日本霊異記 下 (講談社学術文庫 337)

制作 : 中田 祝夫 
  • 講談社 (1980年4月7日発売)
3.32
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  • レビュー :3
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061583375

日本霊異記 下 (講談社学術文庫 337)の感想・レビュー・書評

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  • この書籍は、全三巻の下巻にあたります。

  • [ 内容 ]
    <上>
    日本霊異記は、日本最古の説話集。
    奈良末~平安初期に成立した。
    巻頭の第1話は、雄略天皇時代(5世紀)の奇談。
    以後約4世紀にわたる説話120篇ほど。
    記紀・万葉集だけを上代人の全容と信じていた者は、上代の半面を霊異記に見て驚愕する。
    霊異記の作者は、奈良西京の薬師寺景戒(きょうかい)。
    彼は悪行は必ず悪結果で報いられる、善行は好結果を生むと熱心に信じ、彼と同時代の説話、及び上代以来の説話に、その理法を見出そうとした。

    <中>
    日本霊異記(上・中・下)3巻は、日本最古の仏教説話集で、奈良末期に成った。
    全篇約120話が年代順に配列されており、この中巻の説話は、聖武天皇ごろの42話。
    第1話は長屋親王(ながやのおおきみ)(天武天皇の皇孫、太政大臣)の冤罪、服毒自殺事件だが、卑賤の僧を傷つけた罪の報いと説く。
    第3話では、九州に遺された武蔵国多摩郡(むさしのくにたまのごおり)の防人が、若妻を愛する余り、母親を殺害しようとして地獄に落ちる。
    この種の腥(なまぐさい)い強烈な因果応報談が多い。

    <下>
    日本霊異記(下)は、中巻の時代の後を受け、奈良時代末期稱徳天皇(764)から平安時代初頭嵯峨天皇(822)にわたる説話を載せる。
    全39話。
    凄惨激烈な血族間の政権争奪と権力闘争―その結果として、平城京から長岡京遷都、さらに平安京への再遷―の難世相が説話の隙ににじみ出ている。
    編者景戒という一人格の、艱難に苦吟した人生の告白が、烈々の句となり、深沈たる文章となって読者を魅きつけるのも(第38話)巻下の特色といえる。

    [ 目次 ]
    <上>


    <中>


    <下>


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • ○この本を一言で表すと?
     奈良時代後半に書かれた日本最古の説話集で、仏教を広めるために因果応報について例示した本


    ○面白かったこと・考えたこと
    ・日本史の教科書に名称だけ出てきた「日本霊異記」を読めてよかったです。

    ・紀伊国(和歌山県)を舞台にした説話の割合が多くて意外に思いました。解説を見ると著者の景戒の出身地だったとか。日本霊異記が最初に世に出たのは787年で、空海が高野山の下賜を受けたのが816年だそうなので、高野山開山以前も和歌山県が割と栄えていたのかが気になります。

    ・仏教を広め、信心を得るために、因果応報についての説話、それもすぐに応報が返ってくる説話を集めて「仏教を信じれば得をする。仏教を信じなければ痛い目を見る」ということを分かりやすく知らせようとする意図が伝わってくるなと思いました。何が正しいか、何が間違っているかが分かっていない状態にある民衆が、こんな説話を聞かされまくったら「仏教を信じておかないとマズイ」と思いそうな気がします。

    ・生まれ変わりの早さが意外でした(死んだ後すぐに牛に生まれ変わったり)。

    ・天皇や皇族でも扱いが悪く書かれていたり、朝廷が認めていない私度僧も尊重されていたりするところは、「古事記」や「日本書紀」のように朝廷側が編纂した書物と違うなと思いました。こういった内容の書物が1200年以上を経た現代にまで伝えられているというのは不思議な気がします。

    ・ほとんどの説話が後世の「今昔物語集」を中心とした書物に集録されているそうで、仏教の説話としてではなく、物語・民話として伝えられてきた一面もあるのだなと思いました。

    ・殺生についてかなり厳しい罰が設けられているなと思いました(魚、鳥、兎でも応報で殺される)。現代の日本仏教のイメージとかなり違うなと思います。徹底した菜食主義者で、虫も殺さないように常に口を覆い、日が暮れると食事をしない(間違って虫を食べないため)というジャイナ教が思い浮かびました。

    ・一方、僧であれば多少は許す、指摘した者を逆に罰するという方向で、著者が僧であるだけに寺や僧がかなりひいきされているなと思いました。

    ※以上、上巻・中巻と同様

    ・下巻の第六で、高僧が体力回復のために魚を食べたいと弱音を吐いて、魚を採りに行ったら信者に疑われ、「これは法華経だ」と誤魔化したら本当に魚が法華経に姿を変えて、それを見てその信者が感動して信心深くなった話は、ちょっと高僧に都合が良すぎだなと思いました。

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