翻訳と批評 (講談社学術文庫)

  • 講談社 (1985年2月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784061586734

感想・レビュー・書評

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  •  翻訳における直訳がなぜ間違いなのかが説明されている本。

     この本は1985年に出版されているので、今これを書いている2025年から40年前の話だ。AI翻訳が活躍する昨今に古くさい話と思われるかもしれないが、翻訳する際に留意しなければいけないことを教えてくれる。
     まず直訳は翻訳ではないとばかりにばっさり切り捨てている。その大きな理由として文章にはイディオム(熟語)が存在することが挙げられている。イディオムを一語一句直訳してしまうと、意味をなさなくなる。
     また、日本語をヨーロッパ言語のようにかけ離れている言語の構文に近づけようとすることで、日本語として読むに堪えない日本語になってしまうことを厳しく批判している。そもそも文法構造が違う言語同士をそのまま置き換えることに何の意味があるのかと。また、代名詞や助数詞の使い方の違いにより、話の筋を台無しにする例も示している。
     著者は文法解釈のあやまりに起因する誤訳をあげつらうより、悪訳なのは日本語として読めない翻訳だと主張する。これにはおおむね賛成する。リズムが悪く、代名詞が多用され、何を指しているのかよく分からない日本語を読ませられるのは、翻訳書だとしてもストレスがたまる。
     別宮氏の批評は経済学者の水田氏が翻訳した『国富論』において、さらにヒートアップする。これは「批評」というよりは批判合戦でどちらも譲れない典型的な学者先生だと辟易させられた。
     数多くの悪訳例が原文と併記されて批評されている。英語の読解能力の問題もあり、1つ1つ読んでいくのに時間がかかったが、熱くて、辛口な批評は別宮先生が世にはびこる悪訳を少しでもなくそうとする情熱に違いない。

  • 「翻訳を学ぶ」八潮出版社1975年7月

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著者プロフィール

(べっく・さだのり)1927年東京生まれ。英文学、比較文学。上智大学大学院西洋文化研究科修士課程修了。元上智大学教授。

「2017年 『十二世紀のルネサンス ヨーロッパの目覚め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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