内村鑑三 (講談社学術文庫 64)

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  • Amazon.co.jp ・本 (97ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061580640

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  • (2002.11.10読了)(2002.06.16購入)

    ☆関連図書(既読)
    「基督信徒のなぐさめ」内村鑑三著、岩波文庫、1939.09.15
    「後世への最大遺物・デンマルク国の話」内村鑑三著、岩波文庫、1946.10.10
    「代表的日本人」内村鑑三著・鈴木範久訳、岩波文庫、1995.07.17

  • 森有正氏独特の内村鑑三との内面的体験を論じた小冊子とも言えるかもしれない。
    内村鑑三は、西洋の文化が武士道的日本の風土に入ってくる中で、唯一神信仰を真の自己の問題として主体的決断として体得した。
    幻影作用ではなく、キリストとその働きと、事実であったのだろう。
    武士道倫理と、ヘブライズム・キリスト信仰の内面的和解、結合が彼の中で行われる。
    内村において、日本における本当のキリスト教の真の受容が行われたのではないだろうか。
    そして、注目すべき点は、内村が、キリスト者であったと同時に、社会問題にも立ち向かい、自然科学の研究も熱心に行った一人の真摯な人間でもあったということだろう。
    この問題とキリスト教信仰の折り合いをどうつけるかということにも彼は腐心している。
    そのうえで、彼は聖書を「最後の憑典」と位置付ける。かれの、魂と神との関係は、「責任」を中心とした人格関係でもあった。いわば、かれは、武士道から独立し、しかもそれを生かそうとするのである。西洋的自我の独立でなく、あくまで、人間と人間の主体的関係における、個体の、自由なる責任の自覚という意味における独立である。
    本当の意味での自己の独立というものを本書を通して考えたい。

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著者プロフィール

1911年東京に生れる。1938年東京大学仏文科卒業、卒業論文はパスカル。その後同大助教授をへて、1950年8月、戦後初のフランス政府給費留学生として渡仏。この時以降、一時的な帰国をのぞき、日本に戻ることはなかった。パリでは国立東洋語学校およぴソルポンヌで日本語、日本文学を講じ、1972年からはパリ大学都市日本館の館長をつとめた。『バピロンの流れのほとりにて』をはじめとする一連の著作は、経験と思索を独自の言語表現にまで高めたものである。1976年10月18日、パリで逝去。著書は『森有正全集』(全14巻・別巻1、筑摩書房、1978-82)にほぼ収められている。訳書にはデカルト『真理の探究』、バスカル『幾何学的精神』(ともに創元社、1947)、アラン『わが思索のあと』(思索社、1949)ほかがある。

「2019年 『定義集 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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