乃木大将と日本人 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (130ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061584556

作品紹介・あらすじ

ここに描かれたのは、乃木大将の伝記ではない。いわんや戦役史に資料を提供するものでもない。彼の大戦役の折、大将の身近にあり、大将をFather Nogiと呼んだ一米国従軍記者が、難攻不落といわれた二〇三高地を陥れ奉天戦へと転戦する乃木の孤影の中に、武士道精神と優雅な詩情とを併せもった名将の姿を見、自我を没却し、専心、理想の実現に邁進しようとした大将の生涯は、日本人の特質を具体化したものだと説く、香り高い名著。

感想・レビュー・書評

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  • 乃木大将に従軍した米国従軍記者が著したエッセイ。乃木大将の伝記ではなく、身をもって感じて見てきた大将の姿を描く。子息を失おうとも自我を没却し、専心・理想の実現に邁進した大将の生涯は日本人の特質を具体化したものだと説く。
    約100年前のエッセイ、しかも米国の著書であるが、現代語に近い形で翻訳されており前提知識がなくともある程度は読めると思う。
    表の自分と裏の(本当の)自分をここまで徹底的に切り分けることができるのかと感じたとともに、自分の目指すべき姿として参考になった。

  • 米国人記者から見た乃木像。記者の感動が乃木をして、日本人の特徴として、アメリカ本国へ伝わったことは後世にライシャワーなどへ影響をおよぼしたのであろうか。

  • 日露戦争時に、乃木希典と接点があった米国従軍記者が著した回想録。
    ただ、接点があったとは言え、読んでみると、やはり極めて限定的だと分かるので、正直、これを以って乃木希典を語るのは、難しいと感じた。
    一方、乃木が当時発した言葉、行動、態度は、偽りのないところだと思うので、彼の人柄を察するには、貴重な史実なのかもしれない。
    (加えて、当時の戦地の状況が記載されており、新たな発見もあった)

    乃木の自決も含めて、古武士精神を持つ乃木に対して、尊意を抱いていた欧米人がいたことは明らかだし、おそらく欧米で失いかけていた騎士道精神を重ねてみていたのかもしれない。

    この本が出版されたのは、第二次世界大戦前でもあるし、プロパガンダ的なところもあったのだろうか。

    以下抜粋~
    ・大きな仕事よりも、むしろ人格によって、その時世に非常に貢献する人が、30年に一度か、60年に一度くらい出現することがある。

    ・「暁天の星は次第に見えなくなるが、消えてもなくなることはない。われわれは諸君に会わず、諸君もわれわれに逢うことはないにしても、おのおの何処かで健在して、たがいに思いを馳せることであろう」

    ・将軍は、日本古来の理想主義の焔が、西洋文明との接触によって衰え切ったのを、あるいはこの殉死によって再び燃え立たしめることもできようと、胸中ひそかに思っていたかも知れぬ。

  • 大正12年(1923年)、幣原喜重郎〈しではら・きじゅうろう〉が原書を目黒に手渡した。幣原が外務大臣となる直前のことだから駐米大使時代か。翻訳当時、目黒真澄は東京高等商船学校(後の商船大学。現・東京海洋大学海洋工学部)の教授。100ページ足らずの小品でありながら乃木希典〈のぎ・まれすけ〉を見事に素描(そびょう)している。それを目黒が薫り高い名文で奏でる。
    https://sessendo.blogspot.com/2019/12/blog-post_14.html

  • 乃木神社での挙式の前に乃木大将を知るために読んだ本。米国従軍記者として当時のやり取りが生き生きと描かれている。乃木大将だけでなく登場する名前も残っていない先人の話を私自身も第3者の目線で見てしまうのはなぜだろう。もっと先人のことを知りたい。気遣い心遣いというのは、その場にあるもので知恵を絞り、自ら考えて行動すること。歓迎の仕方も見送り方もそう。目黒氏のように終生学ぶ姿勢も見習いたいと思った。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/739791

  • 司馬遼太郎だけ読んでいてはダメだった。

  • 乃木大将という典型的日本人の、その高潔さを米国人が正しく理解し、「FATHER NOGI」と崇めているその思いを存分に著した書。典型的日本人といいながら現代の日本人に全く見ることができなくなった高潔さという価値に、日本人がもう一度向き合わなくてはならなくなった時期に来ている。戦後の経済偏重で安っぽい商人に成り果てた日本人は本来の日本人ではない。少しでも乃木大将に近づきたい。

  • 849夜

  • 旅順口陥落で幕僚達が祝賀会にふける中、乃木大将は独り離れて腰掛け手で額を覆って「今は喜んでいる時ではない。お互いにあんな大きな犠牲を払ったではないか。」と涙を流しながら語ったという件が心に染みる…。

    日本人ならず外国人である著者までをも心酔させる乃木大将の“徳”に興味がわいて仕方がない。

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