目に見えないもの (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
3.59
  • (16)
  • (24)
  • (48)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 296
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061580947

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 中間子理論でノーベル物理学賞を受賞した著者のエッセイを収録している本です。

    20世紀における物理学の革命について、著者自身がそうした動向に触れたときの所感を交えつつ、わかりやすく語っています。また、著者の自伝である『旅人―湯川秀樹自伝』(角川ソフィア文庫)の内容を補完するようなエッセイも含まれており、両方併せて読むことで、著者のひととなりがより理解できるように思います。

  • 目には見えない世界を探求する素粒子物理学の領域を専門とする湯川博士にとって、「真実」とはどのようなものだったのか、「科学」とはどのような方法なのか、といったものの見方、考え方がが、平易な言葉づかいで語られている。

    世界の捉え方が、神話の世界から、事象の背後にある仕組みを解明しようとする「自然哲学」の世界から、数学的な記述と実験による再現可能性を追求する「近代物理学」、そして我々の実在論的見解との共有関係から脱していく「現代物理学」の世界へと徐々に発展していく中で、それでも常に、「真実」とその表象である「現実」を真摯に見つめ続けていく姿勢を大切にするという筆者の根底的な考え方は、科学の道を行く多くの人々にとって、重要な指針になったと思う。

    本書に採録されている文章の多くが昭和一〇年代後半の戦時下において書かれたものであることを鑑みると、当時科学を学び、その道に志を抱いていた多くの若い学生たちに対する筆者の熱い想いも感じられて感慨深い。

    また、本来的には社会的な趣旨を読み取るべきではないのかもしれないが、現実を見つめ続ける中で真実へと辿り着く筆者の姿勢が、どのような時局化においても冷静さを失わないことの大切さにもつながるように感じられ、湯川博士の言葉の大切さに感じ入った。

  • 前半の,物理学に関する論述は,わかりやすくかかれているものの,それでも素地のない者にとっては,難しい内容だった。
    後半の,随筆は,素晴らしいものが多かった。

    P.85「学問することの喜びがこの頃はことさら身にしみて感ぜられる。くる日もくる日も研究生活を続けていけるということは,「喜び」などというにはもったいない,本当に有り難いことである。」・・・以前の自分の状態を思い出すフレーズです。身に沁みます。

  • 【読了レビュー】著者は科学だけではなく、文学や芸術、詞など様々なことに造詣が深かったということが良く分かった。
    また、太陽が何故こんなにも莫大なエネルギーを失いながらも、何億年も前から存在し続けていられるのか、地球の存在の奇跡性以前に、それがどれだけ奇跡的なことかが分かり、何かに深く感謝する気持ちが湧き上がった。
    ものがそこに存在している、ということは、それだけで、どれだけたくさんのエネルギーを秘めているということか。。神秘的でさえあると感じた。

  • ノーベル物理学賞受賞の湯川秀樹博士のエッセイ集。科学と哲学についての話が多いが、今の俺には十分な理解はできない。これは戦前に博士が30代の頃の文章だというのに。頭の構造が違うと言っては元も子もないので、視座が高く、視野が広いのは学ぶべきところ。

  • 前回読んだ随筆の言葉遣いのきれいさにまた読みたくなって購入しましたがガッツり物理学についての解説風随筆。読むのがきつかった

著者プロフィール

1907年東京生まれ。京都帝大理学部物理学科卒業。39年、京都帝大教授となり翌年、学士院恩賜賞を受賞。43年文化勲章を受章。東京帝大教授も兼任。35年に「中間子理論」を発表した業績により49年、日本人初のノーベル物理学賞を受賞。様々な分野で多大な業績を残す。81年没。

「2017年 『創造的人間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

湯川秀樹の作品

ツイートする