- Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061584884
感想・レビュー・書評
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考釈と語文注が難しく、読み始めは何を言っているのか…と思っていたが、読み終わってみるとあってよかったと思う。
訳文だけであったら、ただ「捻った話でもないし、まぁこんなもんか」で済ませていただろう。
特に古典からの引用や歌の意味などは、訳を読んだだけでは素人としては全く理解できない。
まぁ、納得のいかない考釈、理解できない考釈も多いが…。
イデオロギー(◯◯とはこういうもの・かくあるべきという決めつけ、思い込み)と個人の自然な感情との隙間から魔は生じる…。
単に読んだだけではハッピーエンドのように描写されているが、此岸の理想から来る決めつけによって拒絶された彼岸に感情を置くと胸糞悪い終わり方が多い。
自らの言動を思い返せ、無意識の浮ついたイデオロギーに囚われたままでは、お前もいつか祟られるぞ…と、そういう意味で恐ろしかった。
とても面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「蛇性の婬」「青頭巾」が読む前から特に気になっていたから、それが読めただけでも感激。そして、期待を裏切らず、ちゃんと面白かった。
上下巻を通して面白かったのはこの2つと「吉備津の釜」で、怪異譚として非常に読み応えがあった。秋成の玲瓏で怪しげな文体も相まって、作品の世界観を見事に表現しているし、またこの3つは現代でも十分通ずることができるように思う。
青木正次は訳といっしょに註解もしていたが、もう少しコンパクトにしても良かったのではないかと思う。物語に集中したいとき、途中で挟まれる解説がわずらわしかったし、おそらく本書の半分以上はそうした解説で占められていたから、余計に邪魔と思えてしまった。
上巻の感想でも書いたが、やはりこの講談社学術文庫版の「雨月物語」は、本文付きの「雨月物語論」と見做しながら読むのが一番かもしれない。しかし文庫で、原文と訳文を照らし合わせながら読めるのはこれしかないから、買うときには注意。ただ、古文の勉強には最適だから、高校以来古文に触れてない人は復習がわりに読むのもいいかもしれない。 -
『ぼくらの頭脳の鍛え方』
文庫&新書百冊(佐藤優選)175
文学の力・物語の力 -
全体的な感想は(上)の方で。
「青頭巾」の快庵と院主が表裏一体とか、鏡に映したようなとか言ってくれてるのはすごく同意なんやけど…、やっぱりどこまで信用していいのか…笑 -
いわゆる古典から近代小説へと読物が移り変わっていくその階となるような作品。下巻も面白さは変わらず、中でも「青頭巾」が面白い。
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新宮などを舞台とした作品です。
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本編で最も素晴らしいのが「青頭巾」。
閉鎖的な寺で行われた幼児性愛に同性愛。恐ろしくも幻想的な世界。 -
全2巻
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「青頭巾」は下巻収録。あの妄執がもたらす凄絶なカタルシスがいい。