- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061583504
作品紹介・あらすじ
応仁の乱に始まる戦国紛乱、群雄割拠の世。政権は織田信長から豊臣秀吉、そして徳川家康へと移ってゆく。徳川幕府の下で太平の夢を貪った日本は、黒船の来航によってその夢を破られる。攘夷か開国かで揺れるなか、歴史は天皇を中心とする明治維新へと大きく動いてゆく。著者は、その変革の思想的基盤をなした吉田松陰らの国学の系譜を明らかにし、さらに大東亜戦争にいたる近代日本の歩みを辿る。
感想・レビュー・書評
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小学生の頃から平泉澄先生の「少年日本史」を何十回も読んできた。
この物語日本史は「少年日本史」を読みやすいように3部に分け、なおかつタイトルに「物語」をつけて、社会科学としての歴史学から一歩引いてますよ、と予防線を張って出版されたものだ。
あえて旧仮名遣いで「少年日本史」を書いた平泉澄先生なら物語日本史出版した人達を叱るであろう。
たしか中野信子さんだったか、テレビの討論番組で、「日本人は、特に日本のワカモノは、世界の人達からは、『有り難いほど馬鹿だ』と思われている」と発言していた。
たしかにその通りだ。
いや、平泉澄先生に言わせると、世界に冠たる大日本帝国にあっても日本人など西欧人は成り上がりのサル程度にしか認識していなかった。戦後の若者に限った話ではない、と。戦後ますますバカモノ化した若者が増えたになったのは間違いないように思うが。
欧米人は武士、侍には一目置いていたが、維新後の欧米文化を吸収することに目が眩んで武士の精神を忘れ始めた日本人をものまねサルと侮るようになった、それについて危機感を持ったのが平泉澄先生であった、戦後の焼け野原で誇りを失いまさにGHQの犬に成り下がろうとする日本に。だからこそクーデター計画まで立てたのであろう。
本書は社会科学、歴史学とは言い難く、まさに神話のごとく物語日本史である。
高名なる学者の優れた研究によると日本人は周辺のどの民族をかけあわせても日本人独特の遺伝子にはならない云々、という記述、まったく科学ではなく、生命科学や考古学の見地からすると全く出鱈目である。が、日本人の精神を大切にしましょう誇りを失わないように世界な胸を張りましょうと子供たちを勇気づけるにはそれで良いのだ。
誇りを失い地に足がついていない現代の若者を見れば納得いくはずだ。
しかし、気をつけなければならない。少なくとも科学としての歴史を学ぼうとする人達は、皇国史観、平泉澄先生の個人的私的歴史観を宗教教義のように信じてはいけない。
「少年日本史」は子供向けに書かれた本ではあるが、批判能力客観的視点が不十分なな子子供達から山口二矢が生まれる可能性がある。
この本は正しい指導者のもとに子どもたちが読むべき本である。あるいは十分な見識を持った者が、平泉澄先生が描いた世界の中のあるべき日本を理解するために、現代日本を批判的に見るために読むべき本である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
織田信長~大東亜戦争まで。
江戸時代の学者(家康が学者を取り立てる)の活躍が幕末明示と繋がるとことろが興味深い。
日本には西洋やChinaのような革命(前政権(國)の歴史や文化,人を根絶やしにする)がないこと。その理由に朝廷(天皇)がいたことで体制は異なっても軸があったこと。
最終章(大東亜戦争)では明治以降の欧米帝国主義の中で日本をいかに守ろう発展させようとした過程の中で,失われたものやことがあったこと,そして,8年間の占領によって更に失われたものがあることを示す。
戦争によって失ったことや得たことは多種多様であるが,それは見るものの視点による。歴史は視点によって変わる。大東亜戦争・第二次世界大戦の勝者敗者はあれど,勝者も戦争によって当初のもくろみ通りの幸福を得たわけではなく,敗者である日本がいたことでその後のアジアアフリカの独立にも繋がる。
終戦から〇年とはよくいわれるが,その終戦の前にも歴史があり,その内実を自分なりに理解しておくことが自分自身にとって重要であるように思える。 -
下巻では、織田信長から大東亜戦争までを扱います。
徳川時代では、朱子学や国学などの日本思想史に関わるものが取り上げられています。高校までの日本史では、その思想内容に立ち入ることがほとんどなく、人名の暗記に終始しがちなのなので、本書の解説は興味深く読みました。ただ、それらの思想的意義を広く紹介するのではなく、皇国主義的なイデオロギーにばかり注目している点には、批判されるべきところもあるのではないかという気がします。 -
織田信長からということもあって、個人的にはこの巻が一番面白い。特に明治維新前後のごたごたは強く興味を惹かれる。ここで描かれる橋本左内の能力及び人格が魅力的すぎて、ちょっと調べたくなる。
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日本史の中でひとかどの人を順番に取り上げて何を考えて何をした人なのか物語として語ってくれる本。多分、頼山陽の日本外史とかがお手本なんじゃないかな。最後は、人じゃなくて戦争についてになっちゃってるんだけど。
根底を流れているのは明治維新の美化と大日本帝国の翼賛なので、うえってなるというか、現代においてはカリカチュアにしか見えないのだが、歴史をそれぞれの事象ピンポイントで捕らえるのではなく、流れとして理解しようと思う時、分かりやすい。
中でも歴史の教科書には出てこない山崎闇斎とか橋本景岳の話がとても面白かった。闇斎の「無批判に外国の書物を読んでいると、・・・、自主性を失う」とか、景岳が自己啓発のために十五歳の時に書いた「(一)稚心を去る、(二)振気、(三)立志、(四)勉学、(五)交友を択ぶ」とか、かなり頷きました。 -
最後に、日本に加担した金玉均の賛嘆とかしていたような記憶が
著者プロフィール
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