- Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061588288
作品紹介・あらすじ
「日本らしさ」とはなにか。「恥」「甘え」「タテ社会」「自我不確実感」などのキー概念を用いたこれまでの日本人論は、欧米人とは正反対の、主体性がなく、集団に埋没し、上下の関係にうるさく、それでいてまわりの人の評判を気にしすぎる、という行動特性を挙げるにとどまった。本書は、日本人自らの立場から考え出された「間人」という概念によって、従来の「個人」中心の人間モデルによる分析の不備をつき、新しい主体的日本人像を描く。
感想・レビュー・書評
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【書誌情報】
著者:浜口恵俊 社会心理学、心理人類学、“日本文化論”。
装丁:蟹江征治
解説:公文俊平
発売日 1988年05月02日
価格 定価:1,100円(本体1,000円)
ISBN 978-4-06-158828-8
通巻番号 828
判型 A6
ページ数 340
シリーズ 講談社学術文庫
NDC:361.6
◆「日本らしさ」とはなにか。「恥」「甘え」「「タテ社会」「自我不確実感」などのキー概念を用いたこれまでの日本人論は、欧米人とは正反対の、主体性がなく、集団に埋没し、上下の関係にうるさく、それでいてまわりの人の評判を気にしすぎる、という行動特性を挙げるにとどまった。本書は、日本人自らの立場から考え出された「間人(かんじん)」という概念によって、従来の「個人」中心の人間モデルによる分析の不備をつき、新しい主体的日本人像を描く。
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【目次】
●1 日本人の行動パターン──状況中心の行為
1 日本人の原行動──一つの具体例
2 標準型行為と規範型行為
3 エートスとしての個別=状況主義
4 状況倫理のメリット
●2 東洋と西洋の人間観──「間人(かんじん)」と「個人」
1 「自分」と「自我」
2 「人(レン)」と「パーソナリティ」
3 間人主義と個人主義
4 「間人」における恥と罪
●3 日本人にとっての間柄──〈縁〉と「甘え」の社会心理
1 〈縁〉と「間柄」
2 人間(じんかん)回路のコミュニケーション
3 「甘え」の心理再考── PSH原理
4 「恩」と「義理」
●4 日本型組織の構造と機能──原組織のイエモト
1 日本の「家」・同族・イエモト
2 原組織・メタ原組織・実組織
3 〈縁〉約の原理と日本社会の近代化
4 稟議制度と日本人の連帯的自律性
●5 「日本らしさ」とは何か──アウトサイド・インの原理
【抜き書き】
□
pp. 116-117
“西洋人の場合、普遍化される「罪」の意識は、唯一の超越的絶対神に対して各自が生まれながらに負うところの債務の自覚である。「罪」意識への忠実さ(すなわち“良心”主義)は、神との間で不均衡を回復しようとする努力の現れである。神の信仰は、神との契約の履行過程にほかならない。ところで、それぞれに個人主義者である西洋人にとって、相互間の約束ごと(契約)は、功利的に活用されるためのものであって、各自の遵守を社会的に保証するものは、人間レベルではなにも存しない。そこで、個人間の契約を保証する者として神が求められ、神との契約である「罪」意識を仲立ちとして初めて相互の関係が確立される、と考えられる。西洋社会での「罪」観念の一般化は、そうした「契約」的対人関係の大きな支柱となっているのである。
これに対し、日本人において普遍的に浸透している「恥」の意識は、「間人主義」的に設定されている互いの関係の維持と進展をはかるための、重要な要件として作用する。それは、各自の占める位置、より一般化していえば、各自のそのときどきのおかれた状況にふさわしい行状を要請するところの、世間の目と口を知覚することだ、とでもいえようか。相互に信頼し合い、助け合うことをモットーにするのが、「報(パオ)」的関係であった。そうした関係性が継続されてゆく絶対条件は、各人が地位(状況)に適合した社会的行動を示すことしかない”詳細をみるコメント0件をすべて表示
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