- Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061584877
感想・レビュー・書評
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日本最古の怪談と言われていると知り、興味があり手に取った。四谷怪談のような内容を想像していたが、怖さに振り切っただけではなくさまざまなタイプの話が短編でサクサク進む。世にも不思議な話に近い感じ。
上巻は6つの話があり、章ごとに現代訳と解説が入る感じで少しぶつ切りになる印象。ただしわかりやすくも感じる。
情景描写がとても印象に残った。特に始まりの以下が好み。
雨は晴れながら月は雨を含んでおぼろな夜、書斎の窓辺に編み出して書肆に渡す。題して雨月物語と名付けた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
上田秋成の「雨月物語」としては十二分に面白かった。今でも楽しめて、表現もちゃんと現代人にも伝わってくる。
ただ、膨大に付された「考釈」が、ときおり余計な機能をになっている。訳者にとってはより深遠に作品を掘り下げているつもりになっているだろうが、書かれている文量と内容のせいで本文があまり頭に入ってこない。もっと言えば、訳者はおそらく吉本隆明あたりを参考にしているのだろうが、たまに??となるような解釈もあり、作品を吟味するうえで障害にしかならなかった。しかし、一種の「雨月物語論」として本書を手に取れば、ちゃんと楽しめるかもしれない。
あと、個人的な都合だが、本書は古文の復習としても読んでいて、訳文と原文を交互に見比べていたから、ふだんの倍以上に読了までの時間がかかってしまった。だが、それでも飽きずに読み終えられたのはやはりもとにある面白さの質が高いからだろう。下巻も楽しみ。 -
江戸文学の最高峰の一つ。その中でも異彩を放ってる。講談社学術文庫でよくあるスタイルで原文、現代語訳があり理解はしやすいのだが、物語に没頭するという意味ではいかがかとは思うがそれは古典文学全般に言えますしね。一般の人へ普及ということを考えると、例えば源氏物語でよくあるようなオリジナルを元にした作品群などがあればいいのにと思う。そうするだけの魅力のある物語だと思う。まあそういうのはあるけども源氏物語のような有名なのはないかなあと。まあ肩入れし過ぎかもしれないが。また当然原文の美しさを堪能するという意味では原文で読みたい作品でもある。
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原文で読めるぎりぎりの古典。何年かに一度トレーニングがてら読む。前回はちくま文庫だったかな。上下巻に分けずに一冊にして欲しいところ。
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吉備津の釜「~ともし火を捧げて見るに、男の髪の髷(もとどり)ばかりかかりて、外には露ばかりのものもなし~」、この一文で雨と月あかりの中に浮かぶ底冷えする凍てつく怖さのすべてを物語る。
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雨月物語自体はおもしろいが、解説の内容が考えすぎというかずれている気がする。
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『ぼくらの頭脳の鍛え方』
文庫&新書百冊(佐藤優選)175
文学の力・物語の力 -
読み物としてはすごく面白いです。青木さんの独自の考察がおもしろすぎて(興味深いものばかりで)、どこまで信用していいのか…。笑
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物語として読んでももちろんだけど、考釈にあるように、個人的エゴと社会理念、規範の関係性を意識しながら読むとなお面白い。上巻では「仏法僧」、「吉備津の釜」が好き。次点で「白峰」
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新宮などを舞台とした作品です。