- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061586390
作品紹介・あらすじ
沢木興道老師の言葉には寸毫の虚飾もごまかしもない。ここには老師の清らかに、真実に、徹底して生きぬいた一人の禅者の珠玉の言葉がちりばめられてある。仏教学や禅学を知らなくても、人生をいかに生きようかということを考えたことのある人に対して、本書は必ず何かを与えてくれる。簡単な一つの言葉が無限の重みをもって読者の心に迫るであろう。そこにこそ本書の大いなる価値があると、私は固く信ずるものである。(解説より)
感想・レビュー・書評
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自分が自分になり切っていくことは
容易ではない。
座禅をすることで道を究められた
一生に感銘を受けました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
豪快、シンプル、清々しい、こんな生き方ができればいいなと思う。現代人のなんとこせこせした生活よ。
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◆『<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4061586394?ie=UTF8&tag=ishiinbr-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4061586394"><span style="color:#0000FF">沢木興道聞き書き―ある禅者の生涯 (講談社学術文庫 (639))</span> </a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ishiinbr-22&l=as2&o=9&a=4061586394" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />』
沢木興道(1880年6〜1965)は、昭和を代表する日本の曹洞宗の禅僧である。タイトルに「聞き書き」とあるように、沢木興道が話したことを内山興正が筆記し、さらにそれを酒井得元が編集して、書き改めたものであるという。いずれにせよ、こうした記録が残ることによって、金も名誉も求めず、ひたすら求道に徹し、仏道に一生を捧げた一禅者の生き様が、強烈な印象をもって私たちに働きかけてくる。読み始めると夢中になって止められなかった。
沢木興道とは、直接なんのつながりもないが、私が近年いちばん影響を受けたガンガジの『<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4198621845?ie=UTF8&tag=ishiinbr-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4198621845"><span style="color:#0000FF">ポケットの中のダイヤモンド―あなたはすべてをもっている</span></a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=ishiinbr-22&l=as2&o=9&a=4198621845" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />』の中で、さらにいちばん印象に残り、度々思い出すのは、次のような言葉である。
「精神的な探求とは実は死の探求であり、喪失の探求です。多くの人が、開悟を求めて精神的な探求を始めます。が、真の精神的覚醒とは何もかも失うことを通して得られるものなのです。」p317
ここで「何もかも失う」は、「何もかも手放す」と言い換えることもできるだろう。そしてほとんど「何もかも手放す」生き方を貫いたのが沢木興道だったのだ、と私は感じる。
沢木興道は語る、「仏法は餌食拾いの方法ではない。自分の本質が生きる生き方である。もしも食が授からなかったら食わずに死ぬという覚悟が、そのころからできかけた。」
その覚悟ができかけたというのは、18歳のころだという。そして彼は自分の半生を次のように振りかえる。
「食わされれば食う、食わされなければ食わぬ。衣類も着せられれば着るが、自分では着ぬ。一切生活を追い求めることはしないというのが、わしという人間の日常である。『ただ真っ直ぐむこうを向いて行くばかり』というのが、これまでのわしの一生であったが、今後もそうであろう。」
「ただ直ぐむこうを向いて行くばかり」というのは、もちろん仏道のことだ。この本を読むと、沢木興道という人はこういう生き方を実際に貫いた人だということがよく分かる。金や名誉や地位といった、「自己」拡大のための道具立てに一切執着せず、ただひたすら「真実」のためにのみ生きる。そこに本当の修行の姿があると、最近わたしも切実に思う。この本の魅力は、そういう生き方を貫いた男の真実さがまっすぐに伝わり、自分もそういう生き方をしたいと、思わせる力をもっていることだ。
結局人は、すべてを失って死んでいかなけれならない。しかし、すべてを失うから、一切が虚しくなるのではない。逆に、すべてを失うことが実感されればされるほど、本当に大切なものが見えてくるのだ。
著者プロフィール
酒井得元の作品





