とはずがたり(上) (講談社学術文庫)

制作 : 次田 香澄 
  • 講談社 (1987年7月6日発売)
3.93
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  • 本棚登録 :53
  • レビュー :6
  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061587953

作品紹介・あらすじ

鎌倉時代前期、武家階級に活力ある政権を奪われた京都では、古来の政治・経済の基盤を失いかけた貴族たちは退廃的な生活にひたっていた。この風潮の中で、家柄と容色と才智にめぐまれた、久我雅忠の女がその異常な生涯を自らの手で記したのが『とはずがたり』である。14歳の春、無理に後深草院の後宮にされて一皇子を生みながら、複数の男性とも愛欲の生活を続ける大胆・奔放な生き方、体験を露骨に記述する文学史上特異な作品。

とはずがたり(上) (講談社学術文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 高校のときの古文の授業があまりにも退屈で、それ以来古文なんて読む気しなかった。
    だけど偶然この本の内容を何かで読んだとき、一気に引き込まれた。
    「レイプ」「二股」「妊婦プレイ」「ストーカー被害」「コスプレ」「愛人に別の女とのセックスを見せつけて興奮」…
    これ、ライトノベルの話じゃないよ。
    700年前の日本で書かれた、れっきとした“古典文学”。

    でも、内容はもちろん、それだけじゃない。
    作者は早くに生みの母を亡くし、権力争い熾烈な父と、時の最高権力者の院との間の黙契により、14歳で院に処女を奪われる。
    その父もその後すぐに早世し、作者は天涯孤独となり、まだ十代の彼女は疾風怒濤のごとく、人間の欲望の坩堝にさらされる。
    院は男女関係としてだけでなく、自分の後見人でもあり、女性として見限られることが即ち生活のすべを失うという外的な複雑さに加え、彼女自身の権勢欲、プライド、そして恋愛感情と性的欲求がくっついたり離れたりといった彼女の内的な複雑さが絡み合う。
    そのためだろうか、作者の行動基準は「自分の感情に従っているかどうか」この一点だ。
    他人の言動がどうとか、他人にどう思われるかなんて、端から眼中にない。

    だから、いくら院の愛人となった後、幼馴染で相思相愛だった“雪の曙”と逢引しようとも、僧侶で聖職者のはずの“有明の月”にレイプされて、でも、贈られた歌のセンスの良さに惹かれようとも、院に愛人である自分を他の貴族に抱かせるように仕向けられ、拒絶したものの体を奪われ、屈辱や不信と同時に、女としてその男の余韻が忘れられず「わが心ながらおぼつかなく侍りしか」という感情が沸き起ころうとも、彼女にブレはない。
    あくまで自分の感情に素直に従った結果だ。

    一方で、雪の曙との性に溺れた結果、子を授かり、生まれた女の子を抱いたその途端に手から離され生き別れになったとき、「人知れぬ音をのみ袖に包みて(誰にも聞こえないように顔を袖で覆って声を殺して泣いて)」という描写は、現代人の読者であっても感性に強く響くものだ。

    私は男なので、作中で縷々と紡ぎ出される彼女の感情をすぐに頭で理解はできないが、いわば心理小説を読み進めるような(もちろん仏文学のような完成度は望むべくも無いが)高揚感を感じた。

    一見、日記もののようだけど、作者も実体験のありのままの記録なんて芸のないことをするつもりはなかったようで、源氏物語を手本としつつ、自己の感情に焦点を当てることで作り物の感情描写を排した“リアルな源氏物語”を書こうとしたように思われ、それがこの作品の文学的香気を高める結果となったのだろう。
    機会あれば、この物語の解説を荻野文子先生から聞いてみたい。
    (2013/1/25)

  • 想い人の雪の曙がいるにもかかわらず、後深草院の寵を受ける。院の子を産む。しかし、雪の曙との関係も続いて、ついには雪の曙の女児を産むが、他の所にやり生き別れる。
    その後、粥杖騒動と贖い。有明の月に迫られて契る。女楽で祖父の兵部卿・四条隆親と衝突し、近衛大殿と心ならずも契ることになる。自分の思い通りにならない作者はさぞ辛いでしょうね。

  • 資料番号:010712339 
    請求記号:915.4ゴ

  • とはずがたりの研究者としても知られてる方です。
    解説がわかりやすいです。
    ファンなら、この方の本も読むべき。
    ただ、一冊にまとめてほしかった・・・

  • 967夜

  • ワタシの卒論。
    ファッション、恋愛、宗教、日本文化。。。とワタシの大好物がてんこもりな素晴らしい作品です。
    だいすき!

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