明治維新と日本人 (講談社学術文庫 479)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061584792

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  • ペリーの来航から明治初期にいたるまでの歴史を解説し、まったく新しい世界史の舞台に投げ入れられることになった日本人が、そのなかでどのような選択をおこなったのかということを論じている本です。

    著者は、長崎の出島などのごく一部における交流を除いて、世界への扉を閉ざしてきた日本が、ペリーの来航によって否応なく西洋と対峙しなければならない状況に直面させられることになったとしながら、何人かの先覚者たちがそのような状況を真摯に見つめようとしていたことを明らかにしています。とくに著者は、大塚久雄が「近代的人間類型」の特徴として、個人の「内面的自発性」、「公平」の観念、近代科学へ向かう「合理的思考」、そして「名もない民衆の日常的経済生活を深くも顧慮するところのあの社会的関心」をあげたことに触れて、幕末から明治にかけての日本人のなかにそうした特徴をもつ人びとがいたと主張します。

    内発的な「近代化」への動きを拾いあげていくという本書の枠組みは、現在ではすこし古びてしまったようにも感じられますが、著者の議論は平明で幕末から明治初期の大きな流れを把握する手助けになります。

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著者プロフィール

芳賀 徹(はが・とおる):1931?2020年。東京大学教養学部教養学科卒、同大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化専攻博士課程修了。博士(文学)。東京大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授、日本藝術院会員。プリンストン大学客員研究員、京都造形芸術大学学長、静岡県立美術館館長などを歴任した。主な著書に『絵画の領分──近代日本比較文化史研究』(大佛次郎賞)、『文明としての徳川日本──一六〇三─一八五三年』(恩賜賞・日本芸術院賞)、『外交官の文章──もう一つの近代日本比較文化史』などがある。

「2023年 『平賀源内』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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