明解量子宇宙論入門 (KS物理専門書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061532854

作品紹介・あらすじ

基礎から最先端がわかる。最新理論が描きだす壮大な宇宙像を、最低限の予備知識で理解する一冊。

感想・レビュー・書評

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  • Ⅰ~Ⅱ部では、いわゆる教科書では省かれている、方程式の成り立ちや物理的解釈の変遷、当時の背景などが詳しく書かれ、なるほどの連続である。
    Ⅲ~Ⅳ部では、最新物理理論のオンパレードで厳密性を損なわない範囲で数式を用いて説明される。単純に好奇心がそそられる。

    全体的には学部3,4年生から大学院生向けの内容か。

    この分野は手詰まりなのが、よく分かってしまい、一瞬、物理を学ぶモチベーションが下がったが、よくよく考えてみると、だからこそ、これだけの多様な考え方、アプローチが生まれている、その創造性を感じるために学ぼうと思えた。

    ・アインシュタインの宇宙項の導入
    ・共動座標、フリードマン方程式(福江の宇宙論でやったことの裏付けが得られる)、質量がない場合の加速膨張
    ・一様等方性を持つ時空は3つのタイプしかない。ロバートソンウォーカー計量に尽くされている。
    ・作用の停留値が複数の場合の解釈が多世界解釈の論点となる。
    ・場の理論の場合、エネルギーの保存則はエネルギーEの値が一定ではなく、エネルギー運動力テンソルの微分形が0と表されるので、急激膨張の際にエネルギー密度が一定でも矛盾はない。
    ・アインシュタイン方程式に、微分されたものではなく、エネルギー運動テンソル自体が現れることが、暗黒エネルギーの存在と密接に結びつく。
    ・宇宙がどのように誕生したかは哲学的な問題ではなくて、どのような境界条件が妥当かという単純な問題に過ぎない。
    ・特異点定理により、アインシュタイン方程式が厳密に成り立つ一般相対性理論の枠内では周期的に膨張・収縮を繰り返す振動宇宙は否定される。
    ・マルチバーサルな定数。プランク定数の特異性。

  •  高度な数学の知識を必要とするものの、今分かっていることがほぼすべて網羅されていて読み応えがあった。マルチバース、人間原理、宇宙定数、多世界解釈といった内容の検証だけでなく議論の必要性の有無が議論されているような分野についての言及もなされており量子宇宙論全体を俯瞰するのに最適な内容となっていた。図はほとんどなく(といっても図示することが困難な事象ばかりなので仕方がないが)、数式だけで議論が進んでいるためとっつきにくいところもあるが、数式を飛ばしてもおおよそ内容が分かるように書かれているため、宇宙論の読み物をいくらか読んでいればついていけるだろう。

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著者プロフィール

1956年三重県生まれ。大阪大学理学部物理学科卒業、同大学院博士課程修了。理学博士。専攻は、素粒子論(量子色力学)。東海大学と明海大学での勤務を経て、現在、サイエンスライター。 著書に、『時間はどこから来て、なぜ流れるのか? 最新物理学が解く時空・宇宙・意識の「謎」』(講談社ブルーバックス、2020)、『量子論はなぜわかりにくいのか 「粒子と波動の二重性」の謎を解く』(技術評論社、2017)他。

「2020年 『談 no.117』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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