- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061587601
作品紹介・あらすじ
日本人の宗教信仰の核心をなしているものは何か。本書は、奈良時代の遊離魂信仰、平安時代の鎮魂儀礼、鎌倉時代の成仏・往生思想の三つの観点から、これを歴雑的に考察した。庶民の生活実感の中に深くしみこんでいる信仰、即ち崇り信仰に対して、その崇りを排除するために行われた空海の加持祈祷の儀礼をはじめ、親鸞・道元等の仏教思想との葛藤は、今日も本質的に変わっていないと説く。仏教信仰の原点を問い直した最新の意欲作。
感想・レビュー・書評
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著者の講演をもとにした論考6編を収録しています。
古代以来の日本人の霊魂信仰と、それを超えようとする仏教思想との関係について論じたものや、真言宗における密教儀礼と大嘗祭の祭儀とのつながりについて、両者の生命主義的な思想に着目することで考察をおこなったものなど、仏教民俗学の立場から日本人の信仰のありように迫っています。
また、東北やインドといった地域に根ざした人びとの信仰の本質に迫る試みや、親鸞と道元の思想的なスタンスの違いについて論じた文章も収められています。
講演がもとになっていることもあり、非常に読みやすい文章で日本人の仏教信仰の「原点」について説明がなされており、おもしろく読みました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本人の霊魂観については歴史が概観でき、ありがたい。
魂が奈良時代以前はタタル(現れる)もので、平安時代になると個人の魂が祟るものとなり、鎌倉以降は集団の魂が対象となる儀礼がみられるようになる。
密教儀礼については疑問点が多かった。
空海側からばかりではなく、受容側の需要が高まったことも大きいのでは。
日本は山の思想、インドは水の思想。
これはおもしろいなぁ。
やはり東北仏教はおもしろいなぁ。
著者プロフィール
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