植物知識 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (122ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061585294

作品紹介・あらすじ

私は、草木に愛を持つことによって、人間愛を養うことができる、と確信して疑わぬのである。もしも私が日蓮ほどの偉物であったなら、きっと私は草木を本尊とする宗教を樹立してみせることができると思っている。自然の宗教!その本尊は植物。なんら儒教、仏教と異なるところはない。もし諸君が本書を読んで、いささかでも植物趣味を感ぜられ、且つあわせて植物知識を得られたならば、筆者は大いに満足するところである。(「あとがき」より)

感想・レビュー・書評

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  • 「私は、草木に愛を持つことによって、人間愛を養うことができる、と確信して疑わぬのです。」

    少し大袈裟な言い方だけど、私も賛成。
    人間以外の生き物に興味を持てる人って、人にも優しい。ファッションじゃない興味の持ち方できる人は優しい。

    この本はあまり学術的な内容は書いてないけど、昔の人、牧野富太郎さんだったから、書ける内容で、なかなか面白かった。

    植物を愛せる人はそよ風みたいな人が多いと思う。
    大袈裟だけど。

  • あとがきだけでも価値ありと思えるほど十分に濃かった。

  • 「花は誠に美麗で、且つ趣味に富んだ生殖器であって、動物の醜い生殖器とは雲泥の差があり、(中略)なんの醜悪なところは一点もこれなく、まったく美点に充ち満ちている。まず花弁の色がわが眼を惹きつける、花香がわが花を撲つ。なお子細に注意すると、花の形でも萼でも、注意に値せぬものはほとんどない。」と認められた前書きから一気呵成に植物知識を授けられ植物趣味を感ぜられる古典。昭和二十四年に旧逓信省より刊行された教養書であるため、現在の植物分類学では名称が変更となったものも多く、都度注釈を確認しても内容を理解するまでに時間を要する点はあるものの、花と果実の概説としては短く纏められているので書棚に挿しておきたくなる。

  • とてもおもしろいのだが、随所に子どもを生まない女の人みたいでもったいない、ってなことがかいてあって正直癇に障る。

  • (2015.03.12読了)(2007.02.24購入)
    科学啓蒙書を紹介するマンガ「ドミトリーともきんす」高野文子著、に牧野さんも登場したので、紹介していた本とは違うのですが、この機会に読んでしまうことにしました。
    植物は、毎日目にするし、目を楽しませてもらったり、野菜や果物、穀物には世話になっているのに、あまり関心がないようです。
    この本では、18種類の花と4種類の果実について牧野さんの豊富な薀蓄を披歴して紹介しています。
    植物の名前は、中国から入ってきたものが多いようですが、同じ文字を使っても違う植物だったりするようです。また、日本でも万葉集のころと、現代とでは、同じ名前が使われていても、別の植物だったりするようです。
    単行本が1949年の発行ということで、花の部位の呼び名などはなじみのないものが多数出てくるのですが、分からなくても、読むのに差し障りなさそうです。
    取り上げられている花も果実も割となじみのあるのが多いので、楽しく読めるのではないでしょうか。

    【目次】
    本書に寄せて  佐藤洋
    まえがき

     ボタン/シャクヤク/スイセン/キキョウ/リンドウ/アヤメ/カキツバタ/
    ムラサキ/スミレ/サクラソウ/ヒマワリ/ユリ/ハナショウブ/ヒガンバナ/
     オキナグサ/シュウカイドウ/ドクダミ/イカリソウ
    果実
     果実/リンゴ/ミカン/バナナ/オランダイチゴ
    あとがき

    牧野富太郎博士のことなど  佐藤洋

    ●「日まわり日にまわらず」(49頁)
    ヒマワリの花は側方に傾いて咲いてはいれど、日に向こうてはいっこうに動かないことは、実地についてヒマワリの花を朝から夕まで見ていれば、すぐにその真相がわかり、まったくくたびれもうけにおわるほかはない。
    (日に向かって動くと言われているけれど、本当だろうかと思っていたので、疑問が解けた気分です)
    ●ヒガンバナ(曼珠沙華)(67頁)
    毒草であるからだれもこれを愛植している人はなく、いつまでも野の花であるばかりでなく、いつも人に忌み嫌われる傾向を持っている。
    ●葉見ず花見ず(68頁)
    (ヒガンバナは)花が済むとまもなく数条の長い緑葉が出て、それが冬を越し翌年の三月ごろに枯死する。そしてその秋、また地中の鱗茎から花茎が出て花が咲き、毎年毎年これを繰り返している。かく花の時は葉がなく、葉の時は花がないので、それでハミズハナミズの名がある。
    ●ミカン(88頁)
    ミカンは、その毛の中の汁を味わっている
    ●バナナ(94頁)
    果実としてのバナナは元来そのいずれの部分を食しているかというと、じつはその果実の皮を食しているのである。

    ☆関連図書(既読)
    「ドミトリーともきんす」高野文子著、中央公論新社、2014.09.25
    「栽培植物と農耕の起源」中尾佐助著、岩波新書、1966.01.25
    「春の草木」宇都宮貞子著、新潮文庫、1985.02.25
    「夏の草木」宇都宮貞子著、新潮文庫、1984.06.25
    「秋の草木」宇都宮貞子著、新潮文庫、1984.08.25
    「冬の草木」宇都宮貞子著、新潮文庫、1984.12.20
    「日本一多くの木を植えた男」宮脇昭著、 NHK教育テレビ、2005.06.01
    (2015年3月13日・記)
    内容紹介(amazon)
    私は、草木に愛を持つことによって、人間愛を養うことができる、と確信して疑わぬのである。もしも私が日蓮ほどの偉物であったなら、きっと私は草木を本尊とする宗教を樹立してみせることができると思っている。自然の宗教!その本尊は植物。なんら儒教、仏教と異なるところはない。もし諸君が本書を読んで、いささかでも植物趣味を感ぜられ、且つあわせて植物知識を得られたならば、筆者は大いに満足するところである。(「あとがき」より)

  • あとがき。深かった。

  • へぇ~と唸る解説がたくさん
    果実の項が特におもしろかった

  • かの有名な(?)牧野富太郎であります。

  • 植物を好きになる事で、気持ちが豊かになるのでは無いか。

  • ≪内容≫
    日本の「植物学の父」として知られる牧野富太郎博士の啓蒙随筆。花についての18項目、果実についての4項目を簡単な図と解説と共に収録。

    ≪感想≫
    牧野博士の植物にかける情熱がひしひしと伝わる一冊。彼の率直な語り口からは、自分の目で培った知識に対する自信が伝わってきて、昔気質の学者らしさが非常に心地良い。
    まず、多くの書物にはまえがきが添えられるが、本書ほど著者の熱が伝わるまえがきは存在しないのではないか、と思う。それぐらいテンションの高い書き出しで、著者の人柄や本文の面白さを予感させ、一気に魅了された。

    それぞれの項目では、テーマとなる植物の形状や概観を説明したのち、古事来歴やら名称に関するボヤキやらが加わり、それらを通して植物から学ぶことの大きさを熱をこめて書かれている。どの項から読んでも差し支えなく、散歩中に見つけた植物について、博識の老人と会話をしてるような気軽さがある。

    また、文庫の文末には伊藤洋氏による牧野博士の業績についての紹介があり、博士がいかに植物学に貢献されたのかを通して、学者として、人間としての博士の表情が描かれている。それも合わせて興味と実益に満ちた一冊であるように思う。

    ***

    余談ではあるが、たまたまこの本についてきた講談社学術文庫の栞に良い言葉があった。

    『学術は少年の心を養い
    成年の心を満たす』

    植物に魅せられ心を満たす博士と、彼の文章によって心を養う自分。まさに本書の面白さを端的に表している言葉であるように感じる。

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著者プロフィール

1862年(文久2年)土佐国佐川村(現、高知県高岡郡佐川町)の裕福な商家と酒造業を営む家に生まれる。三歳で父を、五歳で母を失い、祖母に育てられる。幼少時から植物に強い関心を示し、小学校を2年で中退、好きな植物採取に熱中する。19歳の時、初めて上京し博覧会を見る一方、書籍や顕微鏡を購入する。22歳の時(明治17年)に再び上京し、帝国大学理科大学(現、東京大学理学部)植物学教室に出入りし、文献・資料等の使用を許可される。自ら創刊に関わった「植物学雑誌」に新種ヤマトグサを発表し、日本人として初めて新種に学名をつける。94年間の生涯で収集した標本は40万枚に及び、新種を初め1500種以上の植物に命名し、「日本植物分類学の父」と呼ばれる。

「2023年 『オリジナル普及版 牧野日本植物圖説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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