論語について (講談社学術文庫 61)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061580619
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  • 吉川幸次郎
    論語 講演集。第一人者の説明は わかりやすい。

    孔子の肯定的人間観を知ることにより、論語の説教くさい道徳規範書のイメージがなくなり、人間のあるべき姿を描いた文学に感じた。

    論語の どの現代語訳を読んでも しっくりこなかった「仁」や「五十にして 天命を知る」の意味が、目からウロコのわかりやすさ。


    論語に反映した孔子の人間観
    *人間は大きな可能性を持っている
    *人間の可能性を生かす方へ進むのは人間の使命
    *人間は使命と同時に運命(生命の有限性)を持っている
    *現在の人間には失望しているが、未来の人間に対しては期待している
    *文明主義=人間は文明の生活をしてこそ人間である
    *人間の一生は仕事である、仕事をすればこそ人間である
    *人間は生きるために学問が必要〜書物を読まなければならない
    *善意に対してこそ善意をもって報いよ、悪意に対しては正義をもって報いよ


    仁の定義
    *仁=人間相互の愛=人と人との愛情〜その愛情を増大してお互いが生きていくこと
    *人間の人間に対する愛情である
    *仁の正しく行使のためには 学問による広い知識が必要
    *愛情の行使は 政治を通して行うことが最も効果的

    五十にして天命を知る
    *人間以上の存在としての天
    *天=宇宙の秩序の具象、万物は天の所産
    *顔回の死は 孔子の滅亡でもあると嘆いている〜滅亡を生んだのは天
    *命=人間は使命と同時に運命(有限の生命)を持っている

    孔子の理想的政治
    *仁による文化的政治の実践
    *文化国家であった周(文王→武王→周公)

    君君たれ、臣臣たれ〜
    *人間に必要なのは秩序である
    *臣は君に絶対服従せよという教えは存在しない

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著者プロフィール

吉川幸次郎(よしかわ・こうじろう):1904―80年。神戸市生まれ。京都帝国大学文学部文学科入学、支那文学を専攻。1928―31年、中国留学。京都大学人文科学研究所東方学研究部研究員を経て、京都大学教授。この間、数々の著書を発表、日本の中国文学の普及に大きく貢献、芸術院会員、文化功労者となる。主な著書に『尚書正義』『杜甫私記』『陶淵明伝』『仁斎・徂徠・宣長』がある。

「2023年 『中国詩史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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