- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061546769
作品紹介・あらすじ
何だかよくわからない統計力学を誰でもわかるように解説。寝ころんで読める、目からウロコの統計力学入門。
感想・レビュー・書評
-
熱力学の本はちょくちょく読んだことがあるが、統計力学については読んだことが無かった。読んだことがあったのかもしれないが数式だらけで参考書を読もうと思っても挫折していたのだが、この本は高校生レベルの統計の知識があればかなり理解が深まるようになっている。
力学について集団の特性を適用し、情報を確率分布などの統計量で捉えることで、高校物理で習った熱力学の論点とか、高校化学で習った熱化学方程式とのつながりも理解できたし、フェルミ統計とかボース統計といった量子力学で聞きなれた用語が出てきたり学問としても面白く、集団の特性を見ることが情報処理とか株価予想などまったく違う分野ともつながっているということで今後も興味を持って見ていきたい学問分野であるということも分かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者は東大物性研准教授。
分配関数の説明がわかりやすい。「logZは確率分布の生成母関数である(p.90)」という説明が私にはわかりやすかった。
また、固体のモル比熱が3Rであることが統計力学で説明できるところなどとてもおもしろい。 -
大学初年度に熱力学を学んだ人は多いと思うが、あの美しい理論には物体についての基本的な理論であるニュートン力学や量子力学は一切出てこなかった。熱力学の対象とするものは分子などのミクロな粒子が多数集まった系であり、一つ一つの粒子を追って議論することは不可能だからだ。しかし、ミクロの理論から適切な仮定をもとに”統計的”にマクロな系のふるまいを説明することはできる。それを担うのが本書のテーマである統計力学だ。本書はほかの多くの統計力学の本とは違い前提知識をあまり要求しないところに特徴がある。熱力学を学び少し物理に興味がでた人なら読み進めることができるだろう。また、本書は先生と生徒の会話形式で書かれており、無味乾燥な言葉では伝わってこなかった式などの”気持ち”が生き生きとわかる点で面白い。そしてところどころ出てくる余談のような部分も、最後まで読めることに一役買っている。まさにゼロから学ぶという題にふさわしい。物理を研究に使うつもりがない方にとってはちょうどよいレベル感であることもおすすめポイントだ。
(理科I類・1年)
【学内URL】
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/Viewer/Id/3000028217
【学外からの利用方法】
http://www.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/gacos/faq/gakugai.html -
GOOD