- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061582781
作品紹介・あらすじ
戦後30数年を経た今日、外部の何ものかによって生き方が決定され、人々は敷かれたレールの上を走っておればよい時代は終ったはずである。しかし日本人は依然として画一的な生涯をめざす傾向から脱け出せないでいる。その背景には、われわれ日本人が無意識の内に従っている或る種の共通の人生観があるのではなかろうか。本書は、そういう「日本人の伝統的な人生観」を再把握し、新しい生き方への出発点を示すことを目標としている。
感想・レビュー・書評
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ものすごく、的確。
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「戦後生まれの人は、今の状態はずっと続くー社会は動かないという前提を持っている。そして自分の一生を、この動かない世界を通過していくもの、という形で把握している。
今の常識を基準にして未来を考えても、それは未来を考えていることにはならない。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/739711 -
[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
この本に書かれている内容でそのとおりだと感じたのは過去の思想や方法を服を着替えるように変えてきたため、直近の過去の思想や方法すら分からなくなるということだ。
日本人の考え方として、直近の過去の考え方を忘れるということはよくあると思う。今で言えば、戦前、戦中の日本に関しては一方的に否定のみを行うだけで、それらについては詳しく調べられていないと私は考える。
思考の切り替えが悪いことだとは思わないが、それらを忘却することは避けられるようになりたいものだ。 -
日本人がベースに持っているだろう人生観についてメスを入れた、そんなコラム集である。
広範な知識から展開される論理的な内容については、大変興味深い。伝統的な人生観というものについて見返す意味で、適した一冊だろう。
ただ、掲載された場所の違いからか、表題のコラムについてはですます調で書かれていて、それ以外がである調で書かれているところは少し読みづらくもない。引用部分についても読み下すのにいささか労を要した印象がある。
そうした部分も踏まえて、星四つと評価したい。 -
日本人は依然として画一的な生涯をめざす傾向から脱け出せないでいる。その背景には何があるのか? 我々日本人が無意識の内に従っている「日本人の伝統的な人生観」を再把握し、新しい生き方への出発点を示す。
1 日本人の人生観
2 「さまよえる」日本人
3 日本人の宗教意識
4 文化としての元号考察
5 あとがき -
日本人の人生観、宗教観などをテーマにした講演を4つ収録しています。
「化為」(なる)と「作為」(する)を対比し、日本人はそのつどの状況に従うことを良いと考えるという指摘は、著者とは対立する政治的立場に立つはずの丸山真男の議論にも通じる考え方です。むろん丸山ほどの学識は期待できませんが、それでも本書の議論も単なる印象批評ではなく、日本人とキリスト教国の人びととの宗教意識にまで遡って、こうした発想の根底を探ろうとしています。
キリスト教を信奉する国々では、終末観が歴史意識の根底に存在していると著者は言います。これに対して日本人は、「自然」をあるべき秩序として重視しており、歴史の中で自分の位置を確定して未来を創造していくという態度が欠如していることを、著者は指摘しています。 -
日本人の間の"空気"を生み出す日本人の"人生観"、"世界観"について。キリスト教との比較から日本人の考え方を炙り出す。
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おもしろくない、科学の割に浅い。
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切り口の鋭い視点は発刊後30年近く経た現在もいまだに生き続けている。
歴史を忘れる日本人。戦前を否とし戦後をよしとするだけではなにも始まらない。消し去るという安易にながれるから後世に禍根を残す。今現在においてもここで歴史・事実をよく見つめることが必要なことを思い知らせる。
著者プロフィール
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