物語日本史(上) (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061583481

作品紹介・あらすじ

われわれ日本人は、どのような歴史をあゆんできたのか。本書は、著者が一代の情熱と長年にわたる学問・研究のすべてを傾け、若き世代に贈った日本歴史の通史である。上巻では、日本国家の成り立ちを神々の時代にまで遡って探り、大和・奈良時代にいたる古代日本の姿を明らかにする。更に天皇を中心とする貴族政治が平安朝において頂点に達し、比類なき王朝文化が花開くまでを人物中心に通観する。

感想・レビュー・書評

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  • たいして日本史もわかっていない僕だが、これは読みやすいし、日本史が以前よりも身近に感じられる。もっと知識がしっかりしていればより多くを拾えるのだろうけども、そのへんは多くの書籍からちょっとずつ、石で塗り固めるように積み上げていくしかない。

  • 近所の本屋でおすすめ本としてコーナーができていたのだが、他の本屋に行ってもなかなかない。大きなお店にもない。日本の歴史において、天皇の地位を重視した論調だからだろうか。

    上巻は古事記の時代から平安時代中期まで。主に天皇についてと、文学について書かれている。万葉集の歌がたくさん載っていたり、なかなか教科書からは学べないことばかり。

    内容が偏っているので、これだけで勉強はできないが、こういった本を参考図書として中学や高校の時に読んでいれば、もっと奥深く歴史を把握することができただろうと思った。

  • 天皇家を中心とした日本の歴史を通史として学べる良書。下手な歴史の教科書読むよりよっぽど勉強になるしためになる。

    足利幕府は天皇家に弓引いた逆臣であり取り上げる価値もない!とバッサリ省略しているところが皇国史観の歴史家として潔い。

  • 小学生の頃から平泉澄先生の「少年日本史」を何十回も読んできた。
    この物語日本史は「少年日本史」を読みやすいように3部に分け、なおかつタイトルに「物語」をつけて、社会科学としての歴史学から一歩引いてますよ、と予防線を張って出版されたものだ。
    あえて旧仮名遣いで「少年日本史」を書いた平泉澄先生なら物語日本史出版した人達を叱るであろう。

    たしか中野信子さんだったか、テレビの討論番組で、「日本人は、特に日本のワカモノは、世界の人達からは、『有り難いほど馬鹿だ』と思われている」と発言していた。
    たしかにその通りだ。
    いや、平泉澄先生に言わせると、世界に冠たる大日本帝国にあっても日本人など西欧人は成り上がりのサル程度にしか認識していなかった。戦後の若者に限った話ではない、と。戦後ますますバカモノ化した若者が増えたになったのは間違いないように思うが。

    欧米人は武士、侍には一目置いていたが、維新後の欧米文化を吸収することに目が眩んで武士の精神を忘れ始めた日本人をものまねサルと侮るようになった、それについて危機感を持ったのが平泉澄先生であった、戦後の焼け野原で誇りを失いまさにGHQの犬に成り下がろうとする日本に。だからこそクーデター計画まで立てたのであろう。

    本書は社会科学、歴史学とは言い難く、まさに神話のごとく物語日本史である。

    高名なる学者の優れた研究によると日本人は周辺のどの民族をかけあわせても日本人独特の遺伝子にはならない云々、という記述、まったく科学ではなく、生命科学や考古学の見地からすると全く出鱈目である。が、日本人の精神を大切にしましょう誇りを失わないように世界な胸を張りましょうと子供たちを勇気づけるにはそれで良いのだ。
    誇りを失い地に足がついていない現代の若者を見れば納得いくはずだ。

    しかし、気をつけなければならない。少なくとも科学としての歴史を学ぼうとする人達は、皇国史観、平泉澄先生の個人的私的歴史観を宗教教義のように信じてはいけない。
    「少年日本史」は子供向けに書かれた本ではあるが、批判能力客観的視点が不十分なな子子供達から山口二矢が生まれる可能性がある。
    この本は正しい指導者のもとに子どもたちが読むべき本である。あるいは十分な見識を持った者が、平泉澄先生が描いた世界の中のあるべき日本を理解するために、現代日本を批判的に見るために読むべき本である。

  • 古事記や日本書紀の年代設定に成り立ちが漢の国から渡ってきた人達の「しん緯の学」が使われているという説が興味深い。古代中国や朝鮮との関わりがあるので相互の歴史書の対応関係を見ていくなどさながら探偵小説のようだ。
    国家建設・神武天皇から神代,聖徳太子,記紀と風土記,奈良時代,平安時代とたどる。歴史が連綿と続いている。それも一つの国家として。希有なことであり,それだけでも価値がある。金持ちや権力者にはなることができるけど,歴史や権威を持つことは簡単にできないという表現があるが,まさにそうであると思う。現代に日本人として生きていることの意味を考えさせられる。

  • 歴史を物語として読む
    思想がどうとかはともかく、まずは歴史を楽しむ。

  • 「序」の、終戦直後に会った山奥の児童が「君が代」「日本」を知らず「アメリカ」は聞いたことある、と答えた逸話が衝撃でした。日本の民族と文明の危機だったのですね。そこからここまで「日本」の歴史・文化が連綿と受け継がれてきたのは、作者を始めとした先人の不動の努力の賜物でしょう。
    日本の歴史として神武天皇から始まっていること、とても読みやすく書かれていること、小学校高学年でも読める子は読めると思うし、中学生ならぴったりでしょう。大人も読んでいて楽しいです。

  • 著者が若い読者に向けて書いた『少年日本史』(時事通信社)の、タイトルを改めた本です。上巻では、日本神話から説き起こし、延喜・天暦の治世までを扱っています。

    私自身は、いわゆる愛国主義教育に必ずしも賛成ではないのですが、子どもたちが日本の神話に触れる機会が少ないことは残念に思います。もちろん批判に対して開かれていることを前提にするならば、歴史教育で神話を取り上げることをタブー視する必要はないと考えます。

  • しらない

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著者プロフィール

明治二十八年(一八九五)二月十六日福井県大野郡(現勝山市)平泉寺村で誕生(父恰合・母貞子の長男)。第四高等学校を経て大正七年(一九一八)東京帝国大学文科大学国史学科卒業、同大学院進学。同十年大阪の森下逸子と結婚。同十二年同大学専任講師、同十五年文学博士・助教授。昭和五年(一九三〇)欧州留学。同十年教授、同二十年辞職。同五十九年二月十八日帰幽(満八十九歳)。

著書 
『中世に於ける社寺と社会との関係』『我が歴史観』『芭蕉の俤』『武士道の復活』『国史学の骨髄』『山河あり』『名和世家』『解説近世日本国民史』『祖父の足跡』『寒林史筆』『革命と傳統』『山彦』『日本の悲劇と理想』『中世に於ける精神生活』『解説佳人の奇遇』『明治の源流』『楠公―その忠烈と餘香』『少年日本史』=『物語日本史』『明治の光輝』『悲劇縦走』『平泉博士史論抄』『平泉澄博士神道論抄』『続 平泉澄博士神道論抄』『首丘の人 大西郷』など。

「2021年 『先哲を仰ぐ(愛蔵本) 四訂版 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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