語られざる哲学 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (118ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061581449

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  • 解説:宮川透
    語られざる哲学◆我が青春

  • 読了メモ。三木清『語られざる哲学』。K.ヤスパース『哲学入門』。哲学するという動詞を、前者は自らに、後者は他者に語りかけた一冊。特に後者の『交わり』を重要視する点に現代への繋がりをみる。一人で思索すること、社会との関わりにおいて磨かれること、それぞれ単体でも必要だが十分ではない。

  • (2005.11.01読了)(2002.10.11購入)
    「語られざる哲学」は、1919年7月17日に書き上げられたものです。著者23歳。大学2年を終えた時。生前に出版されることのなかったものです。
    学生時代、三木清に興味を持ち、全集を購入し、何度も読もうと計画したのですがいまだに読めていません。それ以来全集物には手を出さないようにしています。
    やっぱり、新書や文庫になっているものか、単行本で出ているものの方が、取っ付き易く読みやすいといえます。
    ●語られざる哲学(7頁)
    講壇で語られ研究室で論ぜられる哲学が論理の巧妙と思索の精緻とを誇ろうとするとき、懺悔としての語られざる哲学は純粋なる心情と謙虚なる精神とを失わないように努力する。
    ●哲学へ(27頁)
    アリストテレスは言った、驚きから哲学は始まると。またデカルトは考えた、哲学の首途は懐疑であると。しかしながら私自身に関して言えば、決して懐疑的傾向に富んだ男ではなかったし、また人々が自明のこととして学問上許容している事柄に不審を懐くほど鋭い思索力も持っていなかった。私を哲学へ導いたものは、永遠なる物に対する憧憬、プラトンがエロスと呼んだところのものである。
    ●私と哲学との関係(30頁)
    第一段階
    その頃私はなるべくたくさんの哲学者の名を暗記しようとしたり、またそれらの哲学者の書いた書物の題をできるだけ多く記憶しようとした。私は単に哲学者の名やその書物の題を知りもしくはその書物を買い込み、高々それらについての簡単な紹介かあるいはその書物から断片的な章句を知れば、もうそれだけで自分もひとかどの哲学者になったつもりで思い上がっていたらしい。
    第二段階
    明確なるもの、論理的なるもの、概念的なるものに興味を失って、非合理的なるもの意思的なるものに共鳴するようになった私が最初に得たのはショーペンハウエルの哲学であった。生の無価値にして厭うべき事を説きながら、自らは疫病を恐れて町を飛び出したり、ホテルでは数人前の食を取ったり、愛人と手を携えてイタリアを旅した彼の哲学は、インド思想と共通な涅槃を説きながら、その基調においては悩ましき青春の爛熟期の哲学である。
    第三段階
    私が最も愛読した書物は西田先生の『善の研究』であったが、私はそこにおいてかつて感じたことのない全人格的な満足を見出すことができて踊躍歓喜した。
    カント哲学との接触により、自己の衷なる理性、もしくは真の自己そのものの自覚、しかしてそれより生まれる人格の品位に対する畏敬、これらのことを正しく私に教えることを得た。理性とは真の自己そのものであり、無限にして永遠なるものをあこがれ求める情熱の源となるようなものである。
    ●哲学へ至る道(37頁)
    一般に哲学へのあり得べき正しき道として三つのものが指摘し得られる。第一は自己の深き体験から出て来、またそれに向う反省から哲学へ至る道である。哲学への第二の道は哲学史の徹底的な研究の道を通してである。最後に特殊科学の究竟的な研究は哲学への第三の道として私たちの前に開けている。
    ●関連図書
    「哲学入門」三木清著、岩波新書、1940.03.
    「人生論ノート」三木清著、新潮文庫、1954.09.30(1941年)
    「哲学ノート」三木清著、新潮文庫、1957.09.15(1941年)

    哲学者 三木 清(みき きよし)
    1897年1月5日 兵庫県生まれ。
    西田幾多郎の『善の研究』に強い感銘を受け、京大で哲学を学ぶ。
    1922年 ドイツに留学。ハイデルベルク大学のリッケルトの下で学ぶ。
    1923年 マールブルク大学でハイデガーから強い影響を受ける。
    1926年 処女作『パスカルに於ける人間の研究』出版
    1927年 法政大学の哲学科の教授に赴任。
    1930年 日本共産党への資金援助の嫌疑で検挙・拘留され、法政大学での職を退く。
    1937年 近衛文麿の政策集団である「昭和研究会」に参加。
    1939年 主著『構想力の論理 第一』を出版。
    1945年6月12日 治安維持法の容疑者をかくまったという嫌疑により検挙・拘留される。
    1945年9月26日 豊多摩拘置所で疥癬の悪化により獄死。享年48歳。

    ☆関連図書(既読)
    「ヒューマニズムについて」ハイデガー著・桑木務訳、角川文庫、1958.07.05
    「新訳哲学入門」B.ラッセル著・中村秀吉訳、現代教養文庫、1964.02.28
    「子どものための哲学対話」永井均著・内田かずひろ絵、講談社、1997.07.25
    「論理哲学論」ウィトゲンシュタイン著・山元一郎訳、中公クラシックス、2001.07.10

    内容紹介(amazon)
    「語られざる哲学」は、大正期に青春時代を送った哲学者三木清の、若き日の内省の記録であるとともに、その半生の回顧録でもある。悩ましい青春の体験を懺悔し、虚栄心、利己心、傲慢心の三者を排し、素直な心をもって、また、「外に拡がりゆく心よりも、内に向かって掘り下げてゆく心」をもって、「正しく、よく、美しく生きること」について静かに思いめぐらし、自己確立を思索した書で、三木清の哲学的人生を画するもの。他に「我が青春」を収録。

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著者プロフィール

1897年、兵庫県生まれ。京都帝国大学哲学科卒。ドイツ留学を経て法政大学教授等を務めるが、1930年に法政大学を辞してからはジャーナリズムで活躍。1945年3月に検挙・拘留され、敗戦40日後の9月に獄死。享年48歳。著作は『三木清全集』全二十巻(岩波書店)にまとめられているほか、『人生論ノート』(新潮文庫)、『読書と人生』(講談社文芸文庫)などは文庫化されている。

「2017年 『三木清遺稿「親鸞」 死と伝統について』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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