日本霊異記(上) 全訳注 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061583351

作品紹介・あらすじ

日本霊異記は、日本最古の説話集。奈良末~平安初期に成立した。巻頭の第1話は、雄略天皇時代(5世紀)の奇談。以後約4世紀にわたる説話120篇ほど。記紀・万葉集だけを上代人の全容と信じていた者は、上代の半面を霊異記に見て驚愕する。霊異記の作者は、奈良西京の薬師寺景戒(きょうかい)。彼は悪行は必ず悪結果で報いられる、善行は好結果を生むと熱心に信じ、彼と同時代の説話、及び上代以来の説話に、その理法を見出そうとした。

感想・レビュー・書評

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  • 古典再読キャンペーン中。すごく昔に上巻だけ読んで挫折した日本霊異記(中・下巻もある)。なんで上巻でやめちゃったんだっけなーと思いつつ再読してみて、ああそうだ、基本が仏教説話だから説教くさい話が多くて飽きたんだった、と思い出しました。

    美人の奥さんが実は狐でした、とか、打ち捨てられてた髑髏を供養してあげたら恩返しにきました、とか、亀を助けてあげたら恩返ししてくれました、とか、素朴な民話系の話は好きなのだけど。仏教信じたら良いことあるよ系はちょっと面倒くさい。

  • この巻では、日本霊異記の全三巻のうち上巻にあたる書籍です。また、五世紀から奈良時代の初期までの説話が本文、現代語訳、語釈、解説の順になって読みやすくなっています。

  • [ 内容 ]
    <上>
    日本霊異記は、日本最古の説話集。
    奈良末~平安初期に成立した。
    巻頭の第1話は、雄略天皇時代(5世紀)の奇談。
    以後約4世紀にわたる説話120篇ほど。
    記紀・万葉集だけを上代人の全容と信じていた者は、上代の半面を霊異記に見て驚愕する。
    霊異記の作者は、奈良西京の薬師寺景戒(きょうかい)。
    彼は悪行は必ず悪結果で報いられる、善行は好結果を生むと熱心に信じ、彼と同時代の説話、及び上代以来の説話に、その理法を見出そうとした。

    <中>
    日本霊異記(上・中・下)3巻は、日本最古の仏教説話集で、奈良末期に成った。
    全篇約120話が年代順に配列されており、この中巻の説話は、聖武天皇ごろの42話。
    第1話は長屋親王(ながやのおおきみ)(天武天皇の皇孫、太政大臣)の冤罪、服毒自殺事件だが、卑賤の僧を傷つけた罪の報いと説く。
    第3話では、九州に遺された武蔵国多摩郡(むさしのくにたまのごおり)の防人が、若妻を愛する余り、母親を殺害しようとして地獄に落ちる。
    この種の腥(なまぐさい)い強烈な因果応報談が多い。

    <下>
    日本霊異記(下)は、中巻の時代の後を受け、奈良時代末期稱徳天皇(764)から平安時代初頭嵯峨天皇(822)にわたる説話を載せる。
    全39話。
    凄惨激烈な血族間の政権争奪と権力闘争―その結果として、平城京から長岡京遷都、さらに平安京への再遷―の難世相が説話の隙ににじみ出ている。
    編者景戒という一人格の、艱難に苦吟した人生の告白が、烈々の句となり、深沈たる文章となって読者を魅きつけるのも(第38話)巻下の特色といえる。

    [ 目次 ]
    <上>


    <中>


    <下>


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 日本古代の仏教説話集。

    雄略天皇から、平安時代初期の桓武天皇時代の説話が収められている。
    上巻は、雄略天皇から奈良初期まで。
    仏教の因果応報の厳存することをしらしめるため、
    書かれたとのこと。

    昔の人の生活が垣間見える。

  • 心の高潔な女性が仙人の霊薬を食べ、天上に飛んで行った話は、飛んでいったのは身体ではなく精神のほうではないかと思った。
    海中から美妙な楽の音、死体から芳香など、古代の人の感覚的能力が羨ましい。

  • 現代語訳がスマートなのと、古文単語の解説が丁寧でよいです。古文や、歴史の教養を膨らませてくれます。

    日本最古の怪奇憚です
    説話の内容としては、

    「因果応報の道理を信じなさい」
    「仏教を大切に」
    「お坊さんを迫害してはならない」
    「恩知らずな人間になってはならない」
    「不思議な出来事って日本にもあるよ」
    とかとかとか。

    著者の仏教者としての敬虔な信仰の様子が文章ににじみ出てます。

    あと、、

    狐の嫁入りの話を通じて、中国朝鮮だと、妖怪は呪術でもって封印するのだけど、日本人はそのまま夫婦生活を続けるというところに、異類にたいして寛容な民族性窺えますね、、との。

  • 中と下も読みました。
    時系列に仏教説話が続きますが内容かぶってますな説話も多いです。ちょいちょい個人名が出てきて有名どころも登場。
    藤原永手(と長男の家依)のエピが面白かったですね。聴いたことない話だったので。
    あと下巻の種継暗殺の予兆?に関する記述も興味深い。

  • 日本最古の説話集の1つ.著者は奈良〜平安初期の薬師寺の僧,景戒.
    787年に初稿を書き上げ,822年に完成したとされている.この文庫本は,各篇が読み下し文・現代語訳・用語解説・内容解説の4パートからなっており,たいへん読みやすい作り.これは上巻なので,著者景戒の抱負が述べられているが,これがまた面白い:…世の中を見回すと,才能・学問があるのに卑しい行いの者がいる.仏法や僧をそしり,因果応報の理を信じない者もいる.また世間は,唐から伝わった「冥報記」や「般若験記」ばかりもてはやすが,どうして自国の身近な不思議に,信仰と畏怖の念を抱かないのだろうか.こうした思いにいてもたってもいられなくなり,浅学ながら,自分の見聞をもとに本を書くことにした.不完全な所もあるだろうが,後世の識者はどうぞ笑わないでほしい.この奇特な本を読んで下さる方は,間違った行いをせず,善行を実践してくれることを願う…といったことが書かれている.千年前も今も,同じようなことを憂いていた(いる)のだなと感じる

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