司法は腐り人権滅ぶ (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061498938

作品紹介・あらすじ

いまや裁判所が人権を侵害し、最高裁すら憲法に違反している。イカれた判事(?)のアキれた判決。

感想・レビュー・書評

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  • 初学者が読むのはあまりお勧めできない。ある程度、通説判例を理解した上なら、論点への1つの切り込み方として面白く読めると思う。

  • 要は、裁判所が憲法に規定されている内容以上の越権行為を行っているという主張です。また裁判員制度にも反対しています。
    人権が滅ぶというタイトルは少し大袈裟な気がします。議論がすこしひとりよがりなきらいがありますが、一つの考え方としては面白いかもしれない。

  •  裁判所が判決理由で憲法判断に言及することがよくあるが,そのほとんどは三権分立原理に反する越権行為であり違法である,という見解が彼の諸著作の根柢にある。憲法裁判所のない日本では,個別具体的事件に対する法的解決を担当する司法は,その事件の解決に必要な限りでしか憲法判断できない(付随的違憲審査権)のに,「なお…」,「付言すると…」などとして一般化した議論を理由中で行うことが横行している。筆者はこれを「蛇足判決」と称し徹底的にやっつける。本書では具体例として,最高裁の尊属殺重罰規定違憲判決・愛媛玉串料違憲判決,福岡地裁の首相靖国参拝違憲判決,の三つを挙げ,司法の政治への不当介入を指弾する。
     注目を集める裁判で,関心部分の判断に触れない,素っ気ない判決(筆者のいう適法な判決)が出るとマスコミが先頭を切って「なぜ憲法判断に踏み込まなかったのか」などとぶちあげる。そういう世論の動向が現在の慣行の温床になっているのだろう。しかし司法も所詮国家権力,つねに正義を実現するとはいえない。法律による授権がないことは一切してはならぬ,というのは権力の暴走を防ぐための大前提だったはずだ。蛇足判決は厳につつしむべし。…まあそれが理想なのだが,立法や行政の怠慢が司法の発言を招いた原因であり,現状にもやむを得ない面がある。筆者のように裁判所の政策形成機能を全否定するのはあまり現実的ではない。たしかに理窟を徹底していくと筆者の自画自賛する蛇足判決理論にいきつくのだろうが,この調子でいちいちあげつらっていけば,細かい矛盾は司法制度の随所にみられよう。致命的な問題なく運用されている現状を直ちに改変することが有意義であるかどうかは疑問。とはいえ,このような発言をする人の存在は大変貴重だ。
     裁判員制度についても述べ,こんな馬鹿な制度は導入後破綻することが目に見えているという考えを披瀝する。なぜ法律の専門家である裁判官が裁判しているのかというと,法律に基づいた裁判をする必要があるからである。素人が入ってきては感情に影響されて法律に基づいた裁判が望めなくなり,リンチ紛いの人民裁判になってしまう。今でさえ司法に対する世論の影響は多大なものがあるのに,個別具体的事件について,これ以上国民感情を反映させるのはたしかにどうかと思う。国民の意思は第一に選挙,第二に言論による行政批判によって反映させれば十分で,司法への直接介入は不適当だろう。裁判員制度の対象は重大・兇悪事件,平穏な生活を送る一般市民にとっては重荷でもある。

  • 日本の裁判所も同様に縦割りで官僚主義的だといわれる理由が分かります。

  • 尊属殺重罰規定違憲判決や愛媛玉串料違憲判決は間違ってるということがセンセーショナルだった。書かれてることに一理あると思うが、でも、実際判例として今使われてるからなあ。裁判員制度は廃止すべきだとしてる。全体的に論理的に説明されているが、この主張では筆者が再任拒否されるのも分かる。

  • 元判事による司法に対しての批判本。この著者は裁判の判決文における蛇足を問題として多くの著書を書いているが、その説の延長線上にある。蛇足云々についてはある程度は理解できるのだが、今回の批判まで来ると個人的な司法制度に対しての恨みを感じるところもある。もう少し建設的かつ現実的な論の展開であればよいのだが。

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著者プロフィール

同朋大学大学院人間福祉研究科・社会福祉学部准教授。臨床心理士。
名古屋大学大学院文学研究科博士前期課程(心理学専攻)修了(文学修士、1982)。愛知県児童相談所に勤務(1983〜1999)。1999年より同朋大学社会福祉学部専任教員。家族援助論、児童福祉臨床研究などを担当。児童家庭相談、特に児童虐待防止ケースマネジメントを研究。
主な著書等:『児童虐待へのブリーフセラピー』(共著 金剛出版 2003)、『新生児医療現場の生命倫理』(共著 メディカ出版 2004)、「サインズ・オブ・セイフティ・アプローチ入門」(共著 そだちと臨床vol.2 明石書店 2007)。訳書として、『安全のサインを求めて』(ターネル、エドワーズ著 共監訳 金剛出版 2004)、『児童虐待を認めない親への対応』(ターネル、エセックス著 共監訳 明石書店 2008)

「2008年 『子ども虐待防止のための家族支援ガイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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