無為について (講談社学術文庫)

  • 講談社 (1988年9月10日発売)
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  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784061588431

作品紹介・あらすじ

本書は、それぞれ「について」をともなう25章から成り、テーマ・文体において変容し、重なりあう、いくつもの糸が、切れるかと見えながら勁い糸でつながれている。この壮年の書は、短歌、小説、評論の諸領域に及ぶその後の氏の言語的営為のほとんどを胚芽として含む。詩による人生論の試み。

感想・レビュー・書評

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  • 一昔前の教養が出汁にあるので、観念論としては、どうしても小林秀雄には、、、というところか。

  • 歌人であり批評家である著者が、25のテーマについての思索をつづったエッセイ集です。とりあげられているテーマは、老年・無為・思い出・女性・旅・都市・神などで、古今東西の文学作品などに触れつつも、批評ではなく著者自身の自由な所感が提出されています。

    表題作になっている「無為について」では、山水画のなかの世界と著者自身の無為に過ごす時間をかさねつつ、書物を友として「無為をゆたかな閑暇にまで高めよう」とする著者自身の試みと、「それもまた妄執の一つであろう」という自覚が表明されています。

    著者自身は「『学術文庫』版まえがき」で、「『無為について』は書画にいう若書きのたぐいで、いまのわが眼には恥かしい」と述べています。文体がやや大仰な印象はありますが、たとえば『徒然草を読む』(1986年、講談社学術文庫)や『この世この生―西行・良寛・明恵・道元』(1996年、新潮文庫)などの著者の評論に見られる考えが、もうすこし素朴なかたちで提出されています。著者の作品に触れたことのある読者には、大病を経て著者が明晰につかむことになる人生観に通じるものが、本書のなかにも息づいていることを認めるのではないかと思います。

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