- Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061580947
作品紹介・あらすじ
わが国初のノーベル賞に輝く湯川博士生涯の記念碑的作品。本書は現代物理学の物質観を、そして同時に、今日の自然科学的なものの見方・考え方を、だれにもわかる平易な言葉で説いている。「目に見えないものの世界」への旅立ちを伝える諸篇には、深く豊かな知性が光り、「真実」を求めてのあくなき思索が生み出した珠玉の言葉には、ひとつの確かな思想がある。初版以来、学問に志す多くの若者達の心をとらえ続けてきた名著である。
感想・レビュー・書評
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湯川秀樹のエッセーは、たいがい素晴らしい。理論物理学者であるからといって、過度に抽象的な論理や言葉の綾を使ったりせず、真っ当な人の真っ当な言葉で素直に綴られている感じを受ける。
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「真実」という文章が大好きです。短い文章に、万事が詰まっているようで、胸がいっぱいになるのです。
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・『学問することの喜びがこの頃はことさら身にしみて感ぜられる.くる日もくる日も研究生活を続けていけるということは,「喜び」などというにはもったいない,本当に有り難いことである.』:同じ気持ちを持っている点では,自分もアカデミア向きの人間なのだと思った.
・『大学に勤めているおかげで,若い純真な人たちと一緒に教えつつ教えられつつ研究していけることである.(中略)数多くの新しい弟を持ったような喜びを感ずる.』:企業で研究するか?大学で研究するか?この気持ちを持てるかどうかではないか.
・湯川先生が中間子論を発表したのは27歳の時で,同じ歳なのに,こうも差がついているのかと思うと自分の凡才を痛感する... 凡才なりにのんびり頑張ろう. -
中間子理論でノーベル物理学賞を受賞した著者のエッセイを収録している本です。
20世紀における物理学の革命について、著者自身がそうした動向に触れたときの所感を交えつつ、わかりやすく語っています。また、著者の自伝である『旅人―湯川秀樹自伝』(角川ソフィア文庫)の内容を補完するようなエッセイも含まれており、両方併せて読むことで、著者のひととなりがより理解できるように思います。 -
第1部は面白かったけど、第2部、第3部はまぁ割と平凡かな。
観測とは選択すること、という量子力学的できごとのシンプルな表現がとても気に入った。 -
サイエンス
思索 -
目には見えない世界を探求する素粒子物理学の領域を専門とする湯川博士にとって、「真実」とはどのようなものだったのか、「科学」とはどのような方法なのか、といったものの見方、考え方がが、平易な言葉づかいで語られている。
世界の捉え方が、神話の世界から、事象の背後にある仕組みを解明しようとする「自然哲学」の世界から、数学的な記述と実験による再現可能性を追求する「近代物理学」、そして我々の実在論的見解との共有関係から脱していく「現代物理学」の世界へと徐々に発展していく中で、それでも常に、「真実」とその表象である「現実」を真摯に見つめ続けていく姿勢を大切にするという筆者の根底的な考え方は、科学の道を行く多くの人々にとって、重要な指針になったと思う。
本書に採録されている文章の多くが昭和一〇年代後半の戦時下において書かれたものであることを鑑みると、当時科学を学び、その道に志を抱いていた多くの若い学生たちに対する筆者の熱い想いも感じられて感慨深い。
また、本来的には社会的な趣旨を読み取るべきではないのかもしれないが、現実を見つめ続ける中で真実へと辿り着く筆者の姿勢が、どのような時局化においても冷静さを失わないことの大切さにもつながるように感じられ、湯川博士の言葉の大切さに感じ入った。 -
二部構成。
自伝的な部分と、研究者としての思いの詰まった部分と。
中間子理論発見のまさにただなかに書かれたものであるだけに、新たなものを創造する時の息吹のようなものが感じられる好著だと感じた。
著者プロフィール
湯川秀樹の作品






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