詩・ことば・人間 (講談社学術文庫 (672))

著者 : 大岡信
  • 講談社 (1985年2月発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061586727

詩・ことば・人間 (講談社学術文庫 (672))の感想・レビュー・書評

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  • 土井先生の推薦書

    37 土井先生にはかなわない。

    5 事物が自分から引き出してくれる言葉で

    ★37 京都の嵯峨に住む染色家、志村ふくみさんの仕事場で話していた折、・・・実際は・・・あの黒っぽいゴツゴツした桜の皮から、この美しいピンクの色がとれるのだという。・・・この桜色は、一年中どの季節でもとれるわけではない。桜の花の咲く直前のころ、山の桜の皮をもらってきて染めると、こんな、上気したような、えもいわれぬ色が取り出せるのだ。

    54 宇宙のリズム

    60 リズムは、何よりも呼吸

    81 学校の教師は、学生に毎日より多くの言語体系を移植しようと励む人々

    122 4枚分ほどの文章を一度に見渡せるというのは、大事。(駆け出し期)

    ★157 言葉の教育は、最も重要な教育となる。
    貧弱な言語教育は、貧弱な人間を必然的に作り上げる

    162 写真の発明は絵画に打撃を与えたが、絵画に自由な発想を与えた

    237 読めない→読みたくない→読まない

    266 人間に言葉がある限り、滅びるはずはないものであった。
    言葉こそ、人類不滅の創造であり、同時に創造力そのものだったからである。

    289 言葉は氷山の一角。その水面下に人の心がある

    270 見えるものは、見えないものにさわっている。
    それと同様に、聞こえるもの、考えられるものも。

  • 幼稚園児の甥っ子を相手すると、男の子らしく、頭突したり、蹴りを入れたり、乱暴な一面もある。
    その理由は、まだ言葉による会話で自分の感情を表現する技術が足りないので、嬉しいという気持ちの表現を、ボディランゲージでカバーしているのだろうと思う。
    大岡信の本「詩・ことば・人間」の一節にこんな話がある。
    ある日本人の芸術家がドイツ人女性と結婚して坊や1人ができて、パリで暮らしていた。
    著者が4歳の坊やに会ってみると、坊やは並外れて神経質で粗暴な行動を取る。
    その理由は、両親が互いに話せるフランス語しか喋らず、坊やは両親の母国語でないフランス語をマスターせざるを得ず、貧弱な語彙しかなく、長いセンテンスの言葉を話せない。だから、坊やの話し方は、何か叫ぶような調子で、それが神経質な感じになっていた。
    しかし、その坊やが諸事情で日本に住むことになり、幼稚園でたくさんの友だちができると、神経質で孤独な感じがまるで拭い去ったように消えていて、普通のわんぱくな子供になっていた、と。
    嬉しい、悲しい、という自分の気持ちを日本語で表現し、他人と共有できるレベルになっていたのだ。
    この話の結論は、母国語と言う言葉の習得は、単に意志の伝達手段だけでなく、一人の人間の人格の問題に根源的に関わっている、と。
    つまり、言葉は人格的現象である、と。
    そんな話を思い出しながら、男の子よりも女の子の方がませて見えるのは、おしゃべり好きで、言葉を操る技術を早い段階から習得するからだろう、と思ったりする。

  • 全体的には、やや生理にかけるというか、
    最上の洗練には届かぬ文体かなと感じるも、
    書に関する知見や識別は十二分に的を射ているもので、
    専門であるはずのこちらが少しどきっとしてしまうような、
    卓見がズラリ並んでいた。


    自分が持っていると思う言葉で事物に対そうとすることより、事物が自分から引き出してくれる言葉で事物に対することの方が、より深い真の自己発見に導く

    われわれは自分自身のうちに、われわれを所有しているところの絶対者を、所有しているのだ

    そのささやかな背後に大きなものが見えてくるまでは、古典作品などというものは、言ってみれば屑同然である

    ここで改めて気づいて驚かざるを得ないのは、ノヴァーリスがこの奥行きのある思想を語るのに、まことにささやかな言葉しか用いていないことである

    名文というやつは、どこに置かれていてもわりと見分けがつく。

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