絵の言葉 (講談社学術文庫 74)

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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061580749

感想・レビュー・書評

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  • 小松左京と高階秀爾という博識の二人が、古今東西の絵画について語った対談集。
    あまりのビッグネームに、ついていけるか心配になりながらも興味シンシンで、読んでみました。
    高階秀爾の芸術論の著作は何冊も読んだことがありますが、SF作家というイメージの小松左京が、彼と肩を並べるほどの芸術に造詣が深いことを知り、驚きました。
    やはり著作家は、博覧強記であってこそなのでしょう。

    二人とも、ウマがあったようで、夕方から翌朝にかけてなんと16時間も対談したそうです。
    その内容を本で読めるとは、なんと贅沢なんでしょう。

    シャガールの絵には、幻想的なふわふわした作品というイメージがありますが、ユダヤ人にとっては、どの作品もすべてユダヤの民話や諺に全部当てはまる絵言葉もので、ファンタジーというわけではないんだそうです。
    たとえば、ユダヤの言葉には、気持ちが高揚したときに空を飛ぶ、という言い方があるそうな。まさにシャガールの絵ですね。
    「屋根の上のヴァイオリン弾き」とは、「幻想を追う、虹をつかむ」というユダヤ的表現だそうです。

    また、ゴッホがよく題材として取り上げた糸杉は、南仏では墓場の木で、死のイメージを持つものだとのこと。

    ハリウッド映画では、男の善玉は必ずブリュネット(栗毛色)の髪をしているそうです。
    歌舞伎のように、見た目で役割がわかるようになっているんですね。
    金髪は派手な役回りのキャラクターで、実際の立て役はブルネットなんだとか。
    「紳士は金髪がお好き」の映画の続編は「しかし紳士はブリュネットと結婚する」なんだそうです。

    難解な話から砕けた話まで、知らないことをいろいろと教えてもらい、絵画を読み解くヒントをもらえました。

  • 0100
    2019/03/21読了
    絵のメッセージの読み取り方、日本と西洋の絵のメッセージの違いについて。
    西洋は象徴として描いてるんだなあ。
    その辺の裏のことをわかると絵の見方も変わるのかも。歌舞伎とかも決まりごとを楽しむんだもんね。
    気になることがたくさんあったのに、読んでて眠くて印象薄いとこもあったので、読み直したい。

  • 小松左京のディレッタントぶりを楽しむ一冊。話は自由自在にあちらからこちらへと飛び回るように展開。難を言えばまとまりがないのだが、そういうものを求めるべき本ではない。40年前の古さもあまり感じさせないし、東西の文化を論じて、先に読んだ山口晃とも響きあう内容。

  • 借り物

  • 小松左京と高階秀爾が対談をしながら、イメージ文化論を繰り広げた本。
    西洋絵画が「アレゴリー」を「文法」として発達してきたことを、いろいろな例を挙げながら解説していくのが小気味よい。
    そうした「文法」は、時代と地域によって違うというのは、何となく想像可能なことではあったが、日本ではアレゴリーを写実と受け取る「選択的受容」がなされていったという指摘が面白かった。
    その道の専門家(高階)と、博覧強記のSF作家(小松)の、丁々発止の議論なので、一つ一つの事例がまた、面白い。
    それを全て拾っていったら際限なくなってしまいそうだ。

  • 「絵に文法と辞書がある」という見出しが衝撃的で買った本。アレゴリーについてもっと知りたいと思った。

    対談なので、体系的に分かるということは少ないけれど、「へー」ってなることはすごく多い。

  • 対談形式で読みやすい。絵を見るさまざまな視点がわかって面白い。美術好きにはぜひ手元においておきたい本。

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著者プロフィール

昭和6年(1931年)大阪生まれ。旧制神戸一中、三校、京大イタリア文学卒業。経済誌『アトム』記者、ラジオ大阪「いとしこいしの新聞展望」台本書きなどをしながら、1961年〈SFマガジン〉主催の第一回空想科学小説コンテストで「地には平和」が選外努力賞受賞。以後SF作家となり、1973年発表の『日本沈没』は空前のベストセラーとなる。70年万博など幅広く活躍。

「2019年 『小松左京全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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