- 本 ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061588066
感想・レビュー・書評
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※ハイダーの均衡理論→レヴィンのトポロジー→フェスティンガの認知的不協和ー→強化理論、という構成をとっている。
■ハイダーの均衡理論
A=男性、B=女性、C=D教授の講義とする。Aは、Bに好意を抱いている=+。しかし、BはCが好きではない=-。とすると、+×-=-となり、「不均衡」状態になってしまう。これを、+に戻すために、Aも、Cを嫌いにならなければならない=-。そうすれば、+×-×-=+、となる。だが、もし、AはCの講義を気に入っていたとしたら?一つの例として、Aは「あのすばらしい講義を理解できないとは、Bは馬鹿なのだろう」と見切りをつけて、Bへの感情を-へ変更することもあるだろう、といったように、常に、「均衡」状態を目指す、というのが、ハイダーの理論である。
※問題点としては、これは、三者関係しかとらえられない、ということがある。例えば、この場合、D教授自身への感情や、BのAへの好意などが加味されない。また、+と-という二極的な価値しか付与されない。
■レヴィンのトポロジー
我々の心理空間を図示したものである。例えば、楕円がある。その中心に、我々の、内的な心理空間がある。そこには価値観やら、無意識やら、あれこれが詰まっている。そして、実際には、外的な心理空間がある。それは、昼ご飯を、ラーメン屋=Aに行くか、定食屋=Bに行くか、という選択肢などである。Aも、Bも、実際に外的に存在しているものであり、どちらに行くかを、心理的に考えているのだから、これは、「外的な心理空間」と言えよう。そして、雨が降って傘を買う場合も、このトポロジーの中に、「雨が降る=外的」→「濡れたくはない=内的」→「デパートへ行く=外的」→「傘を買う=外的」といった形で経路をつくることができる。
※とはいえ、この際に、内的と外的が交互に出現するのがより現実に即しているが、それを図示できないのは欠点。
そして、レヴィンにも均衡理論のようなものが取り入れられる。例えば、ラーメンを食べたい。しかし、休業日であった。この場合、緊張が強くなる。この緊張を取り除き心理的均衡状態を取り戻すために、定食屋に行くことができる。ここで、定食屋に行けば、この、「ラーメン屋に行きたい」という緊張は緩和され心理的均衡が回復される。
■フェスティンガーの認知的不協和
我々の認知が矛盾している状態を示している。つまり、普通は、A=M教授が好きである。B=M教授の授業は面白い。といった具合に、+×+の関係となっている。だが、A=M教授が好きである。B=M教授の授業がつまらない、となると、認知的不協和になってしまう。こうした場合に、この「不協和」=不均衡→「協和」=均衡状態へと戻そうとする働きが認知的に生じる。それは、A’=「あのようなつまらない授業をするM教授など嫌いである」か、B’=「いや、あれほど素晴らしいM教授なのだから、この授業は面白いに決まっている」といった具合に、認知を協和状態へと変更してしまう、というところはハイダーの均衡理論に類似している。
しかし、ここにある実験がある。A群と、B群はそれぞれ実験として、「つまらない授業を面白かったと喧伝する」作業を担わされる。その報酬として、A群は1ドル、B群は20ドル渡される。この場合、強化理論=報酬理論からすれば、B群の方が、「授業を面白かった」と述べる傾向が強いはずであるが、A群の方が「面白かった」と述べた人が多かった、というのである。これは、A群の方が、「不協和が大きかった」ということを示している。つまり、B群は報酬のために嘘をついたという大義名分があったと考えられる。しかし、A群にはそれがない。そのため、「本当に授業は面白かったのだ」と、無理やり認知を変更させる必要があったと考えられるのである。ここでいうところの不均衡とは、1、授業がつまらない。2、授業が面白いと言った、における、不均衡である。
※しかし、当時の20ドルは相当な高額なため、A群は実験を訝しんだのでは?という推測もあるようである。
■強化理論
これは、古典的条件付けとオペラント条件付けがある。古典的なものは、学習を必要としない。オペラントは学習を必要とするものである。更に言えば、古典的は「習慣や特定の反応を植え付ける」、オペラントは「報酬や罰によって反応を獲得させる」とも言える。例を挙げると、子供がいる。子供はネズミを見ても怖がらないが、大きな音を聞くと泣き叫ぶ。そこで、子供がネズミを見る=条件刺激と、同時に、大きな音を鳴らす=無条件刺激。すると、子供はネズミを見るとすぐに泣くようになる=条件付け。更に、ウサギを見てもなくようになれば、「般化」と呼ぶし、逆にネズミを見ても泣かないようになれば=「消去」と呼ばれる(無条件刺激を提示しなければ直に消去される)。オペラント条件付けはネズミを迷路に入れる。あるボタンを押すとすぐに脱出できるようになる。それを繰り返すと、ネズミはすぐにボタンを押すようになる。その際に、試行錯誤と、次第にその時間が減っていく=学習が生じる。脱出は報酬のようなものであり、動物に何か覚えさせたい技能がありそれをこなせば報酬をあげる=強化、というのが、オペラント条件付けである。ちなみに、「代理性強化」というのも存在している。つまり、先輩ネズミがおり、先輩ねずみに従ったときは報酬を与える、従わないと与えない、としていくと、そのネズミは先輩ネズミをまねるようになる。これを、代理性強化=「模倣」=「モデリング」と呼び、それを心理療法に発展させていったのが、バンデューラ、である。
※ゲシュタルト=全体性の視点から考えれば、強化理論は部分に徹してしまっている、外面だけを捉えすぎである、この単純なモデルは動物にしか当てはまらないのでは?という批判に対して、現在は、「認知+行動(=強化)」の方向性が示されている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
行動心理学や、フロイトの理論を幅広く、わかりやすく解説してくれます。
主な学者の経歴も軽く叙述してくれるのでいいかんじ。
臨床実験の結果がとにかくおもしろいですね。
「相関関係は認められても、因果関係は認められない」という言葉が、この分野の研究の難しさを教えてくれますね。 -
レポート課題書。春学期の復習ですね。
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ゲシュタルト心理学、場の理論、強化理論の三章からなる。心理学的な内容で、人が他社と関わり合いながら生活していく上での心理分析を行い、行動との関係性を調べた過去の偉大な人たちの学説を紹介している。あくまで、入門書として深く立ち入ることはせず紹介に留めている
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