ、あえて言えば予測不能な神秘さがあるような気がします。

    そして確実に言えるのは、最先端で最高度の生物学の集合体、それが人間を代表とする生物だということです。

    例え日々を漫然と過ごしていたとしても、我々の体の内部ではトンデモナイ高度な生体維持のための営みが為されていることに思いをいたせば、前向きになれるような気がするのは私だけでしょうか?

    期待以上に楽しめた1冊でした。

  • 動的平衡より先に本書を読みました。
    私は文系なので、理系の知識は一切ありませんが、専門的な用語を無視して読んでも大変興味深い作品であると思います。
    福岡先生の文章の滑らかさは圧巻で、小説を読んでいるかのような錯覚に陥ります。
    また、理系の方ならではの着眼点や理論構成は、文系の方にとっても非常に勉強になるものであると考えます。

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著者プロフィール

福岡伸一 (ふくおか・しんいち)
生物学者。1959年東京生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授。2013年4月よりロックフェラー大学客員教授としてNYに赴任。サントリー学芸賞を受賞し、ベストセラーとなった『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、『動的平衡』(木楽舎)ほか、「生命とは何か」をわかりやすく解説した著書多数。ほかに『できそこないの男たち』(光文社新書)、『生命と食』(岩波ブックレット)、『フェルメール 光の王国』(木楽舎)、『せいめいのはなし』(新潮社)、『ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで』(文藝春秋)、『福岡ハカセの本棚』(メディアファクトリー)、『生命の逆襲』(朝日新聞出版)など。

「2019年 『フェルメール 隠された次元』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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