生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 9765
レビュー : 1231
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498914

感想・レビュー・書評

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  • このサイトだけでも、およそ9000人の方が登録していて感心した。
    む。難しかったけどなー。

    きっと、良いレビューは他に沢山あると思うので、私は自分勝手な感想を。

    そもそも、「生命」とは何か。
    この問いにp167でこう答える。

    「生命とは動的平衡にある流れである」

    なるほどー!っと思えるなら素養がある。
    更に調べてみた。「動的平衡」とは何ぞや。
    「互いに逆向きの過程が、同じ速度で進行することにより、系全体としては時間変化せず平衡に達している状態。」んー。
    状態としては変わらないが、中身は常に新しくなっているということ。
    その「流れている」という状態を常に保ち続ける秘訣とは何か、という話なのでしょう。

    ある程度の曖昧さの中でも修復可能な面があるかと思いきや、一度折りたたまれるとやり直しの効かない面もあって、なんというか不思議の一言。

    詳しく分かったか、と言われると微妙だけれど、どのように迫っていくと何が分かるかという過程の面白さはあるように思えた。

  • 最近思うのですが、ベストセラーになるような学術本にも松竹梅というランクがあるようです。

    梅は、内容をろくに理解できず面白くもないのに流行で売れてしまう本。

    竹は、難解で100%理解するのは無理だとしても、知的興奮を味わえることができる本。

    松は、読んだ後、感動すら覚え文句なく座右の書にしたいと思わせる稀有な本。

    私は、この本は竹として評価しました。

    特に、面白かったのは、あるDNAを完全に欠如させた細胞でもマウスは健全に生存し、あるDNAを部分的に欠如させた中途半端に不完全な細胞では、異常をきたしてしまうという発見です。
    これが機械であれば逆で、完全に壊れた部品が混じればそもそも機能しないだろうし、少し壊れたくらいなら何とか動くはずだし、最悪でも本体を傷つける暴走はしないでしょう。
    しかも、この発見は、科学者のその場の思い付きで検証されたという点に、化学の奥深さ、あえて言えば予測不能な神秘さがあるような気がします。

    そして確実に言えるのは、最先端で最高度の生物学の集合体、それが人間を代表とする生物だということです。

    例え日々を漫然と過ごしていたとしても、我々の体の内部ではトンデモナイ高度な生体維持のための営みが為されていることに思いをいたせば、前向きになれるような気がするのは私だけでしょうか?

    期待以上に楽しめた1冊でした。

  • 文章が情緒的で読んでいて快い。
    専門的な内容も巧みな例えで上手く表現されていた反面、観念的なイメージとしてしか、理解できなかった。入門書としてはとても良いのだと思う。

    エピローグは少年の日の思い出を思い出した。

  • 印象に残ったところ。
    ・時の試練に耐えられなかった、野口英世の研究(p.21)
    ・「医者がX線写真をライトにかざすとき、彼が診ているものは、胸の映像というよりはむしろ、彼らの心のうちにあらかじめ用意されている『理論』なのである。」(p.117)
    ・Chance favors prepared minds.(p.128)

    福岡ハカセのヒット作。
    内容も示唆に富んでいてとってもいいんだけど、何より各章の導入文がどれも非常に魅力的。
    なかでも「第9章 砂上の楼閣」が印象的だったので、抜粋しておきます。

    ・「遠浅の海辺。砂浜が緩やかな弓形に広がる。海を渡ってくる風が強い。空が海に溶け、海が陸地に接する場所には、生命の謎を解く何らかの破片が散逸しているような気がする。だから私たちの夢想もしばしばここからたゆたい、ここへ還る。」(p.152)

    素敵~。

  • ヒトは食べたもの、カラダに入れたものの積み上げで、動的に成り立っている。なるほど深く実感。 福岡先生の「研究者 人間観察」も、文系的な視点で、違った味わい。 実は野口英世は…って件は、ちとショックだったなー。 『二重らせん』はぜひ読んでみたい。

  • 本屋で見たポップに惹かれて読んでみたものの、文系のわたしには難しかったかも…。
    でも風景が浮かんでくる場面があったり、ミクロの世界をすごく分かりやすく描写してくれてたりして小説的な部分もありわりと読みやすかったです。
    理解できたか?と聞かれると、首をかしげるしかありませんが。
    でも面白いと感じられる一冊です。

  • 福岡先生の視点、感覚というものに触れることができます。また読み返したい一冊です。

  • 人間の細胞のメカニズムが分かるのみ。知っておいて損はない内容。

    ただ、文章のなかに、著者の学生時代の思い出や情景などが話の間間で書いてあり、しかも文学っぽい表現で書いてあって、ちょっと気持ち悪いです。

    科学者は科学者らしい文章で淡々と描いてほしいものです。ちなみに、こういった部分は、読まなくても本題には一切関係がありませんので、読み飛ばすのがよさそうです。

  • 因果関係は、「介入」実験を行ったとき初めて立ち現れる。介入実験とは文字通り、原因と思われる状況を人為的に作りだし、予想される結果が起こるかどうかを試すということ。

  • ”生物と無生物のあいだ”福岡伸一著 講談社現代新書(2007/05発売)

    ・・・延々と生物とは何か!の話が続くのかと思いましたが、違いました。
    (もしそうなら現代新書ではなくブルーバックスで出てるはずよなー)

    各年代の研究者の紹介をしつつ”生命とは動的平衡である”という結論に至る話。
    名前だけは知っているワトソンとクリック、物理学者のシュレディンガーの生物についての言もあり、
    こういったジャンルに縁のない身としては楽しめました。
    (逆に詳しい人なら物足りないかも?)

著者プロフィール

福岡伸一 (ふくおか・しんいち)
生物学者。1959年東京生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授。2013年4月よりロックフェラー大学客員教授としてNYに赴任。サントリー学芸賞を受賞し、ベストセラーとなった『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、『動的平衡』(木楽舎)ほか、「生命とは何か」をわかりやすく解説した著書多数。ほかに『できそこないの男たち』(光文社新書)、『生命と食』(岩波ブックレット)、『フェルメール 光の王国』(木楽舎)、『せいめいのはなし』(新潮社)、『ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで』(文藝春秋)、『福岡ハカセの本棚』(メディアファクトリー)、『生命の逆襲』(朝日新聞出版)など。

「2019年 『フェルメール 隠された次元』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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