日本文化論 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (82ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061580220

作品紹介・あらすじ

近代西欧文明は、〈力〉を原理とし、科学技術を武器として世界を制覇した。しかし、20世紀に入り、とくに原水爆の出現いらい、〈力〉の文明は明らかにゆきづまりを見せている。これからの新しい文明創造の原理をどこに認めたらいいのか。著者はそれを日本の精神的文化遺産である仏教思想の中にみ、科学技術偏重の明治以来の教育を批判し、仏教精神を教育にとり入れることを説く。常に新しい思想を展開させる著者の創造的日本文化論。

感想・レビュー・書評

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  • 日本が拡大主義でなかったとは言えないと思うが、欲望を正しい形で叶えるべき教養が大切だというのはもっともだ。

  • 本書は梅原猛氏が昭和43年に富山県教育委員会の依頼により講演した内容がベースとなっている本です。全部で82ページと非常に薄く、講演録ですので1時間もあれば読めてしまいます。日本文化論ということで期待して購入しましたが、その意味ではあまり期待通りではありませんでした。西洋の文明は技術的、物質的であり、現代はそれが限界にきていること、日本のような精神面での文化をこれまでの物質文明にブレンドして日本が新たな文明を作っていくべき、ということで、特に仏教の考え方を日本人は学べきだという内容でした。その意味では、本書内で梅原氏の具体的な提案があるわけではなかったので、そこまで期待される方は本書は期待はずれになるかと思います。

  • 簡潔でわかりやすい文章でありがたかった。
    日本の教育が英・数に偏った、西洋文明導入ありきの内容になってしまっていることは私も感じたことがある。
    日本人としてどう生きるべきか、何を大切にするべきなのか、そういった人生に本当に必要な精神的な部分の教育が「個人の自由」のお題目によって排除されてしまっている。
    日本古来の考え方で、物事の習得の順序に「守・破・離」というものがあるが、自分の人生を考える上での「守」の部分の教育がなければ、「離」にあたる真に自由な思考に辿り着ける人がどれだけいるのか疑問。結局は膨大な情報の波に流されて何となく生きるのがせいぜいでは。(私も含め)
    著者の述べた「新たな文明の創造」を日本が成し遂げるには国民一人ひとりの精神的な発展が不可欠であると私は思う。
    世界で最も少子高齢化が進んでいると言われる我が国には「新たな文明の創造」のチャンスは十分にあるはず。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/739670

  • 榊原英資 どうすれば「最高の仕事」ができるか P94

  • 這卷也是論文合集,比較特別是提到"淨"的價值,這是神道中心的價值,佛教的清淨觀也因此易於被日本人接受。淨也是日本人重要的價值判斷(キタナイ奴、清き一票)。接著提到いのち、心、地獄這三個日本文化重要的底流。明治時代有必要學習西方,但是歐洲哲學(憤怒)可能走到一個死胡同了,日本也應該反思是否走自己的路。另外提到一點很直得注意的是他說明治以來教育重點放在技術教育,因而缺乏精神性(反倒歐洲的教育重點放在教養出一個文化人),日本不是沒有哲學(這是哈歐的妄自菲薄),許多重要的大思想家大文章家正好都是宗教家,但是這些宗教家深刻的思索、自省、雄渾的文章通通不教,只教二流人物的諸如無常男和退屈男(方丈記和徒然草),只會產生一堆虛無主義者;不學宗教,不讀佛典也就失去這些重要的精神遺產,造成一大堆精神的音痴。理解文化不能不懂宗教,譬如解讀源氏物語,但是當代學者缺乏這種能力也不太關心。

  • 70年代の講演録。国学が仏教に置き換わっているが、西洋近代思想の限界を日本古来の思想でブレイクスルーしようとする考えは、未だ「近代の超克論」の延長にあると言えるだろう。食傷ぎみに感じる。国粋主義の反動で西洋近代の理想像(共産主義含む)を追い求める一方、戦後においても絶え間なく近代超克が主張され受け入れられていたことがわかる。
    言わんとしていることはわかる。確かに、トクヴィルやハイデガーは西洋近代思想に行き詰まりを感じていたのだろうし、喫緊の課題である大量破壊兵器の存在は西洋近代の産物だった。そのような世界で日本独自の哲学を確立しようとすれば、消去法的に仏典へたどりつかざるを得ない。もはや篤胤や宣長は使い古された。著者が言うように、西洋近代思想もマルクス主義もキリスト教由来なのだから、同じ宗教由来ということで仏教由来の新思想があってもよさそうなもの。しかし、徒然草や方丈記を否定し、仏典に強固な思想的厚みを見いだそうとする姿勢こそ、いつまでも西洋近代にとらわれているように見えるのだが、どうだろう。

  • なぜ日本人には「その先」がないのか。宗教、哲学、技術、教育、西欧から各大陸間、これらを通じ日本がしてきたこと、これからしてゆくこと。単純だが深く、自身で教育、教養を見直してしまう、識者からの問いかけ。

  • 文学や思想を学んでいると、時々ふと「これがなんの役に立つのだろう・・」というプチ無常に陥ってしまう私の目を覚ましてくれる本。

  • 2013年1月再読。著者が最も仏教に関心が強かった時期に論じられたもので、仏教思想と精神を教育に取り入れることを強く説く中で、日本文化とは何かということを論じている。

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著者プロフィール

哲学者。『隠された十字架』『水底の歌』で、それぞれ毎日出版文化賞、大佛次郎賞を受賞。縄文時代から近代までを視野に収め、文学・歴史・宗教等を包括して日本文化の深層を解明する〈梅原日本学〉を確立の後、能を研究。

「2016年 『世阿弥を学び、世阿弥に学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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