- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061586406
作品紹介・あらすじ
元来、物理学の歴史は単に発明・発見の物語ではなく、すべての歴史と同じく、生きた人間と自然界との係り合いが重要である。本書は、自然についての知識を人間がどのように汲みとり、それを生活に社会にどのように応用してきたかといった物理本来の意味を基礎におきながら、物理学が芽ばえた古代文明期から論を起こし、20世紀初めの相対性理論や前期量子論に至るまでを、実に要領よく簡潔にまとめた秀逸の物理学通史。
感想・レビュー・書評
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著者の竹内均(1920-2004)は東京大学名誉教授であり、地球物理学の碩学である。1981年に東大を退官した後、科学雑誌『Newton』を創刊し編集長に就任した。
本書は1948年の発刊。著者が東大理学部地球物理教室の特別大学院学生の頃に書き上げた。難解な物理学の歴史を平易な言葉で記した名著である。物理現象を数学的に記すことが眼目の物理学において、数式をほぼ使わずに歴史を書くのは容易ではない。まして、その上で物理学の醍醐味を記すのは至難である。科学者たちの試行錯誤や苦悩さえ散りばめながら、歴史を紐解く著者の筆力に舌を巻く。若干28歳の大学院生が書いたとは思えないのだ。
物理学とは自然と格闘し、自然を切り結ぶ学問である。実験から現象を読み解こうとする営みに醍醐味があり、本書はそれを伝えることに成功している。物理学の発展の過程には「天才の閃き」があり、それが物理学を飛躍させた。しかし、それは突然現れたものではない。閃きの源泉をもたらした先人がいる。「巨人の肩」に乗ればこそ、遠くまで見通すことができたのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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