講孟箚記 下 (講談社学術文庫 443)

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  • Amazon.co.jp ・本 (646ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061584433

作品紹介・あらすじ

「吾(われ)幽囚の罪人と雖(いえ)ども、悪んぞ国家の衰乱、夷狄(いてき)の猖獗(しょうけつ)を度外に置くを忍びんや」、国家の多難を前に、国の運命を担う責務から逃避する道はない。獄中にあれば獄中の人として、これに参ずる道を発見せずんば止まぬ21回猛士吉田松陰は、「余が一室に幽囚して、広大を致す如きは、学の力のみ」と、遂に『孟子』の全講を終えた。行動力の人であると同時に天性の教育家だった彼のこの情熱が『箚記』の紙表に溢れて、人の心を打つ。

感想・レビュー・書評

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  • 松陰先生の自宅警備中の講義ノート。

    出来れば20代の頃にこの本を読みたかった。
    人並みに30歳を過ぎてしまった今では、
    「若くして亡くなったため、孔孟思想で終わり、
    もっと深い老荘や易の思想を理解しなかった」
    という後世の人々の松陰先生への評価や、
    孟子に対する「惠王を説く下りになると溜息をつき、
    本を閉じてしまう」という批評が腑に落ちてしまう。

    だが、松陰先生の教え子達が維新という奇跡を起こした
    という事実が彼と孟子の思想の正しさを証明している。
    惠王に「私を疑ってくれるな」と言った孟子のように
    人間の本性は善であると信じて限界を考えず、
    行動をして、感化させていったのである。
    「 至誠にして動かざるものは未だこれあらざるなり」

  • 江戸から長州へ引き渡されることになった吉田松陰。周囲から江戸に引き続き『孟子』の講義を続けてほしいとの声を受けた野山獄での講義録が下巻。七生報国との言葉があるが、吉田松陰も遺書と言われる『留魂録』には、「七たびもいきかえりつつ夷をぞ、攘(はら)わんこころ吾忘れめや」と最後に記したそう。わずか30歳の人生だったが多くの人に影響を与えた人柄、情熱があふれ出てとどまることのないパワーに圧倒される。

  • 松陰至誠の思いがにじみ出る著述でした。自らの人生の向きが、これで明らかになった。

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著者プロフィール

思想家、教育者

「2014年 『[新釈]講孟余話 吉田松陰、かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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