- Amazon.co.jp ・本 (119ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061580954
作品紹介・あらすじ
日本画壇の第一人者であり、あくなき美の探求者である東山画伯が、日本の風景への憧憬と讃歌をこめて綴る随想と講演併せて五篇を収録する。少年の日から唐招提寺障壁画の揮毫に至る今日まで、遙かな旅の祈り祈りに心に映じた風景を語りつつ、自らの魂の遍歴とその芸術の秘密を明かす。祈りにも似た著者の語り口が髣髴とさせる山雲のたたずまい、濤声の響き。その清澄な余韻のうちに、日本美の根源へと読者をさそう詩的随想である。
感想・レビュー・書評
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一枚の葉はそらんじることが出来るくらい読み返した。
巡り会いというものをこれほど美しく現した文章は他にないだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大好きな日本画家,東山 魁夷氏の講演録。
絵の世界そのままに,日本の風景を語る言葉が美しい。目の前に見えるよう。
そして,1976年発行のこの本にしてすでに,日本の風景の美しさが失われていくことについて言及されていて,なんだか悲しくなった。高度成長期に,一気に変わってしまったんだろう。今,どこへいっても,あまり美しくない大型店の看板ばかりが見えて,地方の風景ってない。もとには戻せないわけですが・・・。
この日本の美しさを追求する画家が,若いときにドイツに留学していたというのが意外だったけど,大きく納得もできた。やはり外にでないとわからないものがある。また,恩師の存在についての項は,しみじみと感動した。-
「日本の風景を語る言葉が美しい。」
美しい風景を、後世に伝えたかったのでしょうね、、、
絵は好きだけど、文章は読んだコトないので、図書館...「日本の風景を語る言葉が美しい。」
美しい風景を、後世に伝えたかったのでしょうね、、、
絵は好きだけど、文章は読んだコトないので、図書館に予約しなきゃ!2014/03/18
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20241101045
日本がその広大で多様な自然を受け入れる過程で培ってきた①他者を積極的に取り入れる姿勢、②その要素を分析する咀嚼力、③それを自分の血肉とする融和力。それらが日本独自の文化、様式を作り上げた。 -
東山魁夷画伯の自然を敬う気持ち、日本の美や芸術の素晴らしさを伝えようと言う思いが伝わりました。
それがあの魂がこもった画に表れるのだとも。
今までその作品から感じ、思ったままの方と思いました。素晴らしい。 -
【いちぶん】
風景は、いわば人間の心の祈りである。
私は清澄な風景を描きたいと思っている。 -
【つぶやきブックレビュー】『古都』を読むならこちらもいかが。古都と北山杉は切り離せない。
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風景画を多く手がけ、唐招提寺の障壁画を揮毫した日本画家の著者のエッセイや講演を収録しています。
「風景」と題された3編のエッセイでは、日本人が風景に心を通わせてきた歴史の中に立っていることに触れながら、著者自身の風景画へのスタンスが語られています。
そのほかのエッセイでも、唐招提寺をはじめ大和の古寺や和歌を取り上げつつ、日本の美について語られています。
いずれも短いエッセイで、日本の美に関して著者独自の考えと言えるものが奈辺にあるのか、はっきりと理解できないまま読み終えてしまいました。 -
恥ずかしながらようやく読んだ。読んでみれば成程、風景論の真髄。
そしてその内容は、魁夷の画風にぴったり近い。すなわり、人(魁夷自身)が世界(えてして自然)と一体化する見方だ。
魁夷は、生きている(人生を歩んでいる)のではなく、「行かされている」「歩まされている」と感じるという(p.59)。どうやらそのことにより、「地上に存在するすべてのものと同じ宿命に繋がる」のだ、とも。うーん、悟っているなぁ。
この悟りが、彼の風景論と画風とを引き出すのだ。すなわち、「風景は心の祈り・心の鏡」とする風景論(p.16)である、また「人間の心の象徴としての風景」を描くという画風(p.29)である。
つまるところ、「自然の趣に心を託して表現」(p.94)しているのであり、それができたとき、自然を描く随想とて、ため息の出来るほど美しくなるのだ。 -
【レビュー】日本画家、東山魁夷さんの考える、日本固有の美について所感が書かれている。
日本人は哲学的な民族ではないと言われるけれど、実際には情感や直感によって西洋における“哲学”にあたるものを鋭く表現している、というくだりが例も含めて分かりやすく、非常に得心がいった。