- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061585287
作品紹介・あらすじ
南方熊楠は、柳田国男とともに、日本の民俗学の草創者である。この二人は、その学問の方法においても、その思想的出自と経歴においても、いたく対照的なのである。日本の学問のこれからの創造可能性を考えるために、この二つの巨峰を、わたしたちはおのれの力倆において、登り比べてみることは役に立つであろう。そうした意味で、微力ながら、これはわたしの南方登攀記の発端である。(著者まえがきより)〈昭和54年度毎日出版文化賞受賞作〉
感想・レビュー・書評
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粘菌学者なんて小さいカテゴリーではくくれない熊楠のスケールの大きさが良く分かる
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巨人、南方熊楠を紐解く❗
柳田国男研究者であった著者だからこその論法がキラリと光った作品だと個人的には感じられた。
共に日本の民俗学の創始者でありながら、決定的に異なる柳田と熊楠との比較然り、熊楠自身の比較研究法然り…
そしてやはり面白いのは『南方曼陀羅』だ。
一途で、誰よりもピュアで、感受性がズバ抜けて豊か。もちろん探求心が強く、研究熱心でいて、義理人情に厚い。先を見越した広い視野で「幸福とは何か」を追求した巨人。
決して平坦な人生ではなかったが、己を貫いた巨人の側面を的確に指摘した、とても読みやすい作品だった。
巨人、熊楠に惹かれるものを感じる方は一読の価値ありだと思う。 -
古書
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南方熊楠の功績を知れた。次は著書を読んでみたい。
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私の南方の知識は、神坂次郎の小説1冊だけでしたので、こうした学術的考察を読むと、改めてとんでもない人物だったと再認識できます。
彼の残した原稿やノートが未だ全てが日の目を見ていないというほどの量であることからてっきり思索型の人間かと思いきや、負けず劣らず行動の人(本業の粘菌集めのフィールドワーク、神社合併反対運動で投獄されたり、人種差別した外人を殴るなど)でもあったわけです。
そして、この本ですが、南方研究にのめりこめば人生の大半を費やさざるを得ないという現実だけは理解できました。 -
「南方は、植物学者として、森林の濫伐が珍奇な植物を滅亡させることを憂えた。民俗学者として、庶民の信仰を衰えさせることを心配した。また森の寄り合いの場である神社をとりこわすことによって、自村内自治を阻むことを恐れた。森林を消滅させることによって、そこに棲息する鳥類を絶滅させるために、害虫が殖え、農産物に害を与えて農民を苦しめるこもを心配した。海浜の樹木を伐採することにより、木陰がなくなり、魚が海辺によりつかず、漁民が困窮する有様を嘆いた。産土社を奪われた住民の宗教心が衰え、連帯感がうすらぐことを悲しんだ。そして、連帯感がうすらぐことによって、道徳心が衰えることを憂えた」
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南方熊楠について、その人柄や略歴、仕事についてまとめたもの。
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No.22
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