禅とはなにか (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061584099

作品紹介・あらすじ

今日、禅に対する人々の関心はますます高く、禅は、もはや我が国のみならず全世界的なものとなりつつある。だが、禅を知り、禅を理解し、禅を行なうことは極めてむずかしい。本書は、著者自らの真摯な禅修行の体験と仏教学者としての深い学識に裏付けられた研究成果をもとに、禅の思想とその歴史、禅の生活、さらに禅を現代にどう生かすか、その具体的な修行方法にいたるまで、禅とはなにかを平易に説き明かした待望の入門書である。

感想・レビュー・書評

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  • 太極拳をやるにあたって、心を落ち着けることの助けになるのではないかと思い、禅の本を読み始めた。この本が1冊目。

    自分の能力不足はもちろんだけど、内容が今一つまとまっていない感じを受けた。同じ内容が2度出てきたり、話が飛ぶこともあるように感じた。

    坐禅ができない場合に行う立禅や動禅を太極拳と結び付けているところは自分の目指していることが間違っていないことの裏付けになったと思う。

  • 禅についてというよりは、禅をテーマにしたエッセイともいうべきか。

  • インドで興った仏教と、中国の老荘思想などが融合し、誕生した「禅」。その思想はいかなるものか、現代にどう生かすか、禅の概要をわかりやすく解説した書籍。

    仏教には、我々が毎日行う経験や行為はすべて蓄積され、無限の過去と未来に連続しているという考え、阿頼耶識がある。すなわち、一瞬一瞬の行為が積み重なり生命を流転させる。このことに思いが及ぶなら、日々の行いを大切にしていかねばならない。

    金や地位をはじめ、ありとあらゆるものが人の心を縛る。少しでも金を儲けたい、他人より偉くなりたいなど、物欲は増すことに向かうため、人の一生をがんじ搦めに縛る。

    自分を束縛しているものを解放するには、「自分の心をからっぽにする」こと。過去の失敗を悔やまず、未来のことを心配せず、ただ今のことに集中する。そうすればだんだんと、無念無想の境に入っていける。(マインドフルネス)

    禅宗の開祖とされる達磨は、一切の功徳を否定する「無功徳」の思想を説いた。寺を造ったり、お経を写したりすることに功徳があると思うのは、世俗から見た間違った理解であって、迷いの原因だという。
    無功徳の思想を支えるのは、「無限の努力」である。理想は実現できないからこそ理想であり、実現できない理想に向かって、一歩一歩努力するところに人生の意義がある。

    世間を渡る際には、人より先にでないで、一歩譲ることが大事である。自分から一歩退くことが、一歩前進するための下地となる。人を蹴落とし、人の足を引張ったからといって、自分の能力や福徳が高まるものではない。人は人、吾は吾なりである。

  • まったく禅について理解していないので、もう少し平易に書かれているものの方が良かった。

  • 著者自身の禅との出会いに始まり、禅の思想や禅の生活について分かりやすく描かれる。「無所得・無所悟にして端座して時を移さば、即ち祖道なるべし」(正法眼蔵随門記)、「仏を求め、法を求むるも即ち是れ造地獄の業」など、滋味深い言葉がならぶ。

  • 禅についての平易な入門書です。

    第1章「禅との出会い」は、西田幾多郎の哲学や鈴木大拙の禅思想に惹かれ、沢木興道のもとで参禅に励んだ若き日の著者自身の体験が語られています。

    第2章「禅の思想」は、唯識の解説がおこなわれています。唯識では、眼・耳・鼻・舌・身・意のさらに根底に、末那識と阿頼耶識があると考えます。われわれの毎日の行為の影響は、意識の奥底に「薫習」し、蓄えられることになります。こうして、人間の一瞬一瞬の行為が積み重なって、その生命を流転させます。末那識や阿頼耶識は、こうした不断に活動している自我の根底であると同時に、迷いの根源にもなりうるとされます。これを曇りのない「大円鏡智」に変えることが、禅の目標だと著者は述べます。

    また、中国で成立した禅と、荘子の思想との類縁関係にも触れられています。『荘子』に「天地は一指也」という言葉があり、天地万物のいっさいが一つの指に宿るという考え方が示されています。ところが禅では、この「一指」をさらに断ち切って、「一」を「空」と見ています。著者は、俱胝が弟子の指を切り落としたときに、その弟子が忽然と「一指」を理解したという話をとりあげて、そこに現われている禅の考え方を解説しています。

    第3章「禅者の生き方」、第4章「禅の生活」、第5章「禅を現代にどう生かすか」では、禅のそれぞれの側面が著者自身のことばでわかりやすく解説されています。最後の第6章「禅宗の成立」は、歴史的な解説です。

  • その名のとおり禅の紹介。禅を理解するための最初の書として最適。紹介されていた禅の書も味読したい。

  • インド仏教からの戒、定、慧を定で三つを統一したのが禅。サンスクリットのディヤーナ。
    達磨によって中国に伝えられ、宗派となった。
    インド仏教にある輪廻転生の来世に希望を見る思想と、中国の老荘思想の現実世界を生きる思想との衝突により、禅宗と浄土宗が生まれた。
    不立文字というような言葉によらない、言葉を空づる方法や、只管打坐のひたすら座り続ける方法がある。
    それらの根底には、見仏性という個々人のなかに既仏の可能性があるという考えがある。

  • 【2008/09/25】
    禅についての大雑把な解説書。

  • 2週目の再読。
    この本のおかげでパニック障害を乗り切るきっかけができた。
    すべてはこの本から。
    ってことで今になってもう一度読み返してみたが、やはり心に響く。
    精神的に落ち着いている今、病気ではないにしても、常に欲求や怒りや不安に惑わされている自分の心。
    そんな心に再び喝を入れてくれた。
    この一冊は一生読み続けると思う。

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著者プロフィール

1927年神奈川県生まれ。駒澤大学仏教学部卒業。東京大学大学院博士課程修了。
東京大学東洋文化研究所教授、国際仏教学大学院大学教授などを歴任。専攻は中国・朝鮮仏教史。
文学博士。学士院賞受賞。2001年没。主な著書に『般若心経講話』『華厳の思想』『維摩経講話』などがある。


「2020年 『朝鮮仏教史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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